部活道見学2 剣道部
部活道見学 剣道部
「おお、着てくれたんだね!!ようこそ!剣道部へ!」
空手部から逃げるように撤退したあと、日下部君の案内で旧体育館に到着。
たしか・・・
「あれ、かなめさん?同じクラスの」
「うんうん!!日下部氏ありがとうございます!」
「いえいえ、例の件、よろしく御願いします」
『任せて』
『ふふ』
なんだろう、親指を立ててこそこそと・・・。
「こいつが?あの噂の少年エックスか、まじ白髪なんだな・・・うわぁ・・・こりゃもてるわ・・こいつがくれば、女子部員増えそう!」
「こちらは?」
「一応主将です・・・。主将!自己紹介!」
「俺の名前は五十嵐剣碁。よろしくな!」
「あの僕は部活にはいるのではなく、見学と体験を」
「細かいことは気にするな!」
「気にします!いいですか?僕を通して」
「わかったわかった!っておお!もう効果が!」
「先輩邪魔!!」
「くさい!あっちいけ!」
「おうおう。照れちゃって、我が部の早乙女たちよ!」
空手部とは違い、人数も少なめ。女子男子合わせて、30人もいるだろうか?
旧体育館が広く見える。
半分から向こうは、ネットで仕切られていて、違う部の方がこっちを見ている。
体操服だ。なんだろう・・・あれは『バトミントンといって羽をつかって競うスポーツでだよ』っと・・・ありがとう。日下部君。
ぺこりと頭を下げると、向こうのバト部(略してだそうです)があたまを下げて目をそらす。んーーー、謎だ。
「瑠音君、これ、わたしのお古だけどつ、使って、綺麗にしてあるから」
うお・・・。なにやら手に持たされた、面?というらしい。かぶとにしてはなんて軽いんだ。あとこてと竹刀。
「匂いとかするでしょ!だめよ!!こっちの新品を!」
「そのアトで何するきよ!」
「?ありがとうございます・・・って僕は見学だから使わないかも」
「「「えええーーー!かわいいいいぃ!」」」
謎だ・・・。それに男子が一人も見当たらない。
「男子の方は?」
「いやーまぁーなんだ!今日は部活やすみなんだよ、お前のためにな!」
「それは!ありがとうございます!」
「僕が御願いしたのです!」
「おお、日下部氏!すごい!」
「「「「「うし!!」」」」」
女子の方々が日下部氏とがっつポーズをしている。
「うお・・・こりゃ部のイメージが・・・全然ちげぇな」
「これは予想外でした、生きてましたか?」
「一人死んだ・・落ちたがな。っておまえ!しれっとその気にさせといて捨て身にしやがったな!」
「しんがりは男の友情、信頼、ロマン。それを不名誉と?」
「そういう話じゃねぇよ!」
「じゃ、この名刺はいりませんね。恐らくできるであろう後輩に」
「親衛隊長!?だと」
「もうちがいますから」
「・・・・・・なるよ!殿!」
「ちょろい・・・」
「まぁうちは弱小だしな。俺を除けば同好会みたいなもんだってうっさいな、この二人。男はいらん帰れ、あ、マネージャーは別か。よし、お前は帰れ」
「親衛隊長だからな。そうはいかねぇんだよ。ほれほれ」
「・・・・なんだこいつら。おもしれぇ」
気さくな部長さんに、武君に日下部氏。なんというか、この部長さんの雰囲気がそうさせるのかな。暖かい感じがする部だ。
パシィーーーン!!!
「はえぇっ!!!」
「今のを受けとめる!?・・・やっぱりこの世界は面白い・・・普通無理だけどなぁ。物理が全ての世界だとおもってたけど・・・さすが勇者の国」
「ぶつぶついってるんだけど!こえぇえ!」
またしてもなぜかすぐに模擬戦。
でもこの人・・・。間違いなく加護降ろしだ。
あ、ちなみに加護降しとは僕が命名した、勇者の国の技法のことです。加護法となずけてもいいかもしれない!うん!そうしよう!
動作動作に先天的に神経をめぐらせ、体を動かし、気を張りめぐらすことで魔力を一瞬にして高めるスキルという感じでしょうか。
この人を見て、なお更そう思うようになった。アルブ、僕たちで言われるスキルや魔力との微妙な違い、それも分かってきたのが、この先天性の有無だ。
スキルの発動と似ているのだけど違う。スキルは修練を重ねると、得られるもの。発動も意思と初期動作だけでいい。もちろん細かいことを言えば、そこにはいろんな調整が必要だけど、一度習得すれば再発動は体力さえあれば簡単に可能だ。具体的に言えば、今使った大薙ぎ(おおなぎ)。発動の初動と意思さえあれば勝手に出るほど簡単に取得できる剣術スキルだ。剣術スキルといっても、低も低。ゴブリンでも使える、当たれば打撃1.5倍増のスキル。不意ふちや牽制には使われるけど避けやすいし隙ができるのが欠点。
だけどこちらの剣術は違う。魔力が載っているのが第一。付与魔法をしているわけでもないのにあの竹刀から魔力を感じる。まとっているように感じる。
第二に、持続しているし初動がない。ないというより感じさせないし中断、変則が比べ物にならないほど応用がききそうだ。
大薙ぎは、アルブの人だったら今のは避けれるだろう。見えるほどの速度、スキルレベルも僕は低いままだから。でも、地球の人にとっては見えないはずだ。
それを見切った上で、この人はわざと受けにいったし、スキルが発動して終着するまで流される?ような感覚があった。
あと数瞬、竹刀を載せていれば、きっと投げ技を受けたときのように、なったと直感的にわかる。スキルが切れて、向こうが驚いていたけどそれにあわせての下がり方も不思議な感覚だった。潮が引くように身を引いていた・・・・。
今はおどけてるけど・・・・この人・・・。勇者かもしれない。
「む・・・あの人強いですね?瑠音さんが!おっと、良い顔!」
パシャリ!
「そりゃ部長だし、あ、それ買いで!」
「いえ、何気に大会覇者記録持ちです。わたしも買いで!」
「そりゃそうだよ。跡取り息子だし、もちろん私も買いで、できればツーショット!つばぜり合いのとこなら1万まで!!」
「まじかよ・・・みえなかったぞ、てか一瞬キラキラした気がしたぞ。って写真売るな!買うな!」
「「「あ、それは無理」」」
「嘘付け、部長に気があるんだろ?見たら分かったわ。お前ら・・・」
「実はもててるんだよ。みんなさらっとかわされてたりする。けど私は違うってことをメモしておいてね日下部氏」
「了解です・・・って女子はすごいですね・・・。武君の言うとおり僕も瑠音さんの竹刀が光った気がしたような・・・」
ぱしぃ!
「・・・っ!?」
「ずれた・・・・変な動きだけど・・・ひざ?」
「おいおい・・・・今のは全くわからなかったぞ・・・てか注意しようとしたらこれかよ!こええよ!神埼君!?」
何この人、切り替えが早い。いや、気持ち悪いほど自然だ。天然・・・うん。天然という表現が一番しっくりくる。すがすがしさと、雰囲気が自然だ。自然というのは大地や風や海、そういった意味での自然だ。僕らより自然を感じさせそうな・・・人間なのに。
なんか悔しい・・・。
「スキルのほうが避けられるとか・・・意味不明ですね。いえ、これはスピードの点では道理?・・・・複雑怪奇、意味不明というやつだし。魔法少女が言っていたような・・・そもそも人間なのに。僕らと似ている雰囲気がしたとおもったら一瞬越えてくる・・・とか。これが噂のちーと?」
「またぶつぶつと・・・神埼?お~い・・・」
「五十嵐さん・・・あなた人間ですか?」
「というか俺の台詞だし。物心着く前からこの道、一筋なんだぞ・・・。ってお前ら近いよ!」
「軽く打ち込みだけだからいいって主将がいったんでしょ!」
「「「そうだそうだぁ!」」」
ふふ、外野がいたのを忘れていました。楽しい・・。良い勉強になります。ん?
「っって!!バト部がこええええ!」
主将さんが僕の後ろを指差すので見たら、みんなこっちを見てた。
っと思ったけど、一斉に柔軟体操?すごい連携だ・・・。こういうのってどこで覚えるんだろうっと思ったけど!!って!これは!!!
「!?・・・・ふぅ・・・油断しました」
「「「「「何を!?」」」」」
「不意打ちかと?」
「しねぇよ!!・・・ったく・・何っちゅう目しとるんだよ・・ちょっと本気で行くぞ」
「どうぞ・・・」
「すぅ・・・・・」
「!?」
「変なやつだな・・・。そこまで警戒するか?基本的なことだろ?山見は」
「さんけん?は分からないので・・・では僕なりに・・・」
「・・・・」
「・・・・・」
「どうしたの先輩?まじになってない?」
「なんちゅう・・・怪しい目をするんだこいつは・・・お前こそ人間か?・・」
「震えてますよね?」
「あ、うん・・・って武君?」
「こ、こえぇ・・・ちと下がるぞ。邪魔になるって・・・」
「「え?」」
「ちょっとまった・・・」
「はい?」
警戒を解いた!?今のは威圧だよ・・・なんで流せるの?そりゃ抑えたけど・・・。体力だけじゃなくて魔力を必要とするスキルを流した?・・・。レベルが足りなかった?抑えすぎ?
「君。人殺したことあるだろ?・・・怖すぎ・・なに、殺気とかあるの?ほんとに?」
「・・・殺したことはないですけど」
「おいおい!竹刀をおろそうね!神埼!」
むぅ・・・なんだろう悔しい?
「すとーっぷ!マネージャーストップ入ります!」
「日下部!」
「OK,OK!マネージャー!ってことで神埼!殺気なしで御願いとかできる??さっきの怪しいまではOKだからって、俺も何言ってるかよくわからないけど。明らかに使い分けてるよね・・・って、俺疲れてる?」
なんですと・・・この人、舞さん以上?素質ありすぎるんじゃ・・・ステータスみたい・・・。
人物鑑定もそろそろ本気で取得しよう。それより・・・殺気と威圧が僕の認識と違う。まぁこれは言葉の使い方だろうか?いや、分からない・・・。内包するものがあるしあとで整理しよう・・・それと・・・
「日下部君、抱きつかれても・・・」
「大丈夫です!大丈夫ですぅ!」
「いや大丈夫じゃないから!かわって!」
「代わってじゃないだろ!」
「へぇ、今の顔からすると、マジであるのかそんな技・・・・・ちょっと邪魔だな・・・どいてくれないか?みんな」
「「「「!」」」」
うん?これは大したことない殺気がとんできたぞ?
ちぐはぐだ・・・これならさっきの・・・て。もうなったか・・・。ちょっと身体だけで実験がいるかな・・・。
「・・・・・・・」
「・・・・・」
ヒュ!
バシィ!
「防戦一方かよ。おれが・・・何で防げるかな・・・」
「スピードは僕のほうが上なので、これぐらいまでなら追いつくのですね。あとは勘と経験、それと技でカバーですか・・・でもこれじゃ意味ないなぁ・・・勉強にならない。さっきのような技が見たいです」
「・・・・・力も上だしな・・・でも技はまだまだ」
「そりゃそうですよ・・・僕は素人です、先輩・・・今から横なぎに払います」
「ん?・・・さ、さっきのやつか?」
「はい、今度はもっと強めに早めにいきます、期待してます!」
「悔しいけど・・・勉強させてもらうよ。全身全霊を持って」
一旦引いた。感想としては、向こうも試してるのか、身体強化だけで速さ、力押しですると動体視力に偏るけいこうがある。それもちぐはぐで、防御が簡単なはずなものが当たったり、できないようなのを止める時に一瞬あの妙な感じをうけたり。正直言うと情報不足だけど、一定の技と鍛錬が合わさった時に良い動きになるようだ。さて・・・。
最初のスキル、大薙ぎをしましょう。
身体的には僕が上。目は慣らさせたけど今度は避けきれないくらいの速度で最後まで。今の乱戦がいい鍛錬になったとして、どれほどの補正があるのかを知ることが出来ます。
もし、これで受け止めもしくは避けられたら、加護法(仮)は、スキルより応用が利いて、身体、魔力的な限界を超えるものとして認識して、取り入れるべきですね。
ふぅ・・・・。かといって、万能というわけではなく、圧倒的な差では遺憾としがたいでしょうから、受けるにしても避けるにしても、無理をさせてしまいます。きついでしょうが・・・我慢してくださいね。
そう思いを締めくくりつつ・・・バン!と飛び出る。
五十嵐先輩が右に・・・受けをとりはじめ。遅いです・・・
「え・・・」
「うっし!!」
「負けた??瑠音が・・・うそだろぉ!」
「あはは・・・なるほど。高みを知った気分です・・でも・・・」
僕はその場にうずくまった。負けちゃいました。
悔しい・・・。え・・とかいっちゃったよ。
見とれちゃったよ。もちろん、動き的には避けれたけど。なにあの綺麗な動き!吸い込まれそうに見入っちゃったのが敗因だけど、決定的に違うよ。綺麗だった。
魔力が川みたいになってたんですよ。それも火の光を浴びてるような、そんな感じ。それが全体として綺麗だったんだ。むぅ・・・こういうのってずるくないですか?そういえば騎士にそういうすごい人がまれにいたりするって・・・。それとなんだ?あ、弓だ。僕らも弓を引くとき・・・似た感覚が。にしても・・・うう・・・。また油断とかして!僕は成長しないのか!・・・素直に反省します。
「当たり前だよ!ってどんだけショック受けてるのよ!普通よ!」
「・・・・・・・なんで避けなかった?悔しいのはこっちのほうだ。神埼、お前瞬きひとつしないで受け入れたな?受け流しを知ってただろ?」
「それじゃ意味がないので。ちなみに受け流しとは、技の名前ですか?」
「気に食わないなぁ・・・勝ち負けで言うと俺の勝ち。でも試合、殺し合いなら君には絶対負けるなぁ・・・それこそかすりもせずってがち落ち込むなよ!嘘だよ!試合でも負けるわ!なんちゅうスピードだよ!それに・・・殺し合いなら一撃かな?というか・・・竹刀もこの足跡も・・・あの目も・・・」
「うわぁ・・・なにこれ・・・」
「物理法則無視だ、体重とかスピードとか筋力とか・・・全部掛けてもこうはならないし・・・。神崎、ルイン君だったっけ。君、何者?漫画とかでしかみたことないぞ。明らかに違う力の使い方・・・力そのものを知ってるよね?」
「「「・・・・・・・・・」」」
「ひゅーーーひゅーーー」
「可愛い・・・」
「じゃなくて・・・ごまかすってことは知ってるよな?」
「そうなのか?瑠音?」
「あたりまえじゃないか!瑠音さんはすごいんだぞ!」
「すごいで済む話じゃない。聞かせてくれ。君は気とか信じる?見えてるだろ?」
「ごくり」
「「「まじ!?(ですか)」」」
「おいおいおい・・・とんでもない逸材みっけ・・・。俺にも見えるようになるかな、てか使えるよな?たまに瑠音と似たようなやつを自分でも他人でも感じることがあるし」
「・・・・・・・・しれ~」
「変なやつだな!まぁいいや!よし・・・休憩だ休憩!真面目モード終了!!女子集合!瑠音君に貢物だ!」
「「「「「はい!!」」」」
「え!?そんなものにはなびきませんよ!」
追伸と非常事態
「瑠音さんって本当にお菓子に弱い・・・」
「む・・・・」
「はい、あ~~ん」
「てかなんで空手部がいるんですか?」
「いいじゃないか・・・ほら、あーん」
「さて、そろそろ片付けねぇとな・・・ったく、お前らも帰れよ。というかバト部、見るなら見て参加するならすればいいのに・・・って横がおフルフル・・・かわええのか怖ええのかわからん・・・」
「今日はありがとうございました」
「あ、瑠音。バン!」
「!?」
銃!!?とおもって思わず結界を張ってしまった・・・。けど・・・。
「わ・・・ごむ・・?」
「なんだ今の?・・・ルインの手が一瞬綺麗に・・・」
「隠したいならうまく隠さないとな・・・今のが気か・・・」
「や、やっていいこととやっちゃだめなことある!!!馬鹿!あほ!ショタ!!」
「マジかよ・・・・瑠音。すげー・・・漫画じゃねぇかよ、手ではじいてちぎれた?ってルイン?」
「せ、先輩まずいよ、ルイン君の過去が・・」
「うん?あ・・・」
「ま、マネージャーストップ!」
「日下部君ぅん!」
「大丈夫ですよ!大丈夫です!!殿!!!」
「お!おう?」
「追わない!そして言わない!どうか弟子にしてくれ!」
「主将!?」
「わ、わたしもだ!そばにいさせてくれ!」
「なんかちげぇのきた・・・なんで空手部たか藍がいるんだよ!」
「ど、どういうこと?そんなにすごいの?今の?」
「ちと話があるんすけど!先輩?」
「なんだ・・・すまん・・・とはおもうってば・・」
「許さねぇ・・・。あんた自分が何したか知ってるだろ?あいつ戦争孤児だぞ?」
「そうなのか!?」
「えっと、藍さんはこっちにいきましょうねぇ~」
「お、おうん・・。でも可愛かった、写真あるかな?」
「いや、それは。あ、バト部が撮ってる!?」
「「「!?」」」
「・・・・あいつらはいいの?」
「よけねぇのかよ・・・」
「まぁ、俺が悪かったし・・・って結構感動的いいシーンだけど。あいつらで台無し」
「もう二発。あいつらと、バト部のぶんな?」
「そんな理不尽な・・・」
「ああ?もう会えなくしてもいいんだぞ!」
「っく・・・ころ・・・って俺が言うとは!きゃん!体育会系だいっきらい・・・」
「反省がたりねぇ!!もう一発追加!」
ごぎゃ!
お読みいただきありがとうございます。
書き下ろしで、ライトにライトですがw
皆様の休日、寝る前の一杯の清涼になればとおもいます^^
さむいですねぇ!ではまた!w




