表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100円から始める異世界グループ経営  作者: ゆーぽん
第1章
15/36

第14話

さて、今日もひたすら歩くのみだ。

しかしただ歩くだけでは時間が勿体無いので、メゴールに空間魔法の呪文を暗唱してもらい、覚えつつ街に向かった。


ちょうど昼になる頃には呪文も覚え終わったのだが、同時に街に着いたので暗唱はまた時間のある時にする事にした。


ソーマ王国最南端の街ウォリオ。ソーマの中では比較的大規模な街の一つだ。比較的綺麗で流通も良く、南の基盤をなす街らしい。

これだけ大きい街だ。当然入る前に身分証の提示が必要だったりしたのだが、俺はもちろん、サキアから亡命したガンゾも持っていなかった。今回はメゴールが口をきいてくれたので特別に通してもらえた。

本当賢者様々だな。メゴールを部下にしてなかったらやばかった。


さて、街に入れたはいいが、馬車はどこから乗るんだろうか。

「メゴール、馬車はどこで乗るんだ?停留所みたいなものがあるのか?」


「商業ギルドに加盟しているホイール商会というところがこの国の馬車業全てを仕切っているので、商業ギルドを通して馬車のチケットを買います。ついでに商業ギルドに加盟すると、国が運営しているものですので、身分証を発行してもらえます。馬車のついでにそれも致しましょう。私が付いているとはいえ、身分証がないままではいささか不便ですからね。ギルドであれば商業ギルドでなくても発行はできますが、我が佐々木グループは王都で商業を始めるわけですし、そうなりますと、商業ギルドへの登録は必須ですので」


商業組合ってことか。なるほどな。しかも国主導か。意外と国の体制はしっかりしているんだな。


「しかし、登録料などは平気なのか?」


「恐らく登録料に関してはそこまでの金額ではございません。私は商業ギルドには加盟しておりませんので詳しくは知りませんが、確か商業の大きさごとにランク分けされ、何月かに一度ランクの見直しと現時点でのランクに応じての所属税を支払うといった形だったはずです」


「なるほど。それは詳しく聞く必要がありそうだな」


どちらにせよ馬車のチケットを買いに行くならそもそも行かない選択肢なんてないしな。


「というか、他にはどんなギルドがあるんだ?」


「冒険者ギルドですね。北のガリア大森林に生息するモンスターが王都付近までは寄ってくる事があるので、そのモンスターの撃退、突発的に起こるダンジョン出現に伴うダンジョンの攻略、あとは護衛の任務なども冒険者に斡旋しています。私も昔は魔法を鍛える為、森での生活費の為に冒険者をしておりました。森に入ってからも数年に一度依頼を受けたりはしていました。この5、6年ほどは全く活動しておりませんが」

おーファンタジー感すごいな。まぁ、亜人いるし、魔法もあるんだ。モンスターくらいいてもいいよな。しかし、北の森にしか住んでないのか。良かった最初に来たのが賢者の森で。北に行ってたら普通に死んでたな。


「商業ギルドより危険はございますが短期間でお金を稼ぐのであれば冒険者もオススメではございます。商業の元手が不安でしたら、王都までの道すがら魔法を習得されて、冒険者をやるというのも良いかと」


たしかに。いい案だな。しかし、俺は魔法を覚え放題だからなんとかなると思うけど、ガンゾは戦えないんじゃないんか?置いていく訳にも行かないし、かといって連れていったら危険だろうし。


「ガンゾ。お前って戦えるのか?」


「武器さえあればそれなりにはと思います。そもそも私は亜人ですので、普通の人間よりは頑丈ですし」

そういえば亡国したあと盗賊と戦ったとか言ってたな。まぁしかしそれなら問題ないか。

商業ギルド、冒険者ギルドどちらにも加盟する事にしよう。


しかし、ウォリオは最南端の街でモンスターもおらず比較的治安もいいので冒険者ギルドが存在せず、冒険者には王都でなる事にして、ウォリオでは商業ギルドのみ加盟した。事業主の俺のみ登録料が銀貨一枚必要で、メゴールとガンゾは従業員という形でタダで身分証を発行してもらえた。

まぁ、それはそうか。人を雇うたびに払ってたらキリがないし管理も大変だもんな。


それにしてもこの商業ギルドのルールかなり良くできている。


商業の規模によってランクが下から、

青銅級、銅級、銀級、金級、白金級、そして最高ランクに黒級がある。


3ヶ月に一度ランクの見直しがあり、同時に前3ヶ月のランクに応じた税金を支払う必要がある。しかし、その代わりにランクが上がれば上がるほど商業ギルドから色んな恩恵を受けることができるのだ。


例えば、金級からは一年に一度行われる商業ギルドのギルド長を決める投票に対して投票権を得る事が出来る。つまりは商業ギルドの方針に関して間接的であるものの少なからず影響を持てるのだ。商業ギルドに加盟していなくても商業に関する細かな規定や特許などは商業ギルドのものに従わなくてはならないため、多くの事業主がこの投票権を求めて切磋琢磨しているらしい。さらに、国営の施設を安く利用できるようになる。割引の度合いはクラスによっても変わってきて、黒級などの事業主は国営の施設全てタダで利用できるらしい。さらに黒級は国から特典で特別貴族位や一年に一度王に謁見する権利すらも与えられるらしい。今現在の黒級の商会は3つのみらしいが。

黒級相当税金払ってんだろうなぁ。


次に来る馬車が明日の早朝になるという事なので、チケットだけ購入し、今夜は商業ギルドの運営する宿に泊まる事になった。

俺たちは登録したばかりなので青銅級になので、当然割引はない。元々事業を展開していても最初の3ヶ月は青銅級として登録されるらしいので、割引も効かないなら、ちょっともったいなかったかな。まぁ身分証のためだと思って諦めよう。


それにしても、久しぶりに野宿から解放されて、お風呂に入ろうと思っていたのだがまさかのギルドの宿にはお風呂がなかった。こちらでいうお風呂は生活魔法でお湯を張るらしいんだが、出すお湯の量が使う魔力の量に比例するため、お風呂なんて、普通の人間はまともにお湯を張ることすらできず、貴族や大商人くらいしか入れないそうだ。代わりにお湯で濡らしたタオルで体を拭く。もともと日本でも佐々木グループの総帥になってからはシャワー生活だったので、そこまで嫌悪感はないが、やはりちょっと入りたかったなぁ。


早朝。俺たちはついに馬車で王都に向かった。

ウォリオから王都までは馬車でも1週間かかった。なかなかの長旅だった。しかしその時間は俺たちにとってかなり大きな収穫になった。魔法に関しては、空間魔法だけでなく、いくつかの攻撃魔法、生活魔法を習得した。そして、思わぬ収穫だったのが、メゴールに約束の科学を教えたところ、その考え方が魔法作る際に考える必要があるプロセスととても酷似していて、もしかすると、今の現代にある科学技術を魔法で再現することができるかもしれないというのだ。

この2つだけでもなかなかの収穫だったのが、さらに大きい収穫は別にある。心眼だ。


メゴールに言われた通り心眼の力を意識するように練習していた結果だろう。

心眼の第一段階の覚醒によってできるようになったことは大きく3つ。1つ目は文字が読めるようになったこと。正確にいうと意味がわかるようになった。2つ目は自分が触って調べたいと思った対象の詳細な情報が流れ込んでくるようになったこと。3つ目は意識すると見るだけで人の善悪がオーラでわかるようになったのだ。


実は旅の途中一度盗賊が合われたことがあった。盗賊は最初旅の人間を装い俺たちに近づいてきたのだが、明らかに悪い人間が纏っていそうな黒いオーラが見え、メゴールに警戒するよう伝えると、案の定盗賊だった。今のところは善人なら白、悪人なら黒、くらいしかわからないが、メゴールの話通りなら、心眼のレベルを上げればもっと分かるようになるのではないだろうか。極めると人の心を読めるらしいしな。


着く前にやれる事はほぼやり尽くした。あとは実際に稼ぐだけだ。この王都に革命を起こし、佐々木グループの名を知らしめてやる!


そんなこんなで1週間の馬車旅で大きく成長し満を持して王都に到着した俺たちだった。




.....しかし、そこで待っていたのは、後に俺がこの国を滅ぼすきっかけになる出来事だった



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ