ワタシ、街に降り立つ!
オッスメッスです。童貞独身社会人トリオ社長、つゆだくです。
無理やりにでもアイデアを引き出すために、たまに深夜ハイテンションを使い始めました。心身ともに悲鳴を上げています。www
はぁ~…誰か代わりに書いてほしいんじゃぁ~~~。
「着いたぁ!」
ワタシはレンガ調の地面に降り立つと、エルフちゃんのおっぱいもとい肩から手を放し、目の前に広がる風景に目をやる。
そこに広がるのは街、というよりワタシたちの世界で言うところの商店街や市場といったものだった。
その街は活気づいており、きっと商店街もこうして栄えていたんだろうなと感じさせるような温かみがあった。
「なんかここ、いいね」
「は、はい…ここはこの地域ではとても有名な街、『ウェル・トラウン』。もう少し北にある城下町ほどではありませんが、とても賑やかな街ですよ」
少し後からやってきたエルフちゃんは、ハァハァと色っぽい吐息を混ぜながらワタシの隣に立つ。
普段から大人な口ぶりなせいか、容姿に反してとても艶っぽく聞こえてしまう。
無理もない。揉むだけにとどまらず、hshsしたり、はむはむしたり…とにかくすごかった。
エルフちゃん、今夜は寝かさないゼ!
「ところで、卑猥さん。何か好きな食べ物はありますか?お肉とか、お魚…あと野菜とか」
「好きなもの…そうだなぁ」
正直なところ食べ物にはそこまでのこだわりがない。
そもそもこの世界に牛はいるのかとか、お米があるのかとか…それすらもわからない。まぁ話から察するに、魚とか野菜とかそういうものはワタシたちの世界と同じように食べてるみたい。
「とりあえず苦いもの以外なら何でも好きだから、なんかエルフちゃんのおすすめの料理が食べたいかな?」
ピーマン、ニンジン、セロリ…私が嫌いそうな味は総じて苦いものばかりだから、こう言っておけばまぁまずハズレはないだろう。
「わかりました。それでは私はお買い物に行ってきますので、卑猥さんは街を巡ってみてはどうですか?見たところ、あまりこの近辺に来たことがないようなので」
「え、いいの?それじゃあちょっとだけ見て回ろうかな…」
近辺、というかそもそもこの世界に来ること自体初めてだから、少しでもこの世界がどんなものか把握しておきたい。
通貨とか、それ以前に食べ物のこととか。いろんなことを知っておく必要がありそうだ。
「それじゃあ、あの時計で3時くらいになったらまたこの広間に集まりましょう」
「あ、うん。わかった」
「それでは卑猥さん、また後程」
「あ、ちょっと待って!」
「はい?」
「ワタシのこと、『卑猥』じゃなくて『遊』って呼んでくれない?」
さっきからワタシが名前を呼ばれるたびに、周りから変な目で見られる。
あ、これが変態を見る目なんですね、ってくらいすごく冷ややかな目で。やめて!そんな目で見ないで!
というかエルフちゃん!君が元凶なのに何その「え?なんでですか?」みたいな目!『卑猥』って言葉知らないの?!161年生きて!?純白すぎるわ可愛すぎるわ抱いてやろうかこの野郎!!
ということがあった後、エルフちゃんに理解を得てから二手に分かれた。
エルフちゃんはいわゆる食品売り場。ワタシは―――
「ほぇ~~~。やっぱりファンタジー世界なだけあって武器屋とかあるんだ。何々、鉄の剣っぽいのが…やばい、字が読めん…」
とまぁ、あてもなく歩き回ってるわけで。
とりあえず今わかったことといえば、ワタシたちのいた世界と言語は一緒だけど文字に表すとまったくの別物。線が連なっているようにしか見えず、ワタシが知る限りの文字では解読できそうにない。
また、勇者や魔王などそういったファンタジーあるある的なものはこの世界にはないらしい。
先ほど見つけた武器屋は人間を脅かす生物、つまり魔物を討伐する人向けに販売されているらしい。
まぁ、大体仕入れた情報はこんなものしかなくて、他はさっぱり。
通貨がどんなものでどれだけ種類があるのか(少なくとも今日で硬貨だけは確認した)、エルフや人間以外にどのような種族がこの世界には生息しているのかとか、まだまだ知るべきことは山ほどある。
特に知らなければならないものはこの世界の『流行』だ。
ワタシがこの世界を変えれる唯一のことは文化を、つまり流行の波を新たに作ること。
けど、この今現在構築されつつある文化を知らない限りは、流行を作るなんてできるわけない。
でも、この世界の文字も読めない、この世界の情勢も知らないワタシがどうやって…
「さて、どうしたものか…」
「おい、そこの嬢ちゃん!よかったらうちの皿でも買ってかないかい?」
道横に店が連なっているレンガ調の道を思いふけりながら歩いていると、ふと横から声をかけられる。
振り返るとなかなかごつい体をしたおじさんがニカニカと笑っている。手にはごついおじさんには似合わないきれいな白色の皿を持っている。
「昨日の夜焼き上げた力作なんだ!よかったら見て行ってくれ!」
「は、はぁ…」
あぁ、これはあれだ。近くに寄ってみた瞬間、「商品を見たんだからせめて一つくらい何か買ってけ」的な、よくデパートとかで遭遇するやつだ。あの時の店員の威圧感はいつも怒ってる上司とかよりタチ悪い。
しかもワタシはそういうイケイケな感じはあまり好きじゃない。一方的に話されるとどうも慌ててしまって目が泳いでしまう。(会社とかの面接なんかテンパって目が荒ぶってたなぁ…)
「あれ?」
目が平常運転から非常運転に切り替わってすぐのこと。ワタシの目の前にある店とその隣の店の間。路地裏みたいなとこの奥が怪しく光っている。
その光はろうそくの火のように揺れ、ふわふわと儚げに光を灯している。
ワタシの小さなつぶやきと目線で何かを察したのか、おじさんは溜息をつく。
「おいおい嬢ちゃん、勘弁してくれよ…あの店に興味あるとか、なかなかもの好きだな」
「え、えと、何か問題が?」
「いやいや問題も何も、あそこは『魔女の店』だぜ?誰も近寄ろうともしねぇし、そもそも興味すらわかねぇよ。あんなわけわかんねぇもんばっか売りやがって…ったく、あれが近くにあるせいでうちの売り上げも上がったり下がったりだよ」
「わけわかんないもの…?」
「あぁ。前までは気持ち悪いけどよく効く薬で済んでたんだが、聞いたところによると最近は魔法か何かもわかんねぇ光る物体を置いてるらしいじゃねぇか。ほんと、魔女ってやつはキチガイばかりだよ」
「光る、物体?」
「あぁ、もうやめだやめだ。嬢ちゃん、悪いことは言わねぇ、あんなとこには―――って嬢ちゃん!?」
おじさんが全部を語り終えるその前に、ワタシの足はその路地に向けて歩みを進めていた。
理由は特にないけど、そこに行けば何か掴めるかもしれない、そんな気がしていた。
まぁ、どこぞの主人公みたいに店に入った瞬間急展開~みたいな高望みはしていない。
けど、変化は欲しい。この世界に変化を与えるだけのアイデアが作れるほどの。
建物と建物との間は昼間でも太陽の光を寄せ付けず、不気味な雰囲気を醸し出している。
この空間で頼りになるのはゆらゆらと揺れる今にも消えてしまいそうな微かな光だけ。
ワタシが歩みを続ければ後ろからの光はだんだんと遠くなり、『魔女の店』と呼ばれているものの全容は近づくにつれ明らかとなってくる。
「ここが魔女の店…」
見たところ紫の布地に模様が入ったテントといった感じ。怪しく光っていたものはその近くを空中で漂っており、光の玉、とでしか表現できないような見た目をしている。
「うわぁ…明らかに魔女がいるって感じ醸し出してるじゃん」
まさかとは思うけど、入った瞬間殺されるとか、変な実験のサンプルにされるとかないよね?そんな初見プレイヤーに優しくない設定組まれてないよね?
いろいろな妄想が頭を駆け巡る。正直怖くて仕方ない。けど―――
ふぅ…と小さく深呼吸。
「よし…」
テントの割れ目に手を伸ばし、のれんをくぐるみたいに中に入る。
「う…何?」
テントの中は先ほど通ってきた道より暗い。けどその中に、いかにも目に悪そうな光が一つ。
一瞬視界が眩んだけど、どこか懐かしさを覚えるその光には目がすぐに慣れた。
「まさかとは思うけどこれ、ディスプレイ…?」
「「そう、そのまさかです」」
突然、ワタシ以外の声がしてビクッとなる。いや、店なんだから誰かしらいてもおかしくはないんだけど…まさか、魔女?しかも二人…最悪な展開だ。
「だ、誰?」
「「声が震えていますよ?もしかして、怖がっているんですか?」」
「そ、そんなことはどうだっていいのよ!ワタシの質問に答えて!」
心の内を暴かれて声を荒げてしまった。
というかこの棒読み…妙にむかつく。
「「ふふふ…わかりました。そんなに知りたければ見せて―――あっ」」
瞬間、一気にテントの中が明るくなる。
二度目の目眩には多少驚いたけど、その光に対してもすぐに目が慣れた。
そして声がした方に振り返り、その目で声の主である二人をとらえた。
「…ってあれ?もしかして―――」
明るい茶色をしたセミロングの髪。小柄で華奢な体は目眩によりさらに縮こまり、ワタシと彼女らの間にある電球から目を背けるような形になっている。
ワタシの位置からは顔を見ることはできないが、さっきの平坦な声といい、息ぴったりで同じ見た目といい、ワタシはこの二人を知っている。
「ウェア、ちゃん?」
「…はい。その問いは姉であるこのハードに向けられたものですか?」
「それとも、妹のソフトに向けられたものですか?」
ワタシの問いに対し、彼女らは順に答えながら振り返る。
瞼を気怠そうに開くその顔は鏡合わせにしてるかのようにそっくりで、髪の分け目くらいでしか判断がつかないくらいに似ている。相変わらず、というのが最初目にしたワタシの感想だ。
ウェア姉妹。世界で知らない人はいないというほどの天才で、姉であるハード・H・ウェアはゲーム業界の夢であった『フルダイブ型VR』の元となる機器を開発。妹のソフト・H・ウェアはその機器のプログラムをたった一人で構築した。
しかも、その研究・開発にかけられた時間はたった2年で、その道のプロが何年かけても開発できなかったものをあっという間に開発してしまった、まさに神童…
「いや、どっちでもいいよ。でもまさか、こんなとこで二人に会うとは思いもしなかったよ。結局、あれからどうしてたの?」
「はい。大学4年生になる直前にアメリカの研究所に声をかけられまして」
「すぐにそちらに移り、研究員として働いていました」
「…あれ?ていうことは、君らも1年目…?」
「「そうなりますね」」
ぐふぅ…!同じ大学のサークルに所属していたワタシは唯一のアドバンテージである年上による地位的高さをフル活用していたけど、社会に出るとそうはいかない…
誰が有能であり、誰がよく働くか…否!歳を気にしている場合じゃないのだ!
ということで、唯一のアドバンテージであったはずの地位は同時に社会に出たことから、ごみくずが風に吹き飛ばされたかのようになくなり、ウェア姉妹に頭が上がらなくなった…!さよならばいばい年功序列!
「「ところで…」」
「あ、はい!なんでしょう!」
い、いかん…変に意識してしまって敬語になってしまっている…
「副部長は今…というより、前にいた世界ではどんな仕事を?」
「ソフト。遊先輩も、私たちも、もうあのサークルの一員ではないのよ。副部長と呼ぶのはおかしいわ」
「い、いいよ。愛称みたいなもんだったし、気にしなくても。ワタシはエロゲ会社に勤めたんだよ。まぁ、予想とは違ってテストプレイができるわけでもなかったし、雑用ばっかだったけど…けど、あの時のサークルみたいな楽しい会社だったよ」
ワタシたちが所属していたサークル『ゲー専(ry(ゲーム専門研究会の略)』では、ワタシは副部長と名ばかりのサークル警備員(何もしない)で、二人は唯一ちゃんと研究会研究会してた。
ワタシと部長の無茶ぶりに対し、その無茶ぶりを形にして返してくる二人。たった四人のサークルだったけど、その四人だったからこそ楽しいと思えたのかもしれない。
「そう、ですか…」
「…ソフトちゃん、どうしたの?」
ワタシの言葉を一通り聞き終えると二人とも俯き、いつも無表情な顔に一層の影を落とす。何か気に障ることでも言ってしまっただろうか。
口をつぐんでしまったソフトちゃんに代わってハードちゃんが口を開く。
「…私たちが行った研究所は、何もできない閉鎖空間でした。会社に行って、ただ与えられたノルマを熟して、帰るだけ。意見することも許されず、変に発言すると給料を減らすとかいろいろ脅されて…」
「なっ…!それって………」
パワハラ…あれやってるの日本とかくらいだと思ってたけど、まさかアメリカでも…
「でも、二人みたいな天才が何でそんな…」
いくら新入研究員といっても腕は折り紙付き。そこらの中途採用や研究員より断然仕事はできるはずなのに、どうして…
「理由は単純です。私たちの直属の上司が気に食わないと感じたからです」
「え…」
それだけ?それだけの理由でパワハラなんかを…
それまで俯いていたソフトちゃんが顔を上げると、一変して普段の無表情に戻る。
「でも、もういいんです。こうやって異世界に来て、好きなことたくさんやって」
「あの数か月より、こっちに来てからの一か月の方が」
「「とても楽しいです」」
二人でそう言い終えると、無表情ながら優しく微笑んでいるかのような、そんな一面を見せた。
そっか。なんやかんやこっちの世界で幸せを感じる人もいるのか―――ん?
「え、今一か月って?」
「…?はい、そうですが」
二人同時に見つめあい、不思議そうに首をかしげながらハードちゃんがそう答える。
いやいや、ワタシも内心そんな感じだよ。わけわかんないよ。
ワタシがこの世界に来たのは、気絶した時間が長くても大体数日前のこと。けど、ウェア姉妹がこっちの世界に来たのが一か月前…
ワープするのにラグでも発生したのだろうが…
「ま、まぁいいや。ところで、ここにあるのってやっぱり…」
さっきから気になっていた、テーブル上にあるこの見たことあるような物体。
これは明らかに…
「はい。ゲーム機ですよ」
「二人で作りました」
「やっぱり!?うわぁ~、こっちに来てからもう見ることはないと思ってたんだけど、まさかこんなに早く見ることができるとは…で、性能は?」
「「4ビットです」」
「低っ!?」
何それ!?レトロゲーム代表格の一つであるファ○コンより低スペックじゃん!何できるかもわからないレベルだよ!
「いや、でもすごい…すごいよ。まさかこの世界でゲームが…って、電気は?どうやってこれ動かしてるの?」
エルフちゃんの家とこの街の感じでもわかったけど、少なくとも生活に電気を応用してるなんてことはなかった。使っているのは主に火で、それ以外に目立って使っているものとすれば魔法くらいなものだ。
でもワタシが知っているものは、電気信号によってゲームをコントロールしてるんだけど…うん。コンセントどころか、ケーブル一つも見えない。どゆこと?
疑問符が頭の上で踊っているワタシに対し、ウェア姉妹が淡々と説明を始める。
「そうですね。この世界には電気は使われていません」
「なので、魔法を応用しました」
「え?魔法を?」
「はい。この世界において魔法は唯一無二のエネルギー」
「それを電気と置き換えることも不可能ではない、ということです」
「魔法を電気に置き換える…?そもそも、エネルギーなんてものは発生させる媒体あってこそでしょ?それは魔法も同じだし…けど、二人が今ここで魔法を使ってるようには…」
一度魔法を使って分かったけど、ずっと使い続けてると相当な疲労に襲われる。けど、二人にはそんな傾向は起こっていない。
「そうですね。…この話はもっと詳しい人にしてもらいましょう」
「詳しい、人?」
「はい。私たちの魔法の師匠」
「「魔女のウィッチさんです」」
ども、最近仕事疲れですぐ寝てしまうフジりんごです。
とにかく眠いwww
皆さんも早く寝ましょうね♪
次回もよろしく!
そしてブックオフで気になる本を見つけたらついつい買ってしまうほたるたです。
諸事情で以上になります。