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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第二章 天空城の住人と王家のダンジョン
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浮遊城イスル・イシュルの住人

 ――――――――佐倉涼太――――――――


 集まってからの空気の悪いこと。

 ツェーリと呼ばれた女性があからさまに機嫌が悪いことをアピールしていたし、その様子が気に入らないのかマテもピリピリした雰囲気を醸し出してる。

 余計にわけが悪いのは、この状況を師匠が楽しんでいることだ。戦神と謳われたこともあって、やはり争い事を好むのか。穏便に、と念を押したのは師匠のはずなんだが……。


 「いやあ、なんかすいませんね。うちのツレ、初めて外の人と話すんで緊張しちゃってるんですよ。普段はもっと礼儀正しいんですけどね……」


 人畜無害な顔と振る舞いでツェーリのツレの男が会話の口火を切った。なかなかの苦労人っぽそうだ。ツェーリと同じ色の髪と瞳に、顔立ちまでどことなく似ている。二人は血縁関係にあるのだろうか。


 「礼儀正しい……? 高飛車の間違いじゃないの?」

 「ねえ、これ何の集まり? 子供がいるんだけど真面目な話するんだったら邪魔だから追い出してくれない?」

 「私19なんですが? 人のこと見下しすぎて目が腐ったんじゃない?」

 「ああ、胸ばっかり栄養がいってたせいで分からなかったわ。そんなふしだらな体なんてみっともなくて見ていられないから早く消えてくれない?」

 「はい、ストーップ! 落ち着こうね、御婦人方。喧嘩する場じゃないからね?」

 

 男が仲裁に入ると二人は一旦怒りを鞘に収めたかと思ったが、「向こうから突っかかってきたんじゃん」というマテの呟きのせいでまた口論が勃発してしまった。


 「なによ!」

 「そっちこそ!」

 「いい加減にしろ!キャーキャーわめくな、頭が痛くなる……」


 ついに痺れを切らしたゼフの一喝で二人はやっとの事で大人しくなった。その隣で、「面白いな、この二人」と師匠がぼそっと呟いた。

 いやいや……とめてくれよ、師匠。


 「それで、あんたらが異世界人だとわかると問答無用で切りかかるやつがいる手前、俺たちはあんたらの事情ってやつを聞かなきゃならん」

 「そんな人が……」

 「ああ、街を歩いてると見えただろうが王宮兼城砦も兼ねたでかい建物にいる」

 「そんな偉い人が……」


 深刻そうなゼフの声にツェーリとそのツレが息をのむ。  


 「別はあれは偉くない。ただの王女のヒモだ」

 「一体どんな人なんだ……ああ。申し遅れました。僕はヤンと申します。こちらは僕の相棒のツェーリです。先程はお騒がせして申し訳ございませんでした」

 

 ヤンは深々と頭を下げた。ツェーリと違って出来た人だ。日頃の苦労がうかがえるというものだ。

 というか、曲がりなりにも国の英雄にむかって王女のヒモとは、師匠の中でのエルドリッチの評価は一体どうなってるんだ。


 「なかなか見ていて楽しかった」

 「師匠、今そういうのはちょっと今適切じゃないです」

 「む、そうか。まあ、彼らがここに来た理由なら見当がつく。昨日の私たちと一緒だ。冒険者ギルドの身分証発行を目当てにきたんだろう?」

 「ご明察です。そして、僕たちはこの地が安全かどうか確かめるために来ました」

 「ちょっと! そんなことまで教えていいの?」

 「大丈夫だよ、ツェーリ。彼らは少なくとも敵対的じゃない。僕らには圧倒的に情報が足りてないし、それに怖い人から身を守らないといけない」


 ヤンとツェーリのやり取りを聞いて、師匠が不気味に笑った。


 「この地が安全かどうか確かめるためか……どうやら確定だな。すまんな、思わぬ来客に私は少し興奮しているようだ」

 「あーっと……つまり? どういうこと?」


 テューンが首をひねった。もちろん、俺もわからなかった。いや、今ピンときた。ゼフと篠塚もどうやら正解に辿り着いたらしい。

 そして、その正解をヤンが答え合わせのように口にした。


 「僕たちは天空にそびえる世界樹の守り人、浮遊城イスル・イシュルの住人です」


 

 

 


 


 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 戦神は争いを好むというのは、確かにアレスやエリスのような好戦的な神もいるけど、アテナのような守護の神はそうではないのでは?まあ、あれらと違って事実に基づいてそう呼ばれるようになっている…
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