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空手部見学1 (女子主将 金銅藍 視点)

なんだこいつは・・・」

「なるほど・・・こういうことですね?」

「・・あ、ああ・・・」

 私は女子空手部主将、金銅藍こんどうあいだ。

他の連中が、きゃーきゃーと煩いから指導を買ったが。

ど素人がいきなり空手とはなんだと聞いてきたと思ったら、今は誰よりも空手家らしく見える。特に生き方、その成り立ちなど部員からは詰まらんと不評の話をきいたあと、そして簡単な基礎を教えたあとから、ガラッと雰囲気が変わった。

他の年中盛った猫部員がだまっているし、わたしは逆に・・・ごほん。

 余談だが、この空手部は少し変わっている。普通なにかしらの道場で習うにしろ、学校で習うにしろ、流派というものが統一されている。

だが、この空手部のもとは空手研究同好会であり、立ち上げたのは女性だ。

空手好きな女子が男子空手部のマネージャーを兼ねたことから始まり、徐々に女子が増え、研究から実践へと移行し、色んな経緯を経て現在に至る。

 男子部員が主に習っている空手の流派も昔は一本化されていたが今は、ばらばらだ。

簡単に言うとフルコンタクトかノンコンタクト。スン止めなし、ありの違いが大きくて分かりやすいだろうか。詳しくは省略。

 もともと、本気で試合とかに出る連中は、わたしを含め、所属道場で習っているのだ。いわばここは、自然に出来上がった格好の他流交流所になったのだ。

「僕が習った剣術や体術とは考え方自体が違ったんだなぁ。どちらかというと精霊とか魔法の習得に近い考え。いや、精霊かな。武道の奥が深い理由はひょっとして・・・」

「せいれい?といったのか?魔法?」

「いえ、忘れてください!!」

「あっ」

 なんだこいつ・・・めっちゃかわいい。思わず変な声が出てしまった!

「金銅さ~ん・・・」

「主将・・・ずる~い」

「何を言う!わ、私は別に!というか何をしている!貴様ら!」

「ばれてしまいましたか、どうも日下部です」

「何だ、お前は・・・あ、どうもご丁寧にってちがう!」

「いつの間に名刺作ってるんだよ。サラリーマンかよ」

「僕は一生ついていくと決めているから君とは覚悟が違うんだよ」

「おれだって!」

「みんな、静かにしないと」

「「「「は~い」」」」

「瑠音さん、これは僕の主観がはいったものではありますが、本に書いてあったことを通して、武道とはなにかというものをまとめたレポートです。どうぞ」

「すっごいね!!日下部君ありがとう!」

「いえいえ!」

「で? ほんとになんなんだ?こいつらは?」

 せっかく二人でいい雰囲気だったのが、無茶苦茶だ。だいたいそこに茂みなんてあったか?

「いつもくっついてる二人ですよぉ」

「日下部さんとは仲良くしておくほうがいいですよ。ほら」

「なっ!?」

「「「「買収じゃないですよ?」」」」

 どの面下げて買収ではないと?

本人が見ていたらどうする!・・・よせ・・見せ付けるな。

おお・・・なんという笑顔。哀愁漂う・・・横断歩道と少年!これは・・・っといけない・・・。

日下部といった、あきらかに運動音痴そうな体格がにゅっと進み出てきた。

「よければ僕だけでも見学を。というより、僕を通していただかないと。マネージャーですので。お近づきの印がわたせませんね・・・」

「・・・し、仕方ないからもらうが・・・けしからん。こういうのは」

「本人の許可を頂いていますし。反対勢力には一切・・・」

「「「「「主将!!!!」」」」」

「わ、わかった・・・わかったから!」

 パシンと最高の抜き手でとりつつ懐に収める。と同時にいつのまにか全員集合してる、今日のメンバーに許可を出した。が・・・これは少し・・・

「うおぃ!!いい加減にしろ!」

 是非もない。

 男子部員は現在、座禅中だ。それゆえ、説明を頼まれたのだから。

この道場に外付けで増設された廊下で男子部員が並んで座禅している。

見れば、こめかみがひくひくしている男子が、男子主将にここぞとばかりに、バシンと肩を打たれていた。

 2年で次期主将と言われている遠野が怒るのもの無理はないか。現主将、3年で私と腐れ縁の正文まさふみもちらりと注意を私に向けている。ということは、代表として苦情か・・・。すまんと頭を下げておく。

「ちゃんと後から話すって言ったのはお前の態度が良かったからだぞ!それに部の成り立ちやらなら藍先輩のほうが詳しいっていうし、何より!そいつらはダメだといったはずだぞ!それをよりにもよって座禅中に!てか女子は今の時間ラウンドだろう!」

「「「「すみません」」」」

 さすがの部員も頭を下げる。昔でこそ、荒くれ者だったこいつも成長したなぁと感じいるものがあるが、今は人事ではないか。

 遠野武雄とおのたけお。茶髪の坊主で、体格は長身で痩せ型。手足の長さを生かした貫手を研究中の空手家だ。一年でめざましく成長して男子も女子もその実力を認めている。

 だが、今日のやつは、昔のように感情的に過ぎる気もするが・・・。

「俺らが勝手にしゃしゃりでたんだよ。つうか、そんな切れるか?ああ?集中力足りねぇんだよ」

「・・・おまえ・・・おれじゃねぇ・・。他のやつが迷惑するんだよ・・・。ああ、そうか。道場なんてとっくに止めて、その精神を置いてきたやつに説明しても無駄か?ああん?なんならちゃっちゃとそこの坊ちゃん相手にして追い返してもいいんだぞ?こらぁ!」

「んだと・・・調子のんなよ、お前がルインに勝てるわけねぇだろうが・・・ああん!俺にも勝てねぇのによ!」

 なるほど・・・。こいつは。とちらりと正文をみると、意味ありげに顎を引いていた。

こいつが、遠野のライバルだった男か。っと、いかんいかん。胸倉を掴みそうな勢いだ。

「待った!・・・すまん、遠野。それは悪かった。確かに。だが、それはあんまりだろう。相手なら私がなろう」

「お前じゃけじめにならねぇだろ、だいたいいつから男子が女子に混じってんだ?」

「それをいったのは俺だ。頭を冷やせ・・・。すぐこれか?・・・・・それとお前とは誰に言っているんだ??金剛は3年だぞ」

「す、すいません。藍先輩・・・」

「いや、こちらが悪かったから良いとして。神埼は静かに真面目にやっていた。こいつらは追い出すからここは引いてくれ」

「いや、もう大丈夫だ。続きは俺が指導しよう」

「いや、引くべきだ!いま、いいところだからな!」

「ん??そうか?」

 危ない・・・今いいところなんだ。正文のやつ、嫉妬か?

ういやつめ・・・だが、わたしは守ってやりたい派だといったのにな。悪く思うなよ・・・。

「藍先輩?」

「気にするな。持病だ。・・・ほら、お前らは邪魔だから引っ込んでろ」

「ああ・・・ルインの邪魔になるならしゃーないけどな。俺より弱いやつから習わせないでくれよ、主将さんよ」

「武・・・お前と違っておれはずっと真面目に鍛えてきたからな。今のお前じゃ空手じゃまけねぇよ。ま、反則技とか喧嘩みてぇなずるするなら別だけどな。正文さんになまいってんじゃねぇよ」

「どうだか。かっると隙ガでまくるその姿勢。なんだそれ?不良か?っと悪い、それは俺だったか?」

「っく!?」

「これは一本とられたな」

「主将!?」

「提案なんだが、ルインに試合を見せてやりたいんだが?親友として」

「武君・・・瑠音さんが来にくくなるでしょう!」

「いえ、僕はむしろみたいかも!」

 ダメだと言いかかっていたが・・・なんて破壊力!!

それに今、ふわって、良い匂いした・・・。

「藍・・」

「こっちだ!一緒に見る心得を教えて進ぜよう!」

「話が分かるねぇ!」

「ぶっ殺す」


 やめ!

「うむ。やはり強いがそこまでだな」

「くそが・・・はぁ。はぁ・・・確かに空手だけだときちぃ」

「空手だけだとだと?はぁ・・・はぁ・・・おれは投げ技も関節技も許す間合いにはいってねぇよ!それにな、ここは総合格闘技ならぬ総合空手、お前が何しようが俺らは負けねぇ」

 なかなか良い試合だった。そして、刺激的な観戦だった。

この神埼瑠音くん・・・見ている間、なんて透き通った目で観戦しているんだ。

まるでここにいないかのように、しかも全体を見ているし、時より目が怪しく輝いてそれがうごめいているような錯覚を覚える・・。

「すみません!ちょっと!」

「ん?」

 まだいたのか・・・日下部氏。いや、その手にはカメラ・・・。素晴らしい

「なんだ?もしかして入り込んだなら、責任を持って買い取ろう!」

「毎度・・ですけど。どういうことです??空手はポイント制とかノックダウンとか明確なしきりがあったはず」

「ここは、そういう部じゃないからな。真剣に切磋琢磨し、流派を作る勢いでみな研究しているのさ」

「だから勝負はあの主将さんが?」

「ああ。あと総合点を別途作るからな。まわりにいる各流派のものがな」

「これは面白い・・・」

 ぐふ・・・何か、何か違う。この子は・・・。

 試合のこと聞かれずに良かった。全く見てなかった・・・。この妖艶な瞳だ。この瞳が私の目が、本能がそらすなと教えてくれる。

「ど、どうだったかな・・・どうだろうかな・・・空手部に・・・入りたくないか?じょ、女子部もマネージャーというより研究班はあるんだぞ・・・瑠、瑠音」

「呼びつけ禁止!」

「セクハラ!」

!!!!!!

「いつからいたんだ!!ほら!お前たちは座禅だ!いったいった!」

 喚起用の木の柵からまるで檻を覗き込むようにこちらを伺っている女子部員。

中には、神埼の匂いをかごうとすんすんと・・・けがらわしい!

「勉強になるよ、ほんとにこの世界は面白い・・・。日下部君のこれと一致する」

「世界?」

「とんでもないよぉ!えへ!」

 本当に不思議な子だ・・・。発情期の猫を追い出す私の横で、全く心を浮つかせず、熱心にそれでいて、なんて冷たい、清流のごとき居住まいで淡々とレポート?を読んでいる。

そしてそれが・・・ひらがなのルビが大きく振ってあるのがなんと可愛らしい!

これがぎゃっぷもえ!!

「きめぇんだよ・・・タオル!」

「タオルはそこに。勘違いしないで欲しいんだ。僕は瑠音さんのマネージャーであって、武君のマネージャーではないので。まぁ・・・・(にやり)負けてしまって、お疲れ様でした」

「日下部・・・っけ・・おれもまだまだだな・・・」

「どうだった?収穫はあったか?一年」

「「「「おっす!!」」」」

「うっす?」

 おお、るいん!!微妙に違うけど可愛らしい!!

「おすだがな・・。まぁいい。金剛、もどっていいぞ、というか藍、手を下ろせ。男子がなでられても嬉しくないだろう」

「べ!!別になでるのではなく!ゴミがないかとな!・・・コホン。ありがとうな。仲裁感謝する」

「無理ないいわけだ・・・。こっちの馬鹿のせいでもあるからいい。良い方向に言ったのも上場だしな。って大丈夫か?鼻血じゃないだろうな?・・・で、神埼だったな?どうだ?感想は?」

 シュピュ!!と渾身の力で鼻をすする!

 これは・・・血だな。危なかった。醜態をさらすところだった。

「柔と剛、それが技によって降りてくる。そんな試合が見られました。惜しむべくは、そのバランスが悪かったことと、ともに足して割れば美しかっただろうなと思いました。主将二人とものように、常にまとっている方は少ないようですし!武君も見習わなきゃね!」

「お?おう・・?」

「俺は油断なんてしてねぇよ、知った口をきくな、ど素人」

「面白い一年だな。いい目をしてるどころか・・・。強そうだ・・まるで熊のような・・・」

「おいおい、正文?」

「馬鹿、俺も三年だぞ。あぶないことはしない。そうだな。気合入れにマットに打ち込んでみろ、おい」

 そこじゃない、言うなら熊さんだろうが・・・。全く分かってないな、この男は。

「おれ?・・・まぁいいっすけど」


お読みいただきありがとうございます。

続きます!

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