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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第三章 獅子公ロイアスとカントのはぐれ者
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葬儀?

ーーーーーーーーー佐倉涼太ーーーーーーーー


 ディランとガナードの葬儀はしめやかに行われ……るものだと勘違いしていた。

 葬儀にきたのはごく少数で、人望がなかったわけじゃなく必要最低限の人しか呼ばなかったらしい。ジョルジュや、荷物持ちの下級冒険者まで、一緒にダンジョンに潜った全員が呼ばれたけど、それ以外はギルドマスターのリカルドぐらいしか参加していなかった。下級冒険者たちは体を張って自分たちを助けてくれた二人に少しでも感謝を示そうと葬儀にやってきた。絶対に呼ばれてもこないだろうと思ってたジョルジュでさえ気難しい顔こそすれ、正装まで用意してやってきた。まあ、冒険者の葬儀は身だしなみに気をつかうやつなんてほとんどいないんだけど。

 そこまでは許容できた。

 葬儀が始まって間もなく墓の前で酒が配られだしてからおかしくなった。なぜ墓の前で早速、という疑問も虚しく、墓前は少人数ながらまるで祝宴のような様相を呈していた。

 そして、会場を移した二次会は酒場だった。フリージアが景気よくお金が入った袋を店主に渡すと、


 「今日は私のおごりだ! みんなたらふく飲めや!」


 と宣言したフリージアにその場に居合わせた客からも歓声が巻き起こった。


「ディランの遺言だよ!しみったれた葬式やるぐらいならパァーッと暴れてくれ!そのほうが俺ららしいだろ?ってさ!」

「なるほど、これは良いな」


 フリージアのスピーチらしからぬスピーチに感銘を受ける師匠。俺より若く見える容姿でお酒を煽る姿は、日本育ちの俺からしたら多少、イメージというか常識というか、合わないところがあった。まあ、ここは日本じゃなく地球でもない。ゼフたちが気にしてないなら気にすることじゃない。


 「これ、おいしーね!」


 好奇心旺盛なツェーリはお酒にどっぷりハマってしまったようだ。呂律が回っていないわけじゃないけど、だいぶ怪しいところまで来てる。

 隣でちびちびと飲んでるマテが過剰なスキンシップをされて迷惑そうな顔をしている。けれど、邪険に扱わないあたり嫌ではないんだろう。

 二人の間には不穏な空気が漂っていたはずなのに、一体どういう経緯があってあんなに仲良くなったのか。ものすごく気になる。ツェーリと親しいヤンが近づけないぐらいだから、俺には尚更近寄りがたいほどだ。


 「リョウタ」


 なんて一人の世界に入っていると、突然師匠から声を掛けられた。酒の匂いがするぐらいには飲んでいるみたいだけど、まったく酔ってる素振りはなかった。

 ちなみに、俺は飲んだことがないので舌がアルコールを受け付けず、舐める程度にしか飲んでない。

 師匠の隣にはフリージアがいた。


 「気落ちしているようだが、何か悩みでもあるのか?」

 「いやー……隠せてるつもりだったんですけどよく分かりましたね」

 「さすがオーステア、年季入ってるね!」


 褒め言葉なのか微妙なラインをついてくるフリージア。デリカシーに欠けると思いきや満更でもないご様子。やはり千年も生きているとそのへんの感受性が超越してしまうんだろう。


 「で、どうなんだ?」

 「うーん、サージェスの時は結構頑張れたと思うんですけど、ドロテアの時は全く自分のイメージしてたことができなくて……そのうえ、師匠から授かった武器で斬れなかったモノをテューンが簡単に斬っちゃったから、俺なんかが持つよりもテューンのほうがうまく使ってくれるんじゃないかなって」

 「リョウタ、君は私を怒らせたいのか?」


 思いもしない返しに俺は体を硬直させた。師匠は声に怒気を滲ませて、見たこともない険しい顔つきで俺を睨んだ。蛇に睨まれた蛙とはこのことだ。弁解すら喉からでてこようとしなかった。


 「その剣は君に託したものだ。ほかの誰でもない、君だ。私は君たちが間違った選択をしても、それが勇気ある決断ゆえのものなら決して咎めるつもりはない。その失敗から何かを学び取れるなら、それが君たちの成長に繋がるからだ。だけど、弱気にはなるな。後ろ向きの心では成し遂げられることも成し遂げられなくなる。私が怒るのは、そうならないためだ。分かったか?」

 「……すいませんでした」

 「わかればよろしい」

 「ひゅー! オーステアかっこいー!」

 「だろう?」


 せっかく感銘を受けたのに、フリージアにおだてられた師匠はキリっとした表情をほころばせて、フリージアと一緒に笑い声をあげた。

 やっぱり酔ってるのか、師匠。いや……でも言われたことはもっともなことだ。 

 師匠の説教を噛みしめて、これからはもっと気を引き締めていこう。


 「それで……二人で何かお話されてたんですか?」

 「え? ああ、私がね。宮廷魔術師にならないかってウルリカから打診があったの!」


 それはまた……突飛な話である。あの王女様ならやりかねないか。

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