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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第二章 天空城の住人と王家のダンジョン
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上位パーティーのフリージア

――――――――佐倉涼太――――――――


 日がまだ登らないうちに冒険者ギルドに到着すると、すでにそこには俺たち以外のメンツが待機していた。ぴりぴりとした雰囲気が伝わってきて、やけに声をかけるのも気まずい。ゼフとテューンの足取りだけは普段どおりで、師匠は一歩引いて腕を組んでいる。

 メインはあくまで君たちで私は出しゃばらない、と直前に主張していたとおり師匠は今回置物のように扱うつもりで俺たちは意見を一致させた。それでも、珍しい髪色と瞳をもつ少女が目立たないわけがなく、俺たちの後方に控えていたにもかかわらず師匠は全員に注目された。それを遮るようにゼフが発言する。


 「遅れてすまない。俺はゼフだ」

 「フリージアよ。いちおーリーダーやらせてもらってる。私たちが早かっただけだから気にしないで!」


 亜麻色の短パンに肩まで露出したダークブルーのトップス。ローブを着てはいるが、とても今からダンジョンに潜るような格好じゃなかった。それなのに、その顔は自信に満ち溢れている。


 「おいおい、俺らのパーティーが指揮るって話だぞ。一応とか曖昧なこと言ってやるな。俺はディランだ。一応このパーティーの前衛やってる」

 「一応ってあんたも言ってるじゃん!」


 ディランは目をぱちくりさせて肩をすくませた。まるで自分は悪くないと主張している態度である。


 「自己紹介なら後でも出来るだろ。揃ったんなら出発するぞ。ここからかなりかかるんだ。あんたらのペースに合わせてたらダンジョンに潜る前に疲れちまう」


 様子からしてフリージアのパーティーメンバーじゃない老人が苛立ってるのを隠そうとせずに矢継ぎ早に言った。高級そうな服を着ているところを見るに、このじいちゃんは国のお役人様なのだろう。事前にウルリカ王女からは聞き及んでいる。

 普段冒険者の出入りが禁止されてるダンジョンだ。案内人がいるに越したことはない。

 だが、第一印象からして気難しそうだ。冒険者のことを下に見ている感じじゃないけど、あまり馴れ合うことを好まない人柄なんだろう。


 「そうね! さっそく出発しましょう! そちらのパーティー、バリエーションが豊かで話に困んなさそうだし、道中楽しみだよ。うちのメンツしなびたような連中でごめんね!」


 フリージアの後ろにいた聖職者風の服装の大人しそうな女性と鉄の鎧を着用している強面の男が会釈する。

 ちなみに、フリージア率いる四人のパーティーは前衛二人で敵を押さえ、治癒魔術でそれをサポート、その間にフリージアが殲滅するのをセオリーとしている。王都テスラより北方に位置するゲルシュ魔法帝国の大学で、首席の座を他の追従を許さず獲得したフリージアの魔術はまさに圧巻と評判が立つほどだ。なぜ彼女が帝国の魔術師としてエリートの道を辞退し、冒険者に身をやつしたのかは不明だ。だが、生き生きしている彼女からは悲壮な事情は見受けられない。

 横切る際に師匠、ツェーリ、ヤンの順にフリージアは流し目で見た。その目はまさに好奇心の塊である。


 「あれ? ギルドマスターは今回不参加なんですか?」

 「お見送りはしてくれるらしいぞ。リカルドもギルドマスターとしてやることがたくさんあるからな。あいつもそろそろハゲ時だな!」


 俺の素朴な疑問にディランが気さくに答えてくれる。

 彼の装備はもう一人の前衛と似たようなものだが、一式全てが黒塗りでテーブルに乗せてある兜にはオオカミのエンブレムが彫られている。彼は相当な重篤患者なのではないだろうか。だが、かっこよさを追求するのはモチベーションに繋がる。一概に彼を否定するつもりはなかった。


 「おまえも俺が頭を抱える要因の一つだってそろそろ気づいてほしいもんだがな?」


 ギルドの奥から疲労を隠せていない様子のリカルドが現れた。


 「げえー! リカルド、おまえまだ毛が生えてるぞ!? なんか良いことあった?」

 「うるせえよ! 相変わらずの減らず口だな。そんなに俺のこと禿げさせたいのかよ」

 「今五本ほど落ちたの見えた」

 「落ちてねえよ! はぁー、おまえと話すのマジで疲れるからやめてくんねえか?とにかくだ。雑用こなすやつらはすでにダンジョン前に向かわせてある。馬車は裏口に準備させてあるからさっさと行ってくれ。俺の頭が痛くならないうちにな」

「ギルドマスターありがとうございます! ほら、みんなも!」


 フリージアに促されてフリージアのパーティーメンバーが全員、「ありがとうございます!」とリカルドにお辞儀をする。それに留まらず、フリージアは両手を広げた大げさなジェスチャーで俺たちに催促した。俺たちは狼狽えたが、ツェーリの、「ありがとうございます!」を皮切りに渋々とそれに続いた。

 なんだか小学校を思い出した。


 「あほくさ」


 国のお役人さんだけがその流れに乗らず、ぼそっと一言漏らした。リカルドもフリージアのノリについていけないのかうんざりした様子だった。

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