18.本格的暗殺実行 後編 その2
貴族の姿をしたホムンクルスは、なかなかどうして高性能の部類らしい。
それは、ソイイーターである僕の動きに着いて来ていることからも推測できる。
後ろの三人も貴族らしい身なりをしているけれど、戦闘に参加するつもりがないところを見るに、生身だと見做して問題ないだろう。
閃光弾で一時的に視覚を失っている三人は、大声でお互いの無事を確かめ合っていた。
「バーンドチェーン卿はいずこに!?」
「私はここだ! ハングドダック卿!! シェイクソードの惰弱者は……」
「バーンドチェーン卿! 今はそれどころでは! フォーハンド卿、フォーハンド卿はいずこ!?」
各々確認を取っていたようだ。しかし、今の流れから消去法で行くと……。
「ワシは今虫を潰さんとするところだ! 死ね! 死ね、ソイイーター!」
僕と鍔迫り合っているホムンクルスが言った。
「おおっ、フォーハンド卿! 野蛮なソイイーターを潰してしまってくだされ!」
貴族の一人が目を押さえながら言った。
そうか、やはり……。
キィィィーーーーン!!
僕とホムンクルスは一旦激しく打ち合って鍔迫り合いから離れた。
『鋳掛屋』が叫ぶ。
「『代筆屋』の兄さん! 手出し無用か!?」
「ああ!」
僕は返事をした。
ところで貴族三人はこのホムンクルスがフォーハンド卿だと思いこんでいるようだ。
こういう手合の噂は聞いたことがある。暗殺を避けるべく、自分に似せたホムンクルスやアルラウネを遠隔操作する貴族のことは。
しかし、実際目にしてみるとかなり質がいい。高い金を積んだのだろう。
ギィィィィィーーーーン!!
再び打ち合う。なかなかどうして、堅いじゃないか。
それにしても僕らの依頼人であるThe C氏は、フォーハンド卿が別の場所にいると予想していただろうか?
バーンドチェーン卿以下三人の貴族には手出しせずとも良いと述べていたところを見るに、おそらく噂レベルではつかんでいたに違いない。
それならそうと言ってくれればいいのに……。
……さて。どう攻略してやろうか。




