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転生したらLv99なんだけど戦闘毎にレベル-10 第2話

 星の引力に吸い込まれるさなか、また俺は意識を失った。


 ……


 今は意識を取り戻したはずだが、今度は何も見えなくなっていた。

 手足の感覚は、今はない。

 呼吸をしていない。

 心臓が動いている感覚がない。

 さっきのは夢だったのか?

 これは、トラックに轢かれた、直後か?

 人は死んでも、死体に意識が残るとか、そういう可能性もあるのだろうか。

 うわぁ。

 やべぇ。

 そいつぁ予想外だ。


 もう、青ざめることもできず、何もできずにただ、時間が過ぎていくだけだった。


 時間の感覚もわからないまま、しばらくすると、何となく体が修復されてきている気がしてきた。

 うーん、これは人体が再生が可能な科学力がついに?


 元の世界ではないな。

 おれごときをこんな手間と金をかけて復活させる理由がない。

 ということで、あの粗大ごみが言ってたとおり、ここは新たな世界だ。

 転移ではなく、転生と言っていた。

 新しい世界では復活するも何も、元の肉体がない。


 ああ、あれだ。

 もうわかった。


 これは、胎児からスタートだ。

 こいつぁ予想外だ。


 今は、誰かへの、確かな繋がりを感じている。

 今、俺は守られている。

 肉体的にも、精神的にも。

 やさしい水に包まれて、俺の体は保護されている。

 ずっと誰とも会話をしていないのに、なにも不安がなく、今はただ安らぎの中にいる。


 もう、ずっとこの中にいてもいい。

 ママァ。


 まあずっとそうしてるわけにもいくまい。


 時間はたっぷりある。

 現状の確認と生後の方針を決めよう。


 あのガラクタが人間として生まれるって言ってたから、信じるならそれは確定だ。今回は信じてやろう。

 ただ姿形が俺の知っている人間と同じとは限らない。


 ここの世界の人間は、胎生のようだ。卵から生まれるのではないな。

 胎生ということは、人の体は、前の世界の生物とそんなに変わらない作りな気がする。

 まったく別の生命システムなのに、胎生なんて複雑な仕組みで生命が誕生するなんて偶然はないだろう。

 細胞分裂で増えるほうが、よっぽど普通だ。


 おそらく、元いた世界と、新しい世界は、どちらかが、どちらかを模倣している。

 少なくとも、人間の仕組みは。


 おそらく、今世も前世と似通った世界だと思ってよさそうだ。

 今のところシステムにオリジナリティを感じない。


 どんな文明があるのだろう。

 それはさっぱり想像つかん。

 あの神様を見る限り、スチームパンクな未来世界が最も可能性が高い。

 あの鉄くずは、人間が何かを超越して、神を名乗ったなれのはてかもしれない。


 前世の地球は人間天国で、世界の支配階級だった。

 マクロな視点から見ればだけど。

 細菌の視点から見れば、細菌が地球を支配していたがそれはおいといて。


 動物界では人間がほかの生き物を虐げていたが、次の世界がそうという保障は何もない。

 原始的で人間がほかの生き物と、縄張り争いを繰り広げる世界かもしれない。

 人間様はえらいんだー、と思ってたら、他の生き物がみんなめちゃくちゃ賢いとかいうこともあるだろう。


 他の人間はどうでもいい、そのときは俺がどう立ち回るか、だな。


 もうひとつ確定しているのは、俺のレベルが99だということ。

 そしてこの世界にはレベルというシステムがある。

 レベルという尺度によって、生物の能力を予測できると思って、問題ないだろう。

 詳細は外に出てからのお楽しみだな。


 俺のもう一つの特徴は、1回の戦闘ごとにレベルが10下がる。

 意味わからん。1戦闘ってどんな区切りだよ。

 これも生まれてから確認するしかない。ただ、1度試したら、レベルが89になってしまう。

 出来れば、文献や口伝による方法で知識を得たい。


 戦闘っていう区切りがあるのは、次の世界でも、暴力が武器になる可能性が高い、かな。

 やはり力こそパワーなのだ。

 世の中焼肉定食だ。

 うまくいけば酒池肉林か。

 実は酒池肉林って言葉自体にはエロい意味はないんだぜ。


 ただ、これだけは、忘れてはいけない。

 人生で戦える回数が、最大9回しかない。

 俺は、そうやすやすと戦うことが、出来ない。

 レベル1になった後戦うのは、恐らくやめたほうがいい。


 とはいえ今の俺は、レベル99の胎児だ。

 うっかりお母さんのお腹を蹴っ飛ばして、破裂させてしまう恐れもあるのだ。

 木っ端微塵に爆裂させてしまうかもしれない。

 そうなったら、母子ともども終わりだ。

 そう、お母さんには、優しくしてあげないといけない。

 今は、な。


 不可抗力とはいえ、赤子の肉体を乗っ取ってしまったんだ。

 乗っ取るも何も、もとからこの体には俺の精神しか入ってなかったが。

 でも、別の人間だった記憶が生まれてきたら、さぞかし気持ち悪かろう。

 まるで俺はプレデターのようだ。

 違いは宇宙人か異世界人かだけで。


 しかし、だ。

 この人のためなら、前世の俺のアイデンティティーなぞ、全て捨ててしまおう。

 俺の親はあなたしかいない。

 ここまで育ててくれた恩がある。

 胎児から、赤子になる直前まで守ってくれてありがとう。

 恩には恩を。

 そして、仇には仇を。

 前世の俺を死なせたやつ。

 絶対に許さんぞ。


 俺の体は、ほぼ完成していた。

 おそらく2800gには既になっている。

 

 あとは、その時を待とう。

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