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シンラ様と定め

読み続けているかたがた、ありがとうございます!

ブックマークや評価までしてくれて、書いてね!って言われているようで励みになります!><

本書ではないぶん、はしょっている部分や超ライト感などあるのに、読んでいただいて><恐縮です。


 森羅万象【バンショウ】の森とシンラの眠る国。その恩名の都市。

統治するのはその名もシンラ様だ。勇者様のシンラ様への愛の証として残された、唯一無二の結界都市。

 人間はもちろんのこと、エルフの里を出たものは入ることすら許されない。

シンラ様その人を見たことがある人は五本の指にも入らない市政の者と特殊諜報部隊【花鳥風月】カチョウフウゲツ。

 シンラで起きること、バンショウで起きることは全てシンラ様へ報告される。その存在は知られているが、実態は誰も知らない。

 そんな少し怖い印象を持つエルフの首都、到着してみればその印象はがらりと変わる。

ロココ村を出発し何度か休憩をする。この安堵かの休憩の間にちらちらと見られている気がしたが、これが隠れ里の由縁だそうで、精霊が世界樹と連携して正しい道へと導くといわれている。

 うん、ほんとにそうですよ。チラチラ目が合わないようにしてたけど、本当いるし、世界樹の根(地表から出ている根)が道植生を変えている・・・。気づかないのが一番いいと思う。それに妖精も見た目が全然違う。なんだか温泉ロココに売られていたハニワ?というものに似ている。コココロと鳴いている・・・ひょっとしてロココ?って.

まぁいいか。そんなこんなでまもなくシンラだ。

 近づくにつれ、世界樹の姿は森で隠れてしまっているが、根はりが密集しているところや、その上に生えている草花、ロココのように幻想的であり、それよりも力強い存在感を醸している。かといって、木々は深緑ではなく、新緑。

 ほぉーっと落ち着くと同時に、元気が目に見えているようだ。

入り口を抜けると、目の前に広がるのは天然水路の世界樹による清流と暮らす人々、白色の石造りの地面、そして見上げれば圧倒される生命。

 世界樹だ。山かと思うほどに雄雄しくもすらりと立つ一本木は美しい。

「す、すごいですね・・・強烈です」

「そうね、毎回毎回、感じるのは自分の記憶力の無さと実物のすごさよ」

 どんどん道を進む、検問などは一切無いこの白を貴重に緑が足り並ぶ家々と清流のそばで暮らす人々。浮世離れしている。

エルフの里、質素とは言えない大自然の恩恵を最大限に受けた贅沢な都市だ。

時折手を振る皆さんも朗らかだ。

 やがて建物を抜けると登り道、居城が姿を見せる。

世界樹の影響で遠目では小さく見えたその城は、この登り始めの時点で間違いだと気づかされる。

切り立った崖を背に聳えるのは、いくつもの塔で囲まれた城だ。

塔も丸くつるんとした塔から、魔法で支えられているだろう歪な形をしている塔など、まるで生えてきた双葉の芽、種の発芽の形をしている。

 囲われた中にあるのは美しい城だ。

 門を抜けるもここも無人。警備もない。

 広間を抜ければ、白い浴衣?のような格好をした侍女というより宮仕のエルフの方々。

何を聞くでもなく、こちらを向いてにこっと会釈をするだけだ。

「さ、ついたわ。荷物を置いて、あなたたちは解散、リエンちゃんはついて来て」

「も、もう逢うんですか!?」

「そおうよ、分からない、さっきから誘導されているのが」

「誘導?」

「ほら、あの女の人、荷物の場所を指示しているでしょ。この広い城の中で迷わずここについたのが招かれている証拠。そして、あの扉、その向こうは常に謁見の場よ」

「この城も動いているのですか!?」

「ええ、あの塔があったでしょ? あれ自体が魔力が込められた遺物よ、その魔力とシンラ様の意思でこの城はその姿を変えるわ」

「・・・なんどすごいといったか分からないですけど、さすがに想像もつかなかった」

「さ、リエンちゃん、行って。わたしは待ってるから」

「え!?」

「あら、寂しい? でも、扉のサイズがあなた用に変わったってことはね」

「・・・・・」

 確かに、奥に続いた階段を上ると、さっきまで大きかった扉は近づくにつれ小さくなっていった。一人で、うん。どんな人だろう・・・

「大丈夫。わたしはあの人にだけは、頭が上がらないわ、逢えば分かる」

「はい・・・」

「いってらっしゃい」




扉を開けると真っ白な世界・・・。

後ろにはかあ様がいて、恐る恐る一歩を踏み出す。

入ったと途端にドアが閉じる、そして消えた。上下左右に揺れている感覚が襲ってきた。

「うわ・・・え?っとと!」

 チン・・・・

「チン・・・ってエレベーターみたい」

 どこかで聞いた、というより確実にエレベーターだ。

「ようこそ、お待ちしていました。こちらへ」

 ずらりと現れたのは、10名弱の方々。

顔にはノと書かれた布が羽織り、黒一色のローブ?にた装束、ただ、これも日本で部活の勧誘にきた胴着に似たものを着ている。

「私達は花鳥風月の意志、ここに魔法によって存在するものです」

「そ、そうですか・・・リエンと申します」

「どうぞ」

 真っ白な空間ともいえる場所をただ、まっすぐ付いていく。

すると、1分ほど歩いた感覚のところで突然大樹の根元が現れた。

ごくりと息をのみ、前を歩いていた花鳥風月さん?がいないことに気づく。

前に、進む。

やがて、大樹を見上げるように行き着いた僕。

だれもいない?と、思ったが・・・!?

「なっ・・・・・」

「驚かれましたか、どうぞ、楽にしてください」

 目線を再び降ろせば目の前に居られた・・・現れた顔!

「お初にお目にかかります、リエンです・・・!?っ」

 すぐさまエルフの礼を取り、改めて見上げて驚愕した・・・

「このような姿で申し訳ありません」

「と、とんで・・・とんでもないです!!」

「優しい子、いや、優しい人ですね。エレナとそっくり」

「いえ・・・いいえ」

 絶句する、瞬間的に理解する。

その壮絶な年月を・・・大きすぎる存在とその慈悲を。

彼女ともいうのも恐れ多いその姿に。

 世界樹に抱かれて眠る人・・・ちがう・・・そんな生易しいものではない。

 力と知恵を持ち、勇者様との記憶を共有する、幸せの象徴・・・そんなの耐えられない。

 目の前の少女にも満たない容姿はその体の一部と顔、御髪からしか想像ができないが、エルフ、ハイエルフの美しさをもった普通の少女だ。

 普通と言わしめるほどに、普通に見せているのが異常なんだ。

手足は見えず、完全に世界樹と同化している。

白色の髪は根元から養分を吸い出すかのように天地に逆らい、世界樹にそって同化し、同化部分は苔が映えて緑になってしまっている。

足は幹と一体になった根のように足とも呼べず。

手に至ってはあったかどうかも分からないほどに同化していた。

「そんなに泣かないで下さいますか? 私は不幸ではありませんよ。望んでこの姿になっているのです」

「ふぉ?ふぉんとうに?」

 なんとか嗚咽を我慢して聞く自分が情けない。

「本当です。お父様を思い出し寂しい時はありますが」

「ご、ごめんなさい」

「話になりませんね。お顔を上げてくださいませんか?」

「・・・・」

「誰か・・・拭くものを」

 花鳥風月さん、が現れるが驚くことよりもむせび返るような感覚を涙とともにぬぐう。

「どうぞ」

「ありがとう・・・もう大丈夫です」

「私がこの姿になる最大の理由は、勇者様との同化でもあるからです。この中で眠ると、まるでそこで生きているように、暮らした日々、その続きも見れます。これは世迷言ではなく事実です。勇者様もこの中に眠っていおられるのですよ」

「・・・・・」

 淡々とお話になる。

とても澄んだ声は、帰って少女を思わせてしまう・・・

きっと、考えられないほどの思いがつまりに詰まっているんだろう・・・

「本当です、あなたなら、神様のことを知っているでしょう、察してください」

「!?」

「願いは叶えられ、わたしは永遠に幸せなのです」

「じゃ、じゃあ・・・本当に?勇者様と?」

「ええ」

「良かった・・・。少しほっと?しました」

「疑問系なのが面白いですね。ふふ」

 それはそうだよ、神様ってすごいことをしてくれたけど、それがシンラ様の望みとは限らないのだから。

「こ、これは?」

 疑念を抱く僕を笑うように木々が揺れた。

風も無いのにまるで・・・・さわやかな木漏れ日を感じるようだった。

「勇者様も笑っています」

「なるほど・・・し、信じます」

「さて、真面目な話ですが覚悟はよろしいですか?」

「は、はい・・・すみません」

「どうして謝るのですか?・・・ああ、あのいたずらの件ではないですよ。それよりも大侵攻を止めてくれたほうが重要です。それでもこれから話すことに比べれば些細なことですが」

 そういってシンラ様は片目を瞑って見せた。

僕の緊張をほぐそうとしてくれているのだ。

「お聞きします」

 まっすぐシンラ様を見つめる。もう大丈夫だと。

しばらくの間をおいて、静かに口をあけた、シンラ様・・・

「あなたのその力。それで異世界に行き、この世界を回ることはこれは使命です」

「はい・・・」

 厳かに答える。

「力の所以、程度も当然知ってます」

「はい」

「ひとつ、使命というより義務を申し付けます」

「異世界、アルブ。双方でたくさんの絆ができるでしょう、そのものたちを」

 一言一言に間をあけ厳かに命じられる。

 長い・・・長い沈黙だ。

「・・・・さ、察しています、ご遠慮なく。私は一回死んだ身ですし」

 覚悟はできている。

「いえ、ごめんなさい。その、なんと言っていいか分からなくなってしまい。誤解させました。別れを意識して深い絆を得るな、そういう話とは逆です、むしろたくさんの深い絆を得てください。そして子をなし、双方、最低一人は世界を生まれとは別に育ててください」

「は、はい?」

「そして、生まれたこのうち、選ばれたものが消えてしまいます。そのことについて、先に神に変わり謝罪いたします」

「そ、それはどういうことですか!?」

「できるだけ多くの子を世界を渡らせることをお勧めします。それが、あなたにとっても世界にとっても喪失感を失わない方法ですから。あなたは育てた子を一人失いますが、そのことについて記憶は失くします。あなただけでなく、つれ合いも周りの全ての人が。ですが、心に開いた穴は感じるでしょう」

「そ、そんな、じゃ、じゃあ僕は、子供なんて」

「それを言うならば、この記憶をなくしてもいいのです」

「!?」

 厳かな空気は一気に感情の波で散り去った。

僕にあるのは、焦り。ただその焦りとどうしようもない理不尽への恨みだ。

「睨まないで下さい。これは、罰でも、呪いでもありません。滅ぶ運命にあったこの世界とあちらの世界を守るためです。そして保証いたします。必ずその方が幸せで」

「拒否はできないのになぜ!?」

「わたしの自己満足です。わたしもいずれ神の一員になることが決まっています。そうなるともうあなたには話すことすら許されなくなります、どうか恨んでもらってもかまいません。どうすることもできない私を蔑んでいただいてもかまいません」

「・・・・・・・・・・・・んなぁ」

「ただ、ただ、一つ信じて欲しいのです。その子が幸せは私も守り、保証されるということを。そして、本人も幸せだと、望んで選択してくれるものだと」

「分かりません・・・・僕にはそれができるかわかりません。子供なんて、恋愛とかも意識したことが無い僕に、その先の先の話。ただ家族が失われるのは嫌だ。その感情しか沸かないし、取り払いたい。僕は運命に逆らうかもしれません」

「その力があるからでしょうね」

「必ず・・・僕は。この記憶も取り返します」

 立ち上がり、覚悟を見せる。

いくらなんでも、あの悲しみが先にあるなんて考えられない。

運命というならば捻じ曲げてみせる・・。

「振られちゃいましたか・・・うまく説明できなかった。ですが、嬉しいです。お父様というのは・・・そういうものかもしれませんね」

「だれでも親も子もだよ!!」

「・・・・」

 一瞬驚くように目を見張った彼女。いや、シンラ様。

いけない。あまりに感情的になっている自分に気づいた。

「す、すみません!」

「嬉しいの。記憶は消さないでおきます」

 なんて顔をするんだ。

本当に嬉しそうに、そして幼く見える、その顔。

これじゃあ、僕は・・・

「神になる前で良かった・・・。失格ですよ。わたしは」

「シンラちゃん・・・」

「え」

「ご、ごめんなさい! なんか幼く・・・いえ、なんでもないです!」

 おふぁ!なんていった僕!? 同情ってやつなのか! どうしようもなく申し訳ないとは違う感情が襲い口にしていた!

 あまりに辛そうで、あまりに嬉しそうな顔に、油断してしまったのだろうか!

「なるほど、不思議な・・。それではこの辺で、眠りにつかせていただきますね。最後に、もうすぐこちらの世界では戦争、あちらの世界では混乱の兆しがあります。早く、星に願いの力を存分に発揮してください。それが・・・とても」

「し、シンラ様!それはどういう!?」

 シンラ様・・・はもう、そこにいなかった。

 顔が幹になじむように消えていったのだ。

 ぽつーんと一人残された気がした。

 なんてことを言うんだ僕は・・・。あんな小さい体で、お顔で・・・

 恐らく僕よりまだ小さい時に使命を授かったんだろう・・・

 木の幹にそっと手を当て、抱きしめた・・・。

 ありがとう・・・ございます

 なぜ、だろう。

 涙が出てくる。

 ぽつりぽつりと止まるまで、僕はそうしていた。



 どれくらい経ったか、振り返ると。

「ご退出を」

 花鳥風月さんがぞろりと待っていた。

「み、皆さんは何か知ってたり・・・」

「「「「ご退出を」」」」

 有無を言わせない迫力。

「あ、はい・・・」

 目の前には箱型の部屋が登場し、エレベーターのように開く。

 乗り込んでぺこりと頭を下げた。

「あの・・・」

「!?は、はい!」

 びっくりした・・・あまりの普通の声に!

「!?」

 いっせいに僕にさわる花鳥風月さんたち!

「・・・これが」

「なるほど・・・」

 勝手に納得し、勝手に離れて言ってぼそぼそと相談している!

「なぜに!?」

「今後はこの者に繋ぎをしていただければ、我らの情報も役立てます」

「え? なに? メモ?」

「御内密に」

 なにがかも教えてくれないけど、って聞きたいことそれじゃなかったけど!

 でもこれをみて、さらに驚き!ターニャ、連絡係とするの一言。

「ターニャさん!?隠密なの?」

「これからなります」

「え!?ちゃんとおしえ」

「御内密に」

「「「「御内密に」」」」

 ・・・・もとの雰囲気に戻って迫力負けしました。でもなんというか、触れられた時感じたのが・・・

「うん・・・なんていうか。君らって僕と似てる?」

 そんな気がしていってみたのだけど、それで皆さんがした行動は。

 部屋から出て、皆さん同士で見合わせ。

 人差し指を前に出す。

 うん??

「「「「「ぽちっとな」」」」」

 ちょっと楽しそうな声でそういった!

 嫌な予感がして下を見た瞬間、穴!!って!!

「わぁ!? ちょ、ひどいぃいいい!!」

 聞こえたかどうかわからないけど、僕は今日一番の声で叫んだ。

覚悟を決めて、活動が活発になり始めます。

今までが迷走期とすれば、次は冒険期?のような感覚です。エルフの里での能力上げ、地球での知識あげなどが活発化していきます^^

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