脱出
すいません。風邪がひどすぎてしかも長く続いているので、短いですが投稿します。治ったらがんばります
――――――――テューン――――――――
背後からドロテアの高笑いが聞こえる。屈辱をかみしめる間もなく私たちは敗走を余儀なくされた。
大切な仲間を残して、だ。だが、その戦術的撤退も策を打たれていた。私たちが通ってきた道が崩落したのだ。
「あの魔女め! 初めからこのつもりか……!」
「あっちだ! もたもたすんなよ!」
私が悪態をつく傍で、ジョルジュが一番近い出口を指差して言った。みんな指先の方向を確認する間もなくジョルジュについて駆け出した。
鎧の騎士相手にゼフはまだ粘ってくれていた。
自分の不甲斐なさを恨む。誰よりも強くなりたいと心から願っているはずなのにこの体たらくだ。覚醒だってリョウタに先を越され、受動的だったゼフにすら負けた。私には何が足りないというのだ。自問自答しても答えがでなかった。今だってそうだ。私たちは窮地に陥っている。ドロテアを叩きのめすには誰かが覚醒しなければならない。だけど、私には覚醒の兆候が一切見られなかった。
「くそ……!」
誰に言うでもなく汚い言葉を吐く。
「あれ! なんかやばそうだよ!」
マテの言葉に反応して、私は祭壇のほうを見た。一目であれが生物ではないと理解できた。馬のような四本の足に人の上半身が乗っている。まるでケンタウルスを想像するような出来栄えの鎧人形だ。それが生物でないと判断できたのは、馬の足に当たる部分でさえ金属でできていたからだ。
そいつが、地面を蹴って私たちに迫ってくる。とんでもない速さで。
マテとツェーリが攻撃を仕掛けるが、こいつもびくともしない。このままでは私たちの一団に突っ込まれて分断されてしまう。後列にいる荷物持ちの冒険者たちがここに取り残されるような事態は避けたかった。
となれば、私が犠牲になるしかない。
「……ガナード?」
「ガナード! そんな……ダメ!」
私より決断を早くしたのはガナードだった。
彼はケンタウルスと私たちの間に入り、武器を構えた。ソフィアの制止も虚しく彼の決意はかたかった。そして、私たちには迷ってる時間はなかった。私はソフィアの腕をつかんで、立ち止まろうとした彼女を無理やり走らせた。彼女も状況を呑み込むのが早く、すぐに自分の足で走り始めた。その表情は苦悶に満ちていたが。
ガナードとケンタウルスが衝突する。ガナードは自分で負ったその役目をしっかりと果たした。ケンタウルスは足を取らせ倒れ込んだのだ。ガナードの安否までは見届けることができなかった。しかし、彼の犠牲によって私たちは広間から脱出することができた。




