一致団結?
ーーーーーーーー佐倉涼太ーーーーーーーー
頭を下げる皇帝陛下を前にゼフもテューンも慎重な姿勢を見せた。ラルフは発言するつもりはないようで腕組みをしたままだし、篠塚はみんなの様子を窺ってる。俺だってすぐに決心はつかなかった。
ただ、戦わなければ世界が滅ぶ、そのことがどの思考の後にも付き纏った。
すると、暗い顔をして俯いていたマテが急に立ち上がった。
「みんなを裏切るつもりもないし、足を引っ張るつもりもないよ。だけど、もう一度ツェーリと話がしたい。どうにもならないことだってわかってる。なんの解決にもならないって……でも、私はツェーリの気持ちが知りたいの……だから、世界樹に攻め込むメンバーに私も加えさせてください」
そう言って、頭を下げる。皇帝陛下にだけじゃない。俺たちにも向けた切実な願い。世界を救うとかいう大それたものじゃないけど、俺たちとっては後押しになるには充分な理由だった。
ゼフは速やかに決断を下した。
「その機体というものを見せてくれ。俺たちの命を賭ける代物だ。ぶっつけ本番で頼るわけにはいかない」
「もちろん、そのつもりだ。パイロットはこちらで用意するが、最低限の講習は受けてもらうよ」
「早速で悪いが、案内してほしい。もう決まったんだ。いくらだって時間が惜しい。みんなもついてきてくれるか?」
俺、ラルフ、篠塚、テューンを順番に見るゼフ。
パーティーを解散するとゼフは宣言したけど、解散したつもりなんて微塵もない。それに、俺たちを拾ってくれた恩をまだ全然返してないんだから。
「水臭いこと言ってくれるなよ。ゼフはそう思ってなくても、俺たちのリーダーはゼフだ。これからだって変わらない」
「仲間のためついでに世界を救うのも悪くないな。私の柄ではないが」
「もちろん、ついてくよ」
「足手纏いにならないように頑張ります……」
安心したようにゼフは少しだけ笑みを浮かべた。
「じゃ、早速案内するよ」
「ちょっと待つのだ」
席を立とうとするみんなを制止するロイアス。その普段の態度にそぐわぬ真面目な顔つきが、並々ならぬ何かを告げようとしているのではと全員を身構えさせた。
「おかわりがまだ来とらんぞ!」
「ロイアスくんはここに置いていこ?」
モニカの提案を全員が聞き入れた。