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2年の月日 神埼舞

二年の月日 神埼舞


もじもじ・・・

ルインちゃんはいつもどおり可愛く帰ってくる、そんな日々は出会って半年も経たずに終了した。

ある日を境に、言うならば男から漢を見るようになった。

それから帰ってくるたびに、雰囲気がまるで違うのだ。帰ってくるたびに数段とばしで漢をあげてくる。

私がもじもじなんてする日が来るとは・・・って召還されたあの日から愛してます、が頭から離れないから仕方ない!

 それに日本にいる時間とアルブにいる時間をなるべく同じにしてもらっているが、アルブに行って帰ってきたときの変貌振りは半端ない。

 だから最初に確認するのだが・・・たった!と思うのを毎回ごまかす。

「1っヶ月!?」

「はい、そうなります、同じにしていますよ。感覚は一瞬ですけど、心配させてすみません。でも、これでも舞さんと地球で過ごす時、なるべく癒やされたいですから区切りがいいところを見計らうとどうしても・・・って舞さん?」

「ど、どうりで!」

 いやいや!!一ヶ月でそんな魅力上がるのかね!!おお、マイゴット!!

「うん?あ、背がちょっと伸びたかな。ふふ」

『残念ながら背は伸びてないけど・・・凛々しくなって。抱きしめた感覚も、抱き。抱かれた・・って!そ、そう男らしくなって弾力がそれにぃ瞳が・・・』

「あの舞さん?召還しなくて怒ってます?約束どおりもっと強くなったらですから勘弁ですよ?」

 といって、指を唇にあてているルイン様。な・・・なんだそれは!この一ヶ月でまたすけこましもレベル上がったのか・・。やばい・・・鼻血でそう・・。

「あ、あははは!とりあえず、そ、そうだ。お、お土産は!?」

「お土産ですか!ご、ごめんなさい・・・えっと何かあるかなぁ。どたばたして気遣いできなくて・・・う~ん」

『もえ~~~!?か、可愛いところはそのままだ!すばらしいぃ。ルインちゃん、あいらぶゆーー』

「これなんてどうでしょう!その写真入れのネックレスに繋げればお守りになるかな?綺麗ですし!」

「ち、ちかいよぉ!きゃほ」

「ご、ごめんなさい!引っ張ってしまって!苦しかったかな?」

 すっごく苦しかったよ、違う意味で・・・何?強引さもアップしちゃってる!ネックレスでよかった!

ドラマでネクタイを引かれてキスされる馬鹿男が呆けるのも無理は無い!血の制御が!!

「お・・・・こ、これは!」

「ヒール!」

「え?」

「クリーン!」

「あ、ありがと?」

「鼻血でるまで、あ、お風呂上りでしたね!首痛くないですか?最近力も強くなって、こちらだと加減が難しいです。これ課題ですね。・・・地球とアルブの変換率を調整しないと・・・あ、僕も入ってきてきます。野営が続いていて、魔法でお風呂を設置しているんですけどどうにも一人でゆっくり入りたいのに」

「ま、待って!ルイン君・・・お、おかえりぃ!」

「舞さん、ただいまです。そうでした、言い忘れちゃうなんて、ごめんなさいです。でも、立ち上がって言いましょうね、膝すりむいちゃいますよ?」

「う、うん・・・」

 じゃあといって、脱いだマントや軽装の装備を脱ぎつつ、ぶつぶつと何やらを話しつつ脱衣所に向かう・・・旦那さま?

『あ、やばい・・・なんだ。これ、これが!妻の喜び?!』

 うきょえええええ!もう理性が!理性が持たないかもしれない!!

修行のおかげで、魔力UP、操作はもちろん、体術のなんたるかを知り鍛え、地球人一、最強に成り果てたかもしれない私だが!ルインしゃんには差を広げられていくばかり!

精神が!!精神が足りない!!理性がぁあああ!

ごろごろと家具にぶつかるのもお構いなしに転がる!こそっと並んだ布団を引っ付けるのは忘れない。よし!・・・ってちがうぅううう!



 昨夜も深夜まで眠れなかった私だが、最近癖になりつつあるスリープをかけてくるルインちゃん。正直助かった。が・・・これももちろん違う・・・。

「ふむ・・・どうするべきか・・・」

「ヘイ舞!どうした?なんかあったんか?やで?」

「相変わらず能天気底抜けの馬鹿標準装備。アンタソレバニー」

「アンソレ・バーニ!でーす!セクハラで~すぅ!」

「どちらかというとパワハラだ。胸については同意するが、アンタソレなにくった?とな」

「アンタソレはいいとして、訓練中だよ、休憩といっても気を抜くなんてらしくないよ」

「うーーん」

 目の前に私の元同僚、同格の部下がいる。

実は私、神埼舞は異例の待遇で部隊を持つことを許された。

本来、国際テロ対策で出来た部隊は、日本とアメリカを中心に日本で活動しているが、その実、国政事情を考慮して志願制で集まったその場、その期間の傭兵感覚の部隊だ。

傭兵なら指揮系統などを牛耳るのは依頼者側。だが、二国を中心に多国籍として銘打った部隊は任務の種類により国が管理している。具体的には法規をチェンジさせるため、隊長をその任務に適している国籍に換えることで体を保っている。

残念なことだが、日本側よりアメリカ側の方が隊長になりやすい。

 が、しかし、強さにおいて逸脱してしまった私はどの任務でも階級は関係なく異議を通すことが可能になっている。この私ほど、この制度の裏の使い方を体現しているものはいないだろう・・・。

「な、なに。また子ども扱いしたらぶっ飛ばす!」

「いや、可愛いのは変わらない、が、ルイン君には及ばず」

 この二年・・・。やばいんだ。どうする・・・。やっぱり軍を止めたいよぉ。全てはルインちゃんと一緒にいるために・・・。といって辞表を出したのを止めたのはルインちゃんで、引きとめとか条件とかが良くなったこともあり辞められない。可愛い部下も出来てしまった。

 ぷるぷると震える拳を掲げるのは、小柄な日本人、南天 葉鐘 (なんてんはがね)。くりっくりの茶目っ気のある可愛い目をしているが一番冷静な部下だ。

「き、気持ちは分かるけど、それは男と比べて負けたってことになる。よってぶっ飛ばす!」

「落ち着くで~す!ナンテンなにいってんねん!」

 この英語も日本語もふざけているのがアンソレ・バーニ。名前が本名か怪しい時がある、ちょっとやっかいな事情を持っていると踏んでいる、金髪のホルスタイン。

「名前で遊ばない。で、どうした?らしくない、今なら最近の負け続けも挽回できそうだ」

「うっとおしい。貴様はもう我の足元にも及ばず」

 こいつが、時華沙織しけさおり日本人と中国人のハーフで、三国志や織田信長やら忠臣蔵やらが好きな残念、佳人ってやつだ。以前は、わたしより強く、最強の女と言われていたが修行をはじめ2ヶ月で抜きさってやった。それから志願してきて、面倒な女だ。

「っく・・・」

「くっ殺とか・・・騎士じゃないんだから、あ、武士ならいいか」

「相変わらずしけてんなぁ!で~す」

「親父ギャグをやめろ。時華しけの血花にしてやるぞ。バーニ」

「おお、怖いです・・・くびちょんぱで~す。バッツ刀は邪魔じゃないですか?」

「う、うるさい!日本人が忘れた心は名前と引き換えに私が引き受ける!その証として購入したこの刀!アメ公に言われる筋合いはない!」

「それ人種差別だし。軍費の支援で顔利かせる実家がなくちゃ没収よ?・・・・で、どうしたんです?副隊長の私にも言えませんか?最近絶好調の舞先輩」

『う、うるさい・・・いいじゃないか。刀一本くらい。持たせるだけで最新装備を割りびきしているのだ・・ぶつぶつ』

 そう、時化はなんというか、馬鹿なのだ。人間として、欲と誇りを都合よく介錯している。お嬢様体質が抜けない屁理屈でもあり、ただのオタク。オタクと違ったのは家の力で英才教育を受け、スパイ映画にでてきそうなほど強く賢くなってしまった筋金入りのオタクということだ。嫁の貰い手?本気で見合いの席で抜刀し私より強きものとか言っちゃった。向こう10年はないだろう。

 と、皆がこちらを向いている。・・・うん、本当に部下が慕っているのはありがたいが、言っても良いだろうか・・・聞いてみるか?

「どこか、ないだろうか?」

「「「??」」」

「法律的には15の子と結婚していい国は?」

「・・・・・本気で言ってるな」

「まじですか」

「た、隊長?そ、それはいくらなんでも」

「ないだろうか?ぶっちゃけもう我慢できない」

「これはミッション開始か?ルイン君が危ない」

「ま、まって。こんな真剣な舞さん、戦闘以外、いや戦闘でも最近は珍しいくらい」

「そ、ソウデス。自由の国より自由なところ・・・探すデス、また辞めるとかいいそうです!」

「う~ん・・・ちゅ~したい。超ちゅうちゅうしたい」

「「「!?」」」

「ぼさっとするな!もう休憩は終わりだぞ!で!隙あり!」

「組み手・・・でも・・・くそ・・片手間にあしらわれるだと」

「足元!なら!」

「ちゅ~は年齢関係ないのだけど、なんか照れて出来ない。どう思う?」

「葉鐘読みやすいからいけないデーす!」

「そういう貴様もいつものぴょんぴょん攻撃が通じてないぞ!とふざけた質問を!」

「ちょっと二人とも!武器を使って!いくらなんでも全員でまけたら私たちの面子が!しかもこんな不埒な考えしてる人に奇襲でも駄目だなんて!」

「ちゅーしたい。私は真剣だ!」

「「「このぉおお!!!」」」

「う~ん、早く終わらないかな、この訓練」

「くそ・・・殺せ」

「くっころなんて・・・でも言いたい」

「化け物で~す」

「・・・どうすれば・・・め、目隠し!いや・・今は気配でわたしがノックダウン・・・むぅ」

「クレイジー・・・」

「何で俺たちまでやられてるんだっけ?」

「カーラン大佐にきけ」

「いや、伸びてる」

「舞さんってすげー強すぎっす・・・誰か救急車呼んでほしいっす。おれっちだけ最近入退院くりかえしっすよ」

「ルイン君か・・・会いたいな。あの子はいい子だった」

「ボブ!!死ぬな!死ぬんじゃない!」

『『『どうにかしないと・・・』』』

「あ、お疲れ様!時間なのであがる!いや、あがりますぅ!切り替え切り替え!妻として!今日の晩御飯はなににしようかなぁ~るるる・るいんきゅん!そんなお風呂が先だなんて!お、汗臭いだと・・・さすがに考え事しながらだと少しは疲れるのか!着替えねば!こほん!着替えなきゃ!るるる・・るいんきゅん!」

「「「おお・・舞・・・ゴッド・・・」」」

「「「「「ファック!」」」」」

お読みいただきありがとうございます^^

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