調教は必須
「ピロォオオ~」
「これがグリフォン!カッコいい」
目の前には繋がれていない小柄なグリフォンがいた。
噂に聞くとおり、上半身は鳥の王に相応しい姿、下半身はどんな獣も捕らえて離さない獅子の肉体。黒と白、優雅さと威厳が風格として備わっている。
大きさがルミエナさんと同じくらいの背の高さからまだ子供だと分かる。目も何となくまるっこくて可愛い気もするけど、その姿に可愛いよりもやっぱりかっこいいが似合う!
「危ないですので私の後ろに」
「わたしの後ろに!」
「お二人ともやめていただけますか?怖がっています」
「「剣を降ろそう・・・」」
グリフォンを背にして剣を向けている女性。
それにあわせたように、グリフォンが彼女の肩にくちばしをよせ、頬すりをしている。
やっぱり可愛いかも・・・。
「お初にお目にかかります。グリフォン隊、調教の責任者に任命されました、フォンティアと申します。フォンとおよび下さい」
「ぼ、僕はルインといいます」
「ピロォ・・・」
グリフォンが僕を見て翼を広げた。綺麗・・・
「何か事情があるようですね。ですが、わたしも分かります。この子が敏感ですし。この村では隠す必要はございません。同じ白髪であることを噂ではないと確認でき光栄でございます、リエン様」
「うわぁ・・・あその。ありがとう」
「可愛らしいですね!この子の名前はファムといいます。どうぞ」
興味に惹かれるように近づくと、顔をぐいっと近づけてくれるファム。
なで・・・なでできた・・・・。感動。
「こいつは?」
「こいつなどと・・・名前は既に言っていた。貴殿の番だろう」
「むぐ・・・ルミエナだ。元イル、エレナ様の新鋭隊長を勤めていた」
「はい、存じています。美しい花の髪色、鍛え上げたしなやかな気品ある立ち姿。ルム様の言うとおり、凄腕の隊長様ですね」
「なっ・・・う、嘘だな。ルムが私を褒めるわけが」
「あのかたは、グリフォンとそっくりですので」
「そ、そうか?うん?」
「どうでしょう?さすが調教長でございましょう。リエン様」
「そうですね」
ひっし・・・と僕に抱きつくひとがいる。
まぁでも今は関係ない。なんて滑らかなんだ、もふもふしたい・・・。
「離さぬか、貴殿らは?」
「部下のモモとカエラです、無口ですが優秀ですよ」
「こっちのピンクがモモで茶がカエラか・・・よろしく頼む」
僕もちらりと確認する。
可愛らしい子供だ。うん5,6才?
「「・・・・・」」
うん、わからないけど僕はまたファムとスキンシップに集中。
「ってまたなでるんだ・・・お気に召されたようで」
「ぴぃろ~」
「あら、ファムにも気に入られたようですよ。さすがです!」
「おわ!」
「見事です!!調教もなしに!まさに!奇跡」
うそ!ほんとに!カオすりすりしてくれる!
おおおおおおお!かわいいぃいいい!たぶん、何かいてくれたからだろうなとは思ったけど、かまわずすりすりを堪能する!
「わ、わたしも」
ルミエナさんが僕の後ろに着たけど・・・持ち上がった!
力強いなぁ!でも
「ぴぃ!!!」
ルミエナさん嫌われているのが誰の目にも見てわかる。そういえば、馬とグリフォンって仲悪いとかなんとかきいたことあるなぁ。
「ふっ」
「「「フッ」」」
「貴殿ら・・・・みんな嫌いだ」
よいっしょっと首ガラぶら下がるのをやめて皆に向き直る。
あ、まだ抱きついていたんだ。この子たち。可愛いなぁ。なでなですると、桃色の子も茶色の子も頬が朱に染まった。横から英雄になでてもらえてよかったわねといわれている。
そんなほのぼの仲、またおっぱじめているルミエナさんとクラダさん。ふぅー。
「奇遇だな。調教して欲しいくらいだな。なぜ貴様なのだ、ルムであれば」
「二人ともそろそろ止めましょうよ、それに、ルミエナさんは、言うほど劣った人ではないですよ。少なくても楽しいですので、そんなに悪く言わないで下さい」
「わたしも悪ふざけが過ぎました、よろしくお願いします。もとより尊敬していますよ」
言ったのはフォンティアさんことフォンさん。大人の女性だ。ルミエナさんより若いのに・・・。
「わ、わたしも一応は」と、嘘を着いているクラダさん・・・。
「貴殿はしてないだろう!フォンさん、よろしくお願いします。いや、あなた嫌いになれない!」
『『ちょろい』』
「え?」
「「・・・・・・////」」
下から声がした。まぁ僕もそう思ったので微笑むしかできないけど。
「名コンビになりそうです。ふふふ」
「そうであろう!リエン様には私がついている!あははは!」
嗚呼・・・ルミエナさん、調教する気持ちで接すれば御しやすいのね。
後で聞いておこうと決意しました。
調教大事!それに、いつかグリフォンに乗りたいですし!!
「綺麗」
「かっこいい」
と棒読みしておだてるモモとカエラ。
それでもご機嫌が良くなっていくルミエナさん。
やはり調教は大事だな!
お読みいただきありがとうざいます^^




