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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第四章 第二の厄災、天空の世界樹
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チャーハンの匂いを嗅ぎながらの会議

ーーーーーーーー佐倉涼太ーーーーーーーー


 「がーっはははは! こいつはなよなよしたなりのくせに度胸はすわっておるからな! 腕っぷしはまあまあだが、なかなか侮れんもんだ」

 「ご飯粒飛ばすな、この駄神!」

 「ぐぬう、モニカよ。人間でこの俺様にそんな口を挟めるのはおまえくらいのものだな」


 リスのように頬張りながら喋るので対面にいたモニカに尋常じゃない量のご飯粒が飛んだ。モニカがブチ切れるのも無理はない。

 それにしても、あのロイアスがあそこまで言われて矛を収めたままなことに驚いた。


 「話を変えてしまうが、モニカ殿とロイアス殿の関係は召喚した側とされた側以外で何かあるように見えるんだが……」

 「ああ、テューンさんだっけ? 綺麗なお姉さんもあたしの好みだよ、ぐへへ!」


 笑ってはいるが、テューンの顔が引きつってるように見えた。


 「俺様はもう長いこと人間の世界に降り立つことはなかったのだが、どうもオヤジの血が薄いながらも受け継がれておったようだ。俺様がこいつに手を出せないのは女だからというのもあるが、オヤジの祝福を受けているからでもある」

 「なんかよくわかんないけど、あたしに危害を加えるようなことがあったら、ロイアスくんにバチがあたるらしいの!」


 食事の手をとめるぐらいには不機嫌になってるロイアスに対して挑発的な笑みを浮かべるモニカ。


 「余計なことしやがって、オヤジのやつ」

 「まあ、それに助けられてるからね、僕は」

 「うだうだ言ってないで追加のメシ持ってこさせろ!」

 「ひい!」


 皇帝陛下の威厳もあったもんじゃない悲鳴をあげる。

 と、いうやり取りのあとアルフォンスは急に真顔になってため息をついた。


 「そんなことより本題に入ろう。我が帝国が直面してる未曾有の危機について」

 「その前にいいか?」

 

 今度はゼフが挙手をした。

 

 「そこの神さんがあの森にいたってことは、他にも異世界人なり何なり強い奴らを集めてたんじゃないのか? 他に援軍はいないのか?」

 「我が帝国の軍事力は全世界を征服できるまでの進歩を遂げている。平和だからといって軍部も決してあぐらをかいていたわけじゃない。その軍部が出した結論は、我が帝国は三日も経たずして負ける、というものだ。他国に協力を仰いだところでどうにもならない。棒切れで野獣に挑むより悪い状況だ」

 「俺様なら棒切れでも倒せるぞ」

 「ちょっとロイアスくんは黙ってて」

 「神が召喚されたんだ。だったら、他にもいるかもしれない。藁にも縋る思いで探したよ。ロイアスは邪魔だったから適当に乗せといてどこかに行ってもらってた」

 「おい、おまえ! さっきのチャーハンニンニクマシマシアブラオオメだ!」

 「ロイアスくんはおいしいご飯を食べてる時は神様みたいに慈悲深いね」

 「なにを言う。俺様はいつだって寛大だ、がーっはははは!」


 アルフォンス皇帝陛下もモニカもさすがに突っ込む気が失せたようだ。他の面々も苦笑いを浮かべている。


 「つまり、ゼフの質問にあえて答えるなら、目ぼしい協力者は皆無だった。辛うじて、西の山の頂に漆黒の翼をもつドラゴンが舞い降りたと報告が上がった。しかし、そいつは人間のことを餌としか考えていないらしい。山付近にあるいくつかの村は死体一つなく跡形もなく焼き払われていた」

 「……むごいな」


 テューンが嫌悪感を露わにする。


 「死体がないって……そんな……」


 マテの顔が青ざめる。

 西の山に居を構えるドラゴンはどうやら人と歩むつもりは毛頭ないようだ。目に見える人間全てを貪食し、放っておけばどこかの都市にまでたどり着くだろう。そうなった時の悲惨な結末は耐え難いものがある。

 だけど、今俺たちは別の問題を抱えている。


 「だからまあ、援軍は君たちだけだ。あのロイアスが太鼓判を押す君たちだ。僕は大いに期待してるよ」


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