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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第二章 天空城の住人と王家のダンジョン
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鎧の騎士

――――――――佐倉涼太――――――――


 ドロテアの狂気にフリージアは動じることはなかった。


 「随分独りよがりな愛の告白だね! それで? ドグラスはとうの昔に死んだのに、なんで今更表舞台にでようとしてるの? すっごく気の長い復讐だね」

 「単なる復讐ではないからだ。そして、なぜ今なのか、という疑問の答えをお見せしよう。フリージア、おまえのことはすでに織り込み済みだ。だから……予想を裏切ってくれることを期待している」


 そう言うとドロテアは身を翻し、隙だらけの背中を見せた。すかさずフリージアは手をかざし魔術を執行する。だが、あのオオカミの頭を吹き飛ばした魔術はドロテアに到達する直前で霧散した。


 「まあ、そう急くな。しかし、さすがは右に出る者なしと謳われた魔術だけある。瞬時に風の魔術を圧縮し、任意のタイミングで爆発させられるとはな。私でなければ決着がついていたところだ」

 「……織り込み済みってのはハッタリじゃないみたいだね」

 「相手をしてやりたいのは山々だが、おまえには実験に付き合ってもらわないといけないのでな。さあ、初お目見えだ。簡単には終わってくれるなよ?」


 重厚な音を立てて、祭壇の傍にあった何かが動き出す。その正体はすぐに判明した。

 兜が王冠を象っていて、胸部に王家の紋章が刻まれた意匠を凝らしたプレートアーマーだった。緻密な刺繍が施された腰巻をしており、プレートアーマーの外装は左右非対称になっている。これが古くから伝わる王家の伝統の鎧であれば格式高いが、国を滅亡させようと目論む魔女の所有物ならば趣味の悪いものだった。

 そのプレートアーマーは右手にクレイモアを手にしていて、からからと剣先を地面に擦らせながら距離を縮めてくる。

 それは時折呻き声のようなものを漏らした。覚束ない足取りと不審な挙動はフリージアに眉根を寄せさせた。


 「全員戦闘態勢! 自分の役割を全うして! ディラン、頼んだよ!」

 「任せときな!」


 最前線で敵と対峙するディラン。その背中は恐怖を感じさせない。どしっしり構えているその様は非常に心強い。

 じりじりと近づいてくる間に、ツェーリが矢を放ち、マテがナイフを投げる。いずれも鎧に弾かれるか、関節や目の隙間を射抜くが、敵はたじろぎもしない。あれの中身は人間じゃないのかもしれない。

 余裕を持っていたツェーリにも次第に焦りが見え始めた。

 先ほどの風の魔術よりもより魔力を練り上げて完成させたフリージアの炎が生き物のように敵を飲み込んだ。だが、それすらもあの鎧には効果があるようには見えない。


 「行け、自分たちが築き上げてきたものすべてを破壊しろ」


 ドロテアがそう告げると、鎧を纏ったそいつは不気味な雄たけびを上げて、だらりと持っていただけの剣をがっしりと握った。そして、機敏な動きでディランを袈裟斬りで攻撃する。

 読みやすい単純な攻撃だった。ディランは万全な態勢でそれを受け止めたはずだった。

 あまりの衝撃によろめくディラン。それだけで済んだのがさすがというべき豪快な打撃音が響いた。だが、振り上げられた大剣の二撃目によってディランは地に膝をついた。そして、無防備になったディランの喉元に無情にも鎧のつま先がめり込んだ。

 吹き飛ばされるディランが着地するよりも早く鎧を纏ったそいつはフリージアに向けて駆け出した。それに反応できたのは、フリージア当の本人だけ。いや、反応自体はできてた。だけど、ゼフも俺もテューンもヤンもその距離を埋めることはできなかった。

 フリージアは身をよじって大剣の突きを躱そうとするが、その動きは読まれていた。彼女の胸部は貫かれ、いとも容易く刀身によって彼女の身体は持ち上げられた。そして、とりついた虫を振り払うように大剣を振り、彼女の胸部からは剣が抜け、地面に打ち付けられた。


 「リョウタ、ゼフ。君たちが要だ。フリージアを助けよう」


 師匠の冷静な一言で俺は頭を一度クリアにする。他のみんなも誰かが指示をだしてくれることを待ってたかのように目の前の光景に意識を奪われていた。あまりに呆気なく半壊させられたフリージアのパーティーを助けるべく、俺は師匠の与えられた刀を、ゼフは盾をぎゅっと握りしめた。

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