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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第四章 第二の厄災、天空の世界樹
197/384

『世界樹の担い手』ヤン

ーーーーーーーー篠塚友恵ーーーーーーーー


習得したスキルは『擬似空間作成』。空間収納スキルから派生したもので、このスキル自体に攻撃的な要素は一切ない。だけど、このスキルは師匠が元いた世界で神と同列視されていたゆえんでもある。

このスキルは擬似的な世界を異空間に展開し、その空間の中で魂を模造する。その模造品に本人が受けたダメージを転換することができる。ダメージだけではなく、呪いや毒などの外的要因以外のモノも移せるため、模造品が作成された人物は実質命を二つ持っている状態になる。

私の魔力が足りないせいで、今は一つしか代替え品を用意できない。それを今使った。涼太を守るために。ヤンの用いる世界樹の知識がどこまでこのスキルを看破できるかわからないけど、もしこの欠点にまで気づかなかったとしたら、ヤンの矛先は私に向く。

だって、相手からすれば私を殺さないかぎり、不可解な方法で涼太は死ななくなったわけだから。

もうみんなの後ろに隠れているだけの私じゃない。ちゃんとした目的が出来た。たしかに私にはヤンをどうにかできる力はない。でも、だからって尻尾を巻いて逃げるわけにはいかない。

だから、私はしっかりと自分の足で立って、自分の敵の姿を見た。




ーーーーーーーーヤンーーーーーーーー


たった一振り。そのたった一振りでこうも流れが変わるものなのか。そういうこともあるのは知っていた。でも、それは知識としてだ。それが今現実に起こってる。

及び腰だったリョウタが完全に後ろを顧みない攻勢に出た。それに呼応するように彼の内に秘められた竜の血が全身に巡る。彼の左眼はすでに人間のものではなく、竜の瞳に変化していた。急激な変化に体が顔が痛みに歪むこともあった。だけど、そのぐらいではリョウタは止まらない。

一撃、一撃。重みを増す。

反撃にでようとするけど、あの奇怪な現象が脳裏にこびりついて躊躇ってしまう。次に空振りすれば、容赦なくリョウタの追撃が僕の首を飛ばす。

それほどまでに、この短時間でリョウタは成長してる!

自分の剣の邪魔にならないように遠距離攻撃を主体にした精霊を揃えたのが仇となった。今からでも別の精霊を呼び寄せられる。でも、それじゃあ遅すぎる。

今僕がするべきことは、リョウタが死ななかった原因を究明すること、もしくは元凶であるトモエを真っ先に叩くことだ。

意識を拡張し、世界樹により深くアクセスする。そうすることで、ここで起こってることだけではなく、世界樹を取り巻く現状を全て把握することが可能だ。戦闘が長引けば長引くほどこちらの有利に働く。それは慢心だった。リョウタに限って言えば、僕が追い詰められる側だったんだ。

そして、僕は知ってしまった。

彼女のためならどんな汚い手を使ってでも勝つと決めた。彼女の笑顔が見られるなら自分の命が犠牲になってもいいとさえ思えた。ツェーリ、僕のただ一人の相棒。一緒に『世界樹の担い手』となり、この世界を滅ぼすと誓った女性。

そのツェーリが……彼女の友人であるマーリンの手によって殺されたことを、僕は知ってしまった。

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