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楽しい冒険

「っと・・・」

「瑠音><」

 目の前に、あのときのまま祈る姿で顔をきゅっとしている舞さんがいた。

変わらない格好だったけど、拝むみたいで・・・恐縮していた気持ちは嘘みたいにひっこみ、親近感がぐっとこみ上げてくる。

「あっ」

「ただいまです。舞さん。すぐだったでしょ?」

 そっと両手を包むと、面食らったような舞さん。

「か、帰ってきた?みたいだね!その格好!」

「あ!そっかぁ、また忘れてた・・あはは」

「おかえりぃ!」

 くすぐったい・・・いや、あったかすぎて、心が弛緩する感覚。僕がまだなれない感覚だ。舞さんの、石鹸の香りが遠慮なく抱きついてきます。

「着替えないと」

「怪我はない?どれくらいいってたの??」

「1週間くらいです、話しますので、離して下さいね」

「うにゅ!もう少し!」

「舞さんにとっては一瞬でしたよね?」

「それでもぉ!」


「でも、役に立ちました。本当にありがとうございました」

「あははは!いいのいいの!ああはははは!!カレーライスってそんなになんだぁ!」

「僕にはそこまでないんですけどね」

 バスルームで着替えつつ、舞さんに今まであったことを話していた。

ただ、笑う舞さんとは別にいつ召還の件を話すかを考え始めている僕だけど。

「ルイン君、明日、買い物いこう!さっき・・ルイン君にとってはこの前かな。の分は急だったから手当たり次第だったけど、教えながら買い物したらもっと役に立つと思うから!」

「え!?そ、それはありがたいです!けど・・・お金が」

 それに・・・まぁそれが終わってでも・・いいかな。と舞さんの提案もいいと思う。

「いいわよぉ!そんな気にしなくて!」

「いえいえ・・・・気にしますよ!そうだ!僕が持っていて換金していいか悩んでいるものを舞さんに渡して、換金か舞さんが買い取る形にしてくれませんか?」

「そんな気にしなくて・・・・ん・・・いや。ありだね・・・。いいの??」

「はい。いいですよ!」

「な、なら明日はバック見ない?!そ、そのほら!約束のものをまだもらってないからさ!」

 約束の・・・あ、アイテムバッグのことか!すっかり忘れていた。

「あ、そうでしたね!それもいいですね!」

「それでこの前のと明日のはちゃらってことで!あ、でもそれだと足りないかな?」

「大丈夫ですよ。約束ですし」

「そう!じゃ!遠慮なく!今度からの追加分はお金はらうからね!もちろん転売とかゆずったりしたらやばそうなのは、もらうときにこっちでの価値とかあわせて相談し合えばいいよね!」

「はい!交渉成立です!」

「ちなみにその、アイテムかばん?ってどれくらいするの?めずらしいってことだから」

「そうですねぇ・・・難しいなぁ。大きさというか入る量にもよります。魔力量によってちがうから、でも、僕のは特性なので、少ない魔力で大丈夫ですよ。舞さんの魔力量ならたぶん、この部屋くらいかな。重さは300kgくらいだと・・・値段は。希少性と、大きさと重量でいうと・・・」

「遠慮しなくていいからちゃんと教えてね!」

「いや、僕もあまり知らなくて。たぶんすごい貴重なのはアーティファクトだから、街に一個あるかないか。でも舞さんに渡すくらいとなると冒険者上位の人?くらいだから30個くらい、いや重さは少ないから・・・・100人に一人?一般の人を合わせるとその10倍くらい?わかんないや」

「うーん・・・今の話を聞くと、作れる人はいないの?」

「ごくまれにできちゃったりするくらいで、あとはアーテルファクトとして出てくるものですね。作る専門の人はいないのは確かです」

「じゃあ、すごく高額だな。むむ・・・だいたいこっちからすれば・・・いくらするか想像もつかないし」

 バスルームを出ると胡坐をかいて顎に手を当てて呻っている舞さん。

高額。まぁ高額ですね。でもいいんだ、どうせわからないだろうし、こっちにないもの、例えば魔法、ぎゃくにあっちにないもの、純金属とかそういうのって値段じゃないだろうから。

「あまり比べても意味がないかもしれないですね!こういうのは僕が行き来しないとあるなしで一気に変わってしまいますから。こういうのは気持ちと今回はお礼ってことでいいんじゃないかな。他の人にあげたり売りたいときはその時、その物を渡すときに考えればと」

「それだとルイン君が・・」

「いいですから!」

「そ、そうかな。わたし図々しいよね?」

 あら?やっぱり大人なんだなぁ。下から見上げてうるうるしてるところは、子供っぽいけど、なんというか、可愛い・・・ってそうじゃなくてしっかり考えているんだな。

ぽふっと手を頭に載せたくなった。

「ほわ!」

「そんなことないですよ、舞さんのおかげですごく助かっていますし。プレゼントさせてください、それに元手でいうと安いですよ。僕なんですから」

「ルイン君は転売しない!」

「え!?お、御願いします。ど、奴隷は嫌です!」

「そういう意味じゃない!あ・・」

「ごめんなさい、なんだか可愛いって思っちゃって」

「ほ、本当!?い、いつでもOKだよ!」

「う、うん」

 頭をおなかにこすり付けてくる。やっぱり子供みたいだと思いつつ、グリフォンを思い出す。明日、言わなきゃなぁ。




超巨大、ショッピングモール・・・・

なんだここは・・・街にもいって制覇したと思ったが、車で少し走ったところには、夢のイオンなんとかというショッピングモールがあった。

 車を降りつつ、舞さんに手を引かれ、あたりを見回す僕。

舞さんは笑うことなく、嬉しそうに手を引いてくれた。

そして着いたのはバッグが並ぶお店。

「すごいですねぇ・・・バックだけでこんなに・・・」

 色とりどりのバッグ。0が多いバックはケースの中に入ってたり、棚に綺麗に鎮座されている・・・。

 舞さんが手にとっては中や概観を調べている。

おお・・・。大人だ・・・。高いですよそれ・・・0が多いです・・・。

「うーん、悩ましい・・・そもそもおしゃれなのっていいかな?」

「おしゃれっていうのは、かっこいい感じのですよね?」

「そうそう。ってそこかい!ってそうよねぇ」

「ん?」

「いや、学校行って大分、物とか言葉覚えてきたけどまだまだねっと思って」

「そうですね、頑張ります」

「それにこいうのより、あっちのがいいかもね・・・」

「かばんの下に何かついてますよ」

「あああ・・・これは・・・」

 移動しつつ舞さんが取っ手を掴みしゃきーんと伸ばす。

「おおおお!」

「こうやって伸ばして、こんな感じ!」

 ころころと静かな音を立てて、バッグを担ぐことなく歩いてみせる舞さん。

「どう?」

 どうって・・・賢者恐るべしだ・・・確かにこっちの世界の道は綺麗な道ばかり。

そうやって歩くという発想、バックが転がるという発想自体がないよ・・・。

それに・・・舞さんの格好。

なんて走りにくそうな靴だとおもったヒールやちょっと短いのではと思ったスカート、サングラスに帽子がテレビに出てくる人?のような印象を与えてくる。

「これがおしゃれ・・・おしゃれです!」

「そう?でも大きさ的に大きいのって意味なくなるか」

「おしゃれ・・・」

「ありがとう!って何回も。どうしたの?」

「そのサングラス・・・ちょっと貸してください」

「うん?いいけど、ちょっとだよ。知り合いとかに見つかりたくないし」

 それで帽子もかぶっているのかな・・・いつもはしない格好、スカートもそうだ。

「ど、どうですか?!」

「うん!ルイン君はなんでも似合う!」

「お、おしゃれですか!?」

「それは・・・うん!あとでかっちゃげる!」

「ありがとうございます!」

「サングラスもございますので、どうぞ、こちらへ」

「「!?」」

「びっくりした・・・」

「夢中になってました」

 あははと二人で声を上げて笑う。

やっぱり楽しい。この前の僕の大冒険とは全くちがう。

目の前のサングラスや目がねがぐるぐる回るところで、いろんなポーズを決めてはしゃいでしまった。

「可愛い弟さんですね」

「弟じゃない!これよ!」

「・・・・そ、そうですか」

 まだまだ、わからないことは多いけど・・・。こういうのってやっぱり舞さんのおかげだなぁ。


「ふむ・・・。とりあえず次ぎいこうか。かばんは目星はついたから」

「あとでですか?」

「うん、もう一度来て決める!最後はインスピレーション!」

「運命ですね!」

「ま、そんなとこ!」


なんだかんだで、最初のかばんやさん?というよりユキチの店。そうじてブランドショップというらしいに、1時間ほどいた気がする。

 そのあとに、食品売り場と雑貨売り場を回ったのだけど・・・

もう僕には引けないほどにカートというタイヤ付きの籠。

わんさかと買っていただいています。前が見えません。

「ここで正解だったなぁ・・・すごい量」

「い、いいんですか?今更だけど」

「いいのいいの!というよりこれはもらいすぎだから」

「換金できればですよね?一応二万円にはなったんですけど」

 途中で舞さんにアルブの金貨と銀貨を数枚渡したけど、ユキチがレジに飲まれた量を見ると足りないきがした・・・。

「二万どころじゃないはずだから」

「うぐ・・・あのひとやっぱり悪徳!」

「そうじゃないから・・・それよりさ、荷物、入れる振りするからある程度いれたら収納しちゃって?」

「ああ!はい!」

「ふ~第一段完了」

「いよいよかばんですね!」

「その前に!」

一旦車に戻って、買ったものをアイテムボックス、僕の場合はホール無限に収納していく。全部ではなく、念のために半分程度にしていた。こういうところでも舞さんが気遣ってくれる。全部なくなっているのが他に見ている人がいた場合や、普段でも気を抜かないようにと。思い付きではなく、食品を買う時点で決めていたらしい。冷たいものや音頭が大切な食材と分けていたのはそういう理由があったようだ。

貯めになる収納をしたあとお昼休憩をした。

楽しい・・・すごく!おいしい!

たこやき・・・おこのみやき・・・ものすごくおいしいい。

「そんなに好きなら、あとで店員さんに頼んでおこう、あれにいれれば保存とかもいいんでしょ?」

「はい!ありがとう!舞さん!」

「ほら、ソースついてるよ」

「あはは・・・あ・・・」

「うん、おいしいぃ♪」

「舞さん、ふくならこっちでいいのに」

 こちらでは紙布巾と口や手を拭くだけの使い捨ての紙が円卓においてある。

それでも贅沢なので十分嬉しいのに、わざわざ指でソースをぬぐってくる。

そして、ぱくりと・・・なんというか。

「役得、役得!それに顔ちっと赤くなってごほうびだわぁ」

「え?ちょ、ちょっとはずかしかったかな。なんでだろう?」

「そ、それは・・・ずるいぞぉ。でも嬉しい」

「!ぼ、僕も・・・こっちにきてから、こういう変な気持ち、嬉しいこととか、恥ずかしいって気持ちが強く感じるようになった気がします。文化の違いかな?」

「そうだね!でもとってもいいこと!楽しいでしょ?」

「はい!」

 そう、こっちに来ると警戒することや常時緊急事態にそなえるといったことをしなくて良い分、感情の発露しやすい気がする。

「こりゃたまらん・・・むふふふ。うらやましかろうめ、リア充どもめ・・・でも渡さんぞ」

「?」

「こっちの話」

「あ、ああ。ご飯狙われるのって文化なんですね、だったらカラオケとかにも今日行く感じですか?」

 この感覚は以前の冒険で気づいたことだ。

あの三人の仲良くなった人間と他の人もハンバーガーを食べている時に見られていたから。

「ん?何それ?」

「ぎゃくなんっていうそうですよ」

ぐしゃ・・・

え・・・?一瞬で紙コップがつぶれた。



なぜ、こんなことに?

現在、車内・・・。 

なぜか座席のシートベルトを僕の体に一回転させ、横向きに正座させられている。

「ねぇ・・・ルイン君。誰かな?お名前は?」

「え・・・いえ、、その。どうしたんです?」

「ううん、私ね、思うのよ。こっちの世界でのことは私が全部初めてじゃないといけないんじゃないかって、世の中にはね、泥棒猫っていうのがわんさかいてはっ!」

「まさかとおもうけど、アクセサリーとかかって相手を喜ばせたりしてないよね?」

 あの三人の名前はとにかく言わないほうが良さそうだと、本能的に悟り、何とか回避しつつ、以前の冒険の詳しい内容をお話していた。

「も、もちろんです、というよりお金はほとんど向こうもちでした」

「・・・・・・・・・それだけ?そのあとこっそり会ってるとか?」

「会ってないですよ」

「ふーん、本当?」

「本当ですよ。あったらダメなんですか?」

「そ、そうじゃないけどそうなの!」

 うーん・・・よく分からないけども、なんかかあ様と少し似た感じがする。

「もしかして、女性だからとか?」

「え!?そ、そうよ!で、でもほら!なんというか!」

「???なぜ女性と会ってはいけないのでしょう?」

「それは、ほ、ほら~お付き合いは?」

「二十歳から?でもそういう関係じゃないですよ?それにそういうのも・・・良く分からないですし」

「そ、そうだよねぇ!あははは!えっと、心配しちゃった!」

「あ、でも、舞さんとお話してると時々恥ずかしいです」

「え!?そ・そそれは!ど、どがん意味ね!」

「え?」

「どういういみかなぁ・・・って」

「さ、さぁ。でもたまにそうやって可愛いですよね。舞さんって」

「あひゃああああ」

 おお、なんか形成が逆転した!

「る、る、るいんくっは!わたしのこと好き??」

「当たり前じゃないですか!」

「・・・そうじゃなくてその!じょじょじょせいとして!!」

「好きってことに変わりはないような気がしますけど・・・大切な人に間違いはないですね」

「むぅ・・・な・ま・ご・ろ・しぃいいいいい!」

「ま、舞さん?」

 うん、やっぱりちょっと分からないことがある。

男女の付き合いってことだろうけど、僕は自分で言うのもなんだけど、そういうのは疎い。

これはエルフが恋愛しにくい体質を受け継いでいることとかもいったほうがいいのかな?

そもそも、エルフは妖精族で、動物のように繁殖行為に基づいた感情は芽生えにくい。

妖精族とひと括りではいえないけど、エルフは森の民。基本的に淡白らしい。

僕には人間の血も入っているけど育ったのはエルフの里だ。そして見た目はかあ様に似ているらしく、自然とそうなのだろう。

 ついでに言うと、エルフが他者の接触を許さない性質なのも、それに寄るって言う説がある。植物が花を咲かせなければ実をつけないように、愛がなければ感情が育たないようにとか、いろんな説がある。

昔は、人間がエルフを差別するように、人間をエルフが差別するほうがひどかったとも言われている。

 まぁこういうこと、昔、気にして調べたんだけど、まさかここで話すことになろうとは・・・

「そうなんだ・・・で、でも結構触れ合ってるね、私たち」

「僕はハーフですしそこまでは。それに信頼しているじゃないですか」

「そ、そうだけど・・・うみゅ・うみゅみゅ」

 ふふ、なんというか。ちょっぴり恥ずかしいっておもうのは、女性を意識する歳でもあるのかなって思うけど。とは言わないでおこう。

そんなこといったら、僕は結構、人間寄りなきもする。

特に最近は、人とのスキンシップ?だったかな。それに飢えているようにも思える。

あの気恥ずかしい感じや抱かれた時の感触が、心地いいから。

これは、僕がそういうことを体験しなれてないのが大きいことだろうけど。それ以外にも確かに芽生えているような気がする。

「ルイン君は13歳・・・ほむ」

「え??」

「ど、どうかな?」

「どうとは??」

 すぽっとシートベルトから早業で僕を抜いて、舞さんが抱きしめる。

「!?」

 赤い顔で僕を見つめている!

「は、恥ずかしいです!そ、sの13ですよ!こ、子供じゃないです!」

「わ、わたしも恥ずかしい!けど・・・・うみゅ、反応はないか・・・」

「反応??」

「カァ・・・」

???ちょっと分からない領域になってきた。

「舞さん??僕は確かに背が低いですけど・・・そんな抱きしめられたら、見られたら恥ずかしいです」

 といいうつつも、気配をうかがうけどわざわざ遠くの駐車場に止めたから人の気配はない。

 ポスっと僕を座席に戻してくれたけど。

「ルイン君。女の子の裸みたい?」

 ものすごい真面目な顔で僕を見つめてくる・・・。

もしかして・・・かあ様いっていたような・・・・ちゃんと答えよう。

「いえ、見たいとは特に・・・違いは気になりますが、学校で習うかいつかで。ただ弱点や骨格の違いなどは知っています」

「そういうことではないけど・・・・ごほん。よしよし・・・ならよし・・・」

「良かった?」

「ちょ、ちょっと心配になってね!」

 うむ・・・・なにかあるのだろう。たぶん、かあ様が言っていたことと一致する気がする。

「じゃ、買いに行きましょうか!」

「そうですね!」

 舞さんがどこかふっ切れた顔、まだ顔は赤いけど、ささっと車から降りる。

さぁ、買い物第二ラウンド!

 駐車場からの途中で、エルフの性質についてもう一つ聞かれたので答えると、顔を真っ赤にしてたけど・・・・まぁ気にしないでおこう!


ということで、やってまいりました。

最初に来たブランドショップ!!

「あの、舞さんに僕からあくせさりーをプレゼントしましょうか!」

「え!?」

「いや、欲しいならですけど!」

「ほしいい!!安くてもいいから!」

 なるほど。アクセサリーを送るってのは、女性は喜ぶからかな!

移動中、なにかないかなと思ってここにきてひらめく!僕って紳士だ!

たしか、手作りだと尚嬉しいよね・・・舞さんからもらったのも嬉しかったし。

「宝石なら持ってるから手作りもできるけど!」

「て、手作り・・・うんうん!!めっちゃほしいぃ!小さくてもいいからルイン君からの特別な贈り物ってわかるやつがいい!」

「よかった! なら・・・どんなおがいいかなぁ・・・これとか見れたらいいけど」

 僕にしか見えないかあ様の指輪を見る。

世界樹と火をイメージしたかあ様らしい指輪。

ピシリ・・・・・

ん?なんか今、舞さんのほうから・・・と顔を上げると・・・!?

「どうしたんですか!?顔色が悪すぎますよ!」

「る・・・ルイン君。それは?」

「これ見えるんですか!?」

「今気づいたけど!それって指輪・・よね・?なぜきづかなかった・・・わたし・・・」

「魔力を通したからかな?昨日もつけていたんですけど。これお母様からです」

「お、お母様」

 ん?急に顔色が戻っていく・・・。

「はい?どうしました?あ、見た目がちがいますよね。たぶん、僕の故郷の大切な木に見立てているとおもいますよ。どうですか?こういう見た目も良いかなって思うんですけど。色々見てからどんなのがいいかとか、僕の故郷でのとイメージをあわせて作ろうとおもいますけど」

「あっつぅ!」

「舞さん!?」

 手をとって見た目を吟味していた舞さんが急に声を上げて手を離した。

「・・・・ふふ、そ、そうね。なんだか挑戦的だね」

「火の魔法が付与されています。でも、おかしいなぁ・・・これ、舞さんには反応しないはずなのに・・・。敵意とかないですよね?」

「あるわけないでしょ。むむーこれはこれは。お母様。随分ルイン君を・・・もしかして、ルイン君、お母様になにか言われていること無い?とくに女性についての気をつけることとか・・・って考えすぎかな?」

「いえ、ありますよ」

「なるほど・・・余計なことを」

「???」

「ルイン君、でも嬉しい」

「よ、よくわからないけど」

「もう、でもちょっとは分かるくせに」

「そ、それはまぁ。でも、当たり前ですよ。舞さんは女性ってすぐわかるし、そのいつもち、近いですからね」

『・・・・やば』

「え?」

「こ、こほん、お母様には、その指輪の件すこ~し相談しておいてね!帰りに言うから。むふふ、なるほどね・・・目を出させない作戦だったのか・・・ふむふむ」

「舞さん」

「なぁに?」

「正直に言ってくださいね!」

「うん・・・どうしたの真面目に・・・」

「舞さんってすけべえですか?!」

「すけべえって・・・こ、声大きい!」

「すけべえになると、状態異常が起きて、骨が砕けて死ぬそうですし、いろいろなところから血が出たり、呼吸が乱れ、心身はゴブリンやオークのように堕ちてしまうと聞いています。気をつけないと!」

「・・・・なんて教育してるのよ!」

「舞さん、すけべえになったら教えてくださいね、ヒールしますので!」

「な、直してくれる?」

「はい!」

「・・・・・・これはこれは。ふふふ・・・でもあの指輪が問題・・・ん・・・」

 ごほん!!

「あ・・・」

「お客様・・・大変申し訳ないのですが・・・もう少し声を落としてもらえると」

「ご、ごめんなさい!あ、これはべつに!ちょっとしたですね!」

「はぁ・・・御願いします」

「怒られちゃいましたね」

「ごめんごめん!ちょっとトリップしてた私の暴走のせいだね!」

「とりっぷ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

くるっと回った舞さん・・・。

「・・・・・・・わぁ。いつもとちがって見える!」

 うん、やっぱり時々本当に分からない・・・。

なんか演技にもみえるくらいにすがすがしい。さっきからお店にいるのに・・。

「お店がちがうんですか?」

「そういう意味じゃ断じてないよ! そこは空気読まないと!」

「まだその技術は難しくて・・・」

「おお、真面目に落ち込まないで!えっと、みてみて、参考がいっぱい!」

「すごいお値段・・・・」

「そこじゃなくて!!ってレディーの前でそれ言っちゃダメよ!・・・いや、私の前では!」

「でも破産しませんか?これ買う人って」

「確かに私を気遣い!?ってちがちがう!そうだけども!そうじゃなくて・・・いや・・・他の女子には・・・これぐらいが?」

「まぁ元手は今回僕なので、高いのみましょう!」

「ってそれもちがうぅ!ってちがわないか!」

【お客様!!!】

「「すみません」」

 びっくりした・・・これが、店員さんのスキル・・・と思うくらいに。

というか、一瞬魔力を感じた気がする。

やるなこのひと・・・。

「あの・・・何かお探しでしょうか?わたしが見繕いますよ?そうでないならば」

「す、すみません。うるさかったですよね、何度も、少し見て、何か買って帰ります」

「・・・是非。御願いします。あともう少し、静かにしていただけると助かりますニッコリ」

 舞さんがおされ気味だ!

ここは紳士の僕が踏ん張らないと!

「お客さん少ないですしね」

「・・・・・時間が時間ですし」

「すごい値段ですもんね」

「こらこら。そんなこと言わないの、店員さん困ってるでしょう」

「いえいえ・・・」

 よし。交渉的には成功したぞ。

「それにここはいいお店だからね。お値段も安いわよ」

 おお、舞さん。敵にも優しいんだね。

まぁ確かに。このしょーけーすってやつにはいってるのはすごい。

見た目、デザインっていってたっけ。すごく勉強になる。宝石をカットしてるのはわざとなようだし。僕が持ってるのもそういうのが多い。

 前とちがって日本語が大分分かるだけで情報を入手しやすいし・・・

「確かに僕のところでは。見たことないくらい綺麗ですね、ってそうか!なんといっても純・・・はっ!国宝か!」

「いえ!そこまでは!ってわたしまで・・・」

「指輪だけじゃなくて・・・この時計もすごいですね!なんて贅沢な」

 はっいけない・・・けど。すごい、そうだよ。ここって全部純だもんなぁ。

「うんうん、どれどれ・・・」

「では何かお困りのことがございましたら」

 

 数分後・・・僕は食い入るように、舞さんは思案しながら見ていく。

そして彼女は言った!

「今思いついたんだけど、ルイン君これを収納にとかできる?」

「できるわけ・・・い!いえ!やったことないけど・・・・・できたらすごいですね」

「ちょっと調べられるかな!」

「ちょっと待っててください!トイレ行ってきます!」

「うん!!」

 さらに数分後!

「舞さんできました!!!天才です!」

「おお、んじゃこれにしようよ!!デザインはこれとルイン君合作で!」

「わかりました!」

「あ、あのお客様!?こちらでいいですか!ってちょっと!」

 あ・・・・舞さんが僕を担いだ。

 うん、もうここに用はない・・・。

「今日はもう大丈夫です!」

「そんなぁ!お客様、時計なんてどうですか!せ、せめていっこだけでも!」

「大丈夫です!ウインドウショッピング最高ですね!今日は極めた気がします!」

「おきゃくさま・・先ほど!買うって!・・・」

「「ありがとうございました!!」」

 ふふ・・・舞さんと僕は風になり、後ろで店員ボス級のこだまを聞きながら、この森を駆け抜けました!

なんだろう、すごく。とっても楽しい!!

舞さんも僕もいつのまにか笑っていました!

舞さんと冒険・・・やっぱり話そう!僕の不安は消えていた。


ちょっと長くなってしまいましたね^^:

三連休の最後に投稿できたから、お休みにはちょうどいいかな?w

まだ、読んでいる方、徐々に減っていってますが、ありがとうございます^^


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