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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第二章 天空城の住人と王家のダンジョン
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事後処理

ーーーーーーーー佐倉涼太ーーーーーーーー


割と俺は凹んでいた。みんなには悟られないようにしているけど。

俺の武器も魔鉄で出来ているはずなのに、テューンの一撃で両断できて俺のは少しも通用しなかった。言い訳はしたくない。明らかな実力不足が露呈したわけだ。師匠の眷属として一番のりで覚醒したはいいけど、テューンやゼフに置いていかれている感じに焦燥感を募らせる。

中途半端に王宮のダンジョンで活躍したのも尾を引いてる。知らず知らずのうちに味をしめてしまっていたんだろう。褒められたことによって自分を過大評価していた節もある。


「テューン、覚醒おめでとう」

「ありがとうございます、師匠」


師匠が祭壇の間に到着しての第一声はテューンへの賛辞だった。ドロテアを倒したことよりも師匠にとっては弟子の成長のほうが喜ばしいことのようだ。そのあたりは何というか、師匠らしい。

瀕死のドロテアを救うべく、トモエは間もなく彼女の元へ駆けつけた。ドロテアを魔術的治療と称して虐めていたフリージアは少しだけ満足したようにトモエにバトンタッチした。苦痛に呻くドロテアと目が笑っていないフリージアの二人を見るのは中々にぞっとした。


「……私はみんなの死体を回収してくるよ」

「私も手伝うよ。むしろ任せてくれても構わないが」

「いや、私の仲間のことだから。お墓を作ってあげられるまでちゃんと見届けてあげたい。手伝ってくれるのは助かるよ。テューン、ありがとう」


ガナードにディラン、そして、ソフィア。そうか、全員亡くなってしまったのか。

ガナードはケンタウロスと揉み合って、みんなが避難した場所とは違う通路に入っていった。帰ってきたのはケンタウロスだけだった。もう生きている望みは薄い。実際、ケンタウロスの体にはべったりと血が付着していた。


「おーい、勝手に死体にするなぁー……」

「……はっ!どこからかソフィアの声がする!?」

「こーこーだぁー……」


みな一斉に振り向くと、そこには全身びしょ濡れでズタボロになった衣服を纏った姿のソフィアがいた。中腰で両手を胸の高さまで上げてこちらに伸ばしてる。


「あれ、ゾンビじゃない?」

「滅多なこと言うな」


隣にいたゼフに肩をはたかれる。

いやまあ、死んだと思ってた人物が生きてみんなの前に現れたのだからこれ以上ないことなんだけど、登場の仕方がいかにもゾンビっぽくて思わず口にしてしまった。


「いやいや、リョウタの言い分も一理あるよ!まずはソフィアが正気の状態か確かめないと!」


あのー、フリージアさん。絶対面白がって乗りましたよね、それ。


「わたしは正気だよぉー……」

「まずはこの前、いつもは白ベースの下着しか着ないのに派手なレース模様の赤い下着を試着していたことへの感想を聞かせてもらおうかな?」

「は?今それ言う?」

「うっわ、急にめっちゃ真顔。面白いからもう一回やっていい?」

「殺すよ?」


どうやらソフィアはソフィアで演技だったようだ。さっきまでの死にそうな顔が、淀みなくキレ顔に変化した。


「落ちた先が水溜りで助かった。さすがの私も高いとこから落ちたら死ぬ」


端的にソフィアは報告を済ませると、機嫌が悪そうにフリージアからそっぽを向いて篠塚のほうに向かった。その様子をニヤニヤ顔で見ているフリージア。仲間が生きていたことの嬉しさが伝わってくる。


「ところでジョルジュよ。出口は来た道を戻るしかないんだったな?」

「ああ、他の道なんてありゃしねえよ。そこの魔族が掘った穴を探索するってなら別かもしれんが」

「この状況では避けたいところだな。確証があるわけでもない。つまりだ、掘るしかないな……」


師匠の発言にどんよりとした空気が漂った。事後処理とは往々にして面倒なものである。みんなの心が一つになった。


「ねえ、フリージア。こいつ抵抗できないように手足切り落としとく?」


その空気を打ち破るようにさらっと恐ろしいことを聞いてくるソフィア。横で聞いてた篠塚がドン引きしている。

そこでふと、俺は祭壇のほうに目を向け、その近くに転がっているドロテアが抱えていた半透明の丸い容器に注意がいった。

三つ漂っていた光が四つになっている。

ふむ、ここで情報を整理するとしよう。俺たちがここに来た当初あの玉には光が一つも灯ってなかった。光が三つになった時ドロテアはかなり焦っていた。そして、今四つになってる。ドロテアは王の魂がうんたらと発言していた。


「テューン、あいつが王の魂がどうたら言ってたんだけど心当たりある?」

「ん?師匠いわく、どうやらドロテアは神の血を引く……まあ、分かりやすく言えば王族だな。その魂を使ってあの化け物どもを動かしていたそうだ。撤退の最中にも別のやつに襲われた」

「え?何体倒したの?」

「マテとツェーリを襲ったやつは本人たちにどうなったか聞かないとわからないが、倒したとしたらここにいる二体を除いて三体倒したことになるな」


俺は頭をひねった。予想が正しければあの丸い容器の中には五つの光が収まってないといけないはずだ。

あれは魂を捕縛するための錬金道具で、憑依した人形が破壊されたらあの容器に戻される、というものだと仮定した。だが、それでは辻褄が合わない。

可能性があるとすれば、どれか一体を仕損じているということが挙げられる。

と、思案していると、俺の後ろで倒れていた鎧の騎士がギギギと軋みをあげながら立っているところだった。我ながら迂闊にも程がある。

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