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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第二章 天空城の住人と王家のダンジョン
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本音

ーーーーーーーー佐倉涼太ーーーーーーーー


 背中越しにも伝わってくるゼフの気迫を受けて、俺はゼフの視界に入るように横に並んだ。ゼフに限ってそんなことはないだろうが、彼が暴走して下手を打つような真似はさせたくない。


 「リョウタ、今まで手掛かり一つなかったんだ。それがどうだ。もう一度向き合おうとした途端にこれだ」

 「俺たちは師匠の弟子で、仲間だ。まだまだ弱いけど、頼ってくれていいから」

 「ああ、変な気を起こすつもりはない。大丈夫だ、わかってる」

 「なんだ、もっと響く反応をしてくれると期待してたんだがな。なかなか良い仲間をもったな、ゼフ。私に勝ったらそいつの名前を教えてやってもいい。その代わり、真実を目前に手足をもがれ鉢植えに活けられて飼われる男の悲痛の声が、一体どんなものか教えてくれないか?」


 サディスティックな笑みを浮かべてドロテアは鎧の騎士に指示を飛ばした。剣を下げ、控えていたそれが再び稼働する。刀を握る手に汗がにじむ。

 次やられたら終わりだ。ドロテアは俺たちが死んでも蘇ることを知った。同じ轍は踏まない。

 攻略の糸口を掴めぬまま俺たちは二度目の戦いに挑んだ。



ーーーーーーーーマテーーーーーーーー


 最悪だ。何度も全身を壁のでっぱった部分に打ち付けて滑落していったせいでせっかくの新しい服がボロボロになってしまった。おまけに、すぐ治るけど打撲、裂傷、擦傷、身体の至るところに出来てしまった。そして、何より最悪なのが一緒に落ちてきた人物だ。


 「……それで、なんで無傷なの?」

 「精霊が守ってくれるから多少のダメージは私には通らないのよ」


 なるほど、精霊の加護があるから無傷なのかー。すごーい。納得できるか!

 それに、なんでこの子は事あるごとに私にちょっかいかけてくるのか。そりゃまあ、最初に行き違いもあったけどそれだけでこんなイジメまがいの扱い受ける謂れはないと思うんだけど。

ツェーリはいけ好かない澄ました表情で落下した先の状況を確認しながら私の質問に答えた。さすがに今の衝撃でカンテラは壊れてしまって、代わりにツェーリの精霊が周囲を照らしてくれている。まったく便利なものだ。

私がそうしてムスっとしている間もツェーリはちらちらとこちらを盗み見ていた。その態度を今までは見逃してきたがさすがにもう限界である。


 「なに?何か言いたいことがあるなら面と向かって言ってくれない?」

 「それは……うーん、その……」


 ツェーリには珍しくその問いかけに口ごもった。ハキハキとしていて物怖じしないツェーリらしかぬ歯切れの悪さだ。でも、ちょっと頭にきてた私にはそんなの関係ない。


 「はっきり言ってよ! 私のこと嫌いなんでしょ? よかったね、私はチビでノロマで器用じゃないからツェーリに勝てるとこなんて一つもないよ」

 「それは違うわ!」

 「じゃあ、何なの? 私を嘲笑う以外に何かあるの?」


 ツェーリの顔が赤らんでいく。怒りなのか何なのかわからない。溜め込んだ分の不満で爆発した私の心はそんなことも気にしている余裕がなかった。だから、次のツェーリの言葉は完全に不意打ちだった。


 「私は……その大きい胸すっごく羨ましいし、小ちゃいのだってとんでもなく可愛いと思ってるし……ノロマだなんて全然思ってない」


 思考が停止する。返ってくると想定してた言葉が一字一句存在しなかった。

 そして、ツェーリの赤らんだ顔がさらに赤みを帯びてきているのを見て、彼女が嘘をついていないことを理解した。

 じゃあ、一体どういうことなんだろうか。

 実際彼女はダンジョンに入ってから私に数々の嫌がらせをしてきた。入る前だって、こっちのほうを何度も恐ろしい表情で見つめていたし、そもそもギルドマスターの部屋にいる時、喧嘩腰で挑発してきたじゃないか。


 「初めて会った時喧嘩しちゃって、本当は謝ろうとしてたんだけど、外の世界の人とまともに話したことないし、どう切り出したらいいのかわからなくて、なんとか自然な流れで会話に持っていけないかなーってアピールしたけど会話続かないし、ますます不機嫌になってくし、本当は友達になりたいのに全然溝埋まらないし、もうどうしたらいいか分からないの!」


 頭の中を整理していた私に対してツェーリが思いの丈をぶつける。

 いや、待って。全然追いついてない、追いついてないよ、私の思考。とりあえず、なんだろう。もしかしてこの子、むちゃくちゃ可愛い?

 などと問題にまったく即していない結論を導き出した私の頭はやはり目の前の現実から逃避しているのかもしれない。

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