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匂い

帰還そして

 すん、すん・・・

 焼けたにおいがする。

 目の前にはエンゲージの青白い光。

 そして木々の匂い。土の匂い。

 帰ってきたんだ・・・かえってあぐ!!!

 ふいに立ちくらみがした。

『帰還時間、初回にて時間差があります。経過時間は魂回帰、復元、調整に自意識回復5時間ほどかかりました。その時間は無調整です。今後は時間差なしに転移します。他、調整不可、過去、未来調整不可です。

また、今後はスキル、魔法、能力は魂へ別記し、他者閲覧不要。星に願いは時間のみをログ。以後はこの案内はありません。終了します』

 っつつ・・・・もどった。感慨に耽ることなんてできなかったな。

 ってなんだこれ?

 うずくまって立ち上がろうとすると、腕に緑色の模様があった。

 円形に表示された地球20時11分。

「なんだろこれ・・・あ、ログなのか?ってことは時間のこと? これも調べなきゃ」

 ざざっ!

 はっと我に返るほどの気配だった。

 大勢いる。

「リエン!?」

 !?

 振り返れなかった、お、驚きすぎて。でも、肩が震える。

 いる、母様が・・・近くに

 立ち上がる気配がする。

結構な数だ。

「いリ、リエン・・なの? り、りえん? リエン!?・」

「危険です! 何者だ!」

 びくっとしてしまった。

 ゆっくり振り返ると、あ、ルミエナ様だ。

 剣をこっちに向けている。

 そ、そうか、死んだんだもんね。

 「・・・・・・もしかしてずっとそこに?」

 思わず声をかける。

「あた、あたりまえよ・・・あなたが、ここにいるんだもの」

 何をと思えば、結晶。

 手も、服もぼろぼろになって・・・

「それは・・・?」

「馬鹿ね、わたし・・・リエンがいるのに・・・目の前に」

 バリスタが母様をたたせ、丁寧に結晶を受け取った。

 ゆっくり、ふらつきながらも、立とうとしているかあさま。

 心が締め付けられる。

 待ってくれた?

 ずっと?・・・泣いていたの?

 僕の為に?

「こぞう、いや、リエン様といって離れなかったのだよ、かれこれ5時間」

「5時間・・・」

 言っていた。最後の案内が。

 足が一歩踏み出していた。

 会いたかった・・・

 今なら・・・抱きしめてもらえるかもしれない。

 色んな話ができるかもしれない・・・

「バリスタ殿! リエン殿ではない! 髪の色が! 全員構え!!」

 ルミエナ様がかあ様のまえに油断なく構えたった。

 ほ、本気だ・・・そんなに変わった?いや

「えっ? 髪? 髪がどうかしたの?」

「美しいではないですか、どいたほうが身のためだとおもうがね」

「りえん! 良かった! ごめんね・・ごめん! そんな真っ白になるまで」

「真っ白?」

「き、気づいてないのだ。ルミエナ、下がりたまえ」

「ギルバート様まで! せめて確かめてから!」

「どいて・・・」

 かあ様が、俯いた。

 どこか、子供が俯いて泣いているようだった。

 汚れていた。

涙をこすったのか、泥で顔も髪も乱れているし、服が・・・精霊のローブが。

血? 爪がぁ・・はがれてるよ。どうしたの・・・かあさま、そんなに僕のことなんか心配してぇ 

 自然と手が前に伸びた。

 足が前にふらついた。

「リエン・・・!」

 かあ様が見ている。

 近づいてくる。

「族長、危険です! 近づいては! 前に構えろ!」

「え・・・」

 足のふらつきが止まってしまった。

 そ、そうだ、僕は感極まって。

 恥ずかしい、今度は僕が下を向いてしまった。

「やめたまえ、君の為にいっとるんだがね」

「わたしとてこんな役、しばしおまちヲォウハァッ!」

 ルミエナさまが飛んだ・・・物理的に・・・

 ドンとかじゃなかった、お、折れてるんじゃないかな・・・

「リエン・・・ 本当に!」

 ルミエナさまが飛んでいったすぐあとには、目の前にかあさまがいた。

 あのいっしゅんで。

「ええ、かあさま・・・その」

 呂律がまわらなくならないように必死だった。

「よかった・・・良かったわ・・・」

 かあさまも緊張しているのか・・・

 そうだよ、ずっと話せなかった。

 本当に久しぶりなんだ。

 上目遣いで覗くように見ているだろう、情けない目を戻さないと。

 ふぅーーー冷静に・・・

「確認したいのですが、5時間しかたってないのですか?」

 僕は見上げた。

 ふいっと一瞬ね!

 無理だった。

 直視できない!

 こんなときはバリスタだと本能的にじぃをみてしまうのも仕方なかった。


 ふわり・・・そうふわりだった。

 かあさまが・・・ぼくをだいている・・・?

「そんなことどうでもいいでしょ!」

「左様。まぁ正確には4時間58分になるとこですな」

 思わずショートした!

 じ、時間の確認ね、時間はうで、腕を見る! そううで!

「腕が痛いの!?」

「いや、大丈夫です!」

「癒し手前に! 弓を捨てぬとああなるぞ!」

「は!はいぃ!」

「私が見るからいい!」

「ほ、本当に大丈夫だから。かあさま、でも、少しだけ、少しだけ」

「あきゅ」

「感動ですじゃ」

「あ、ああ・・・すまない、本当にすまない!リエン! 私のせいだ! うらむなら、このギルバートを恨んでくれ! すまない!!!」

 ざっ・・・・

 みんながひざをつき胸に手を当てている。

 認められた? 認めている?

 あはは。

 あれ・・・何もいえない。

「わしもだ・・・・本当にすまなかった。このとおりだ!」

 こ、これは伝説の土下座!!バリスタの角刈りが地面に刺さってる!

「ごめんね、リエン、本当にごめんね」

「あ・・・」

 暖かい・・・柔らかい・・・

「生きてますから、もう、大丈夫です。僕は・・・・」

「ええ・・・ええ・・・」

「かあさま・・・」

 匂いなんてひどいものだった。

 汗、土、そして血にこげた匂い。

 それでも、わずかにする、懐しく切望した匂い。

 このまま・・・

 もう少しこのまま。

 


「ふぁぁあ?」

 いい夢見ていた気がするってはっ!

「目が覚めたかしら?」

 ち、近い!!

 かあさま!?

「あ、あれ?!」

「無理したんだもの、仕方ないわ」

「そうか・・・そのまま寝ちゃって?」

「そうよ、はやく水浴びしたわ、一緒にどう?」

「わぁああ!」

「嫌われましたな」

「え!? え!?? まだ森!?」

「そうよ。起こしちゃ悪いから」

 ばっ離れるて周りを見ると、なんと全員がいた!

 変わっているのは、わき腹に木を当てて包帯をしている方が一名。

「る、ルミエナ様! 大丈夫ですか」

「気にしないでください。わたしが勘違いしてました。お許しを!」

「あらためて申し訳なかった!」

「「「「「「「「申し訳ございませんでした!!」」」」

「そ、そんなのいいですから! あ、頭を上げて」

「いえ、わしもギルもです。さぁ屋敷に戻りましょう」

「そうだぞ、この変な格好は捨てても良かったよな?」

 おふ・・・・そうか、僕はあの格好のまま登場したんだった。

「ど、どうぞ」

「リエン・・・手」

「はい・・・」

 

 帰還中、沈黙だった。

 僕は恥ずかしさをごまかしつつ、かあさまはなにやら今後を相談しながらだった。

 戦闘後のものものしさが抜けておらず、走り回る隊員や、柵を撤去するもの、武器をしまうもの、食料を配給するものと忙しそうなイルの村に入っても。

 僕の心の中は手に集中していた。

 不思議だ・・・

 喧騒の中、僕は今、心穏やかに・・・帰路についていた。

もう一話前に進める予定が残業で無理でした><。。

明日も更新します!

目標が一週間で2話と低く設定していましたが、見てくれる人が増えていて嬉しくて更新毎日に・・w

評価が低いのはあきらめていますが!

どうぞ、よろしくお願いいたします!

感想をくれた方、本当にありがとう!残業でもかけたのはあなたのおかげです>v<

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