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異世界不死者と六人の弟子  作者: かに
第三章 獅子公ロイアスとカントのはぐれ者
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便利道具扱いと空間収納スキル

ーーーーーーーーテューンーーーーーーーー


 私は同行者に向けて冷ややかな視線を送った。

 リュウガとブリ大根の両名は縄を解かれ、晴れて自由の身になったのだ。ニャルニと出くわしたのも頷ける。彼らに手伝わせるために彼らのもとに向かっていたのだから。つまり、あの二人を縛り上げたのはニャルニということになる。


 「刺さるような視線が程よく俺の肌を刺激してくれるなぁ!ハッハー!モチ肌までもうちょっとか?」

 「気持ち悪いから離れてくれる? この筋肉ハゲダルマ」

 「手厳しいなぁ! しかぁし! 俺はハゲではぬぁい! ふさふさだぞ、ん? このキューティクルなヘアーを触ってみるか、ん? 愛おしすぎてトキめいても知らんぞ、ん?」

 「生理的に無理」


 ニャルニとリュウガの温度差が若干面白く感じてしまった。ブリ大根の様子からもこれがこの二人の日常なのだろう。


 「しかしまぁ、そんな見てくれで全員狩りの経験がないとは……いや、リョウタとトモエのこともあるからそっちの世界じゃそれが普通なんだろうが」

 「お世話になります!」

 「あざっす!」

 「後学のためによろしくお願いする!」


 こういう時だけ足並みを揃えたかのように息が合う三人。まったく仲が良いのか悪いのか……。


 「じゃちゃちゃっと終わらせよっか!」


 ニャルニのその発言を機に三人は散開する。私とゼフはその場で待機でいいとのこと。

 どういう原理か知らないが、あの三人にはパーティー機能という能力があって、その能力でパーティーメンバーの位置を特定することができるらしい。土地勘がないから、それを応用して私たちをコンパス代わりにすると言っていた。だから、動くと逆に困るとまで言われた。

 ちなみに、ジークリットとは組めなかったが、私たちとは組めたみたいだ。やはり師匠の血をもらい、眷属になったことが影響しているんだろう。


 「テューン、良い機会だから相談したいことがある」


 いつもの渋い顔をより一層渋くさせるゼフ。気恥ずかしいのを隠そうとして怖い表情になっているのが私には分かる。かくゆう私はゼフが相談事を私に話してくれることに、少し心臓の鼓動を早めた。いや、結構ドキドキしてる。いや、ドキドキしてどうするんだ私。


 「リョウタが伸び悩んでいることを師匠に打ち明けていたんだが、実は俺も悩んでてな。防御に関しては誰にも負けない自信がある。だが、攻め手となると以前と変わらん。そう慌てて何かを得るということはないと分かってるが、取っ掛かりがほしい」

 「私に相談するということは『魔鉄錬成』を使いこなしたいってことだろう?」

 「まあ……そうだな」


 バツが悪そうにゼフは頭を掻いた。

 当然のことだろう。私だって『魔鉄錬成』を誰かが先にマスターするようなことがあれば教えを乞う。ゼフの行動は正しい。ただ、なぜか落胆している自分がいる。それとは同時に、ゼフに頼られていることに喜んでいる自分もいる。私たちには信頼関係こそあるにはあるが、それを口にしたり行動で示すようなことはほとんどなかった。安直ではある。だけど、素直に嬉しいものである。


 「しかし、私も『原子操作』のスキルの補助があってこそだからな。参考にならない可能性がある。私自身、感覚は掴めたが未だスキルの補助なしではままならない」

 「たしかにな」

 「代わりといってはなんだが、『魔鉄錬成』の練習を重ねていくうちに気付いたことが一つある」


 そう言うと、私は空間収納スキルで魔鉄で作った剣を一つ取り出した。柄すら付けていない無骨なものだ。それでも、魔鉄特有の魔力を放っている。


 「ゼフ、今ので気づかなかったか?」

 「……いや、さっぱりだ」

 「まあ、私も気づくまでは完全にその認識が抜け落ちていた。空間収納スキルには、そこに収めたモノの気配を封じる働きがある。それはつまり」


 私は剣を空間収納スキルで収納した。あの特有の魔力はすっかり消え失せ、痕跡すら残していない。単なる便利なスキルの認識でしかなかった。だけど、これに気付いてからはそうではなくなった。

 ゼフも理解したようで、その眼光は鋭いものとなった。


 「これは不意打ちに使える」

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