はじめての冒険
翌日
日下部君の信じられないほどの順応性で、放課後の段取りは全て片をつけてくれた。
休み時間殺到する男女ともに、日下部君が「任せてください!」と胸をはり、なにやら立派なノートを取り出し話し出した。
女子の皆様が文句を言おうものなら、日下部君が写真を取り出し、これを自由にしていいかと聞いてきた。
「僕の写真? いつのまに?」
「どうでしょうか? ちゃんとまねじめんと?します」
「おい、日下部」
「お願いします。僕は恩を返したいし変わりたい」
そういうと武君もだまり、結局僕はいいよといった。
結果的にいうとすごく静かになった。
と、まぁこんなこともあり、今日の放課後に至るわけで、僕は軽装の皮の鎧と護身程度の装備をして・・・
立つのは横断歩道!
「さて、舞さんは帰ってきませんし、冒険をしなければならないようですね」
「冒険って・・・それじゃ、こ、コスプレみたいだ・・・」
「とかいいながら写真撮るな、日下部」
「いや、これがすごい売れ行きで・・・」
「写真部か!ってかんなぁことはもうどうでもいい! とりあえず、この模造刀は置いていけ」
「失敬な! 大枚をはたいて買ったミスリル製のショートソードですよ!」
「なお悪いわ! ってミスリルとか意味不明だ!」
「すごい再現性です! すごい・・・アルミ、いや、銀? それを混ぜたらこうなるのでしょうか・・・切れ味もすばらしい! ぐっじょぶです!」
「あほか! 銃刀法違反だろうが、おれだってもったのはナイフまでだよ! いいか!・・・」
なぜか僕を尾行していた二人。
家を知りたかったのか、怪しまれても困るので、放置していたのですが・・・
さすがに僕の冒険を邪魔されるわけには行かず、ずっとついてくる二人を確保。
開き直って今に至るのですが・・・
「なんですって・・・すごい、国家権力」
なんと、この国では、武器の類はもっているだけで、警察が動き投獄されるそうです。
そしてそれに反発するどころか、民はそれを受け入れるまでの心の持ちようと、変わりに警察は治安の維持にそれなりの貢献をしているとのこと。
驚愕です。
恐怖支配でもなく、もはや刷り込み・・・
頭を抱えていると・・・
「ついていかなくていいですか?」
「ついていかないとやばいだろ・・・」
「いえ、問題なく! これは僕の冒険ですから!」
これ以上の弱みは見せられないと本能が叫んでいます。
「くそ・・・せっかく尾行したのにあっさり見つかるし、変に頑固だし」
「わたしは楽しかったであります! 何かあれば、このメモを!」
日下部君、すばらしいです。何が彼をここまで・・・
どちらにしても僕は最低限の知識を得ている。
何も問題ないはず!
「ありがとう! では参ります!」
僕はさっそく安心させているのでしょう。
でも掛け声とかほしいですね・・・ここは。
「「・・・・・」」
「なにしてんだ?」
「赤ですよ! ほら、ちゃんと知っています!(+・`ω・´)」
「「・・・・・・・・・・・」」
「なんです! その顔は!」
「そういうところは覚えてるのな・・・普通ここじゃとまらねぇけど(ぼそ)」
「ぱしゃ!これもいけるともう!」
「では!」
「本とにきをつけろよ!!!」
「どうかご無事で!」
なんとも失礼な掛け声だ。
僕があなたたちに劣るのは知識だけだ。
むぅ・・・・
僕はやれる!今日のミッションとして僕が目指すのは、物の価値の違いを知る!です!
やっぱり無理かもしれない・・・
「・・・なんて巨大な市場・・・」
「いらっしゃいませ~」
「がやがや」
「きゃきゃきゃ」
移動してきたのはいいものの・・・・
なんて巨大で、人の多さ・・・
「手に汗握るとはこのこと・・・とりあえず今日の目標を果たさなければ」
僕は教えてもらったとおり、舞さんのいきつけのごろごろ倉庫、買取受付をめざした。
「これを換金してマネーがほしい」
「あ~駄目だよ、子供は」
「何を言う! わたしはこれでもれっきとした13歳!」
「うん、知ってる。20歳以下はお断り、見て分かるだろ」
「・・・・・あ!これがある!」
「先にそれ見せてくださいよ・・・変な子だ」
危なかった。
にしてもなんだ、この人は。
まだ若いじゃないか・・・主人を出してほしい。
これほどの品なのに。
アルブとはいえ、金貨に銀貨もあるんだぞ・・・
「で、どうです!」
「う~ん、混じってはいるが、金ですね、これは・・・素人にしてはきっちりした絵柄、趣味か・・」
そういって店主(仮)はお金を持ってきた!
最上級紙幣、ユキチが!
「2枚、まずまずです! ではこれは!あ、店主のほうがいいと思う!」
僕はついに出した! ミスリルの細工だ!
「なんだこれ・・・こういうおもちゃは困るな」
「お、おもちゃ??ですと・・・ミスリルだよ!!!」
「え~っと、とりあえずうちなら、そうだな、5千円」
「け、結構です・・・こんな屈辱は初めて」
「ごめんなさい、えっと金貨のほうは受け付けますよとお伝えください。それとそっちは、僕が作ったのか? すごいとおもうぞ、綺麗だし、5千は綺麗だから美術品として」
「・・・・・・もういいです」
確かに僕が作ったものだ。
昔、ミスリルの塊を卵ほどの大きさで手に入れた。
それを加工して作った世界樹の装飾品・・・
泣きそうだった・・・
もし高値がついたら売らずにかあ様へとおもっていたものだったのに・・・
気を取り直し・・・・ついたのはすごくおいしいお店。
ここは、舞さんが練習相手になってくれたマクルナルド!
結局ちんぷんかんぷんのやりとりよりもこれを見せてと、受付の女性に写真を見せて
「コレクダサーイ、数は10個ずつ、飲み物はふたつ」
とかたことにすればいける!と言われ・・・
「う、うまいぃ・・・・」
ふふふ・・・手に入れた。
やればできるじゃないか。
受付の前で手に汗を握って胃がどうにかなりそうだったけど!
今は美味しさでどうにかなりそうだ!
そして・・・狙うものあり。
「ね、ねぇ・・・僕、一人かな?」
とうとう来たか、さっきから視線が半端ない。
あれだけの量を買ったのだから、狙うのは無理ないか・・・
でも!
「あげませんよ! もってるじゃないですか!」
と、立ったまま固まっている人に抗議した。
自分のに手もつけていないのにものごいとは!ど、どこのお金持ちか知らないけども、あげない!ってお金持?
ん・・・服は小奇麗で、もっているものもあの倉庫にあったケースに入っていそうなかばんだ・・・じゃあ、なぜ?
そうおもっていると・・・
「いやとらないし! あははっ!何この子!面白いよ!」
「いや、結構本気で警戒されてるよ~」
髪が長く最初に声をかけた女性の隣で、背が高い女性、どちらかというと男子よりの顔と反応をしめす茶髪の人。僕とあまり背が変わらないこれまた長い髪を結んでいる子が現れた。
うーん・・・僕とあまり背が変わらない人の言葉通りだと、とられる心配はないようだ。
「これあげるから、お姉さんたちと一緒に食べない?」
「!?そういうことでしたか! どうぞ!どうぞ!」
言うのは最初に声をかけてくれた人。
なんだ、憐れんでいたのか。
普段習いやだが、彼女が持っているのは僕の安いやつとはちがい、どでかい写真のやつだ。し、仕方ない!
「やすい・・・やばいおもしろすぐる」
失敬な人が隣でずっと笑っているが、僕は数を食べるから・・・
「ごめんね、強引で。でも君があまりにすごい勢いで食べてるし、顔もその、人がよさそうで、話してみたいって」
「さきほどからちらちらと見られていましたね。まぁわたしは警戒してますので奪われない自信はありますが」っと少し頼もしい雰囲気を出しつつ答えた。
「ひぃ、やめてくるしいぃ」
「ちょっと景!」
「だってだって、想像以上にきゃらがちがう」
むぅ・・・・失敗したようだ。
「とっつきやすくてよかった、ちょっとこういうの初めてで」
「ありがたく頂戴してます」
「いや、そういう意味じゃなくてね!」
むぅ、最初に話しかけていた人が一番しっかりしてそうなのだが、いまいち通じてない。
あいかわらず、笑われている。
そこ、気づいているよ。
僕と背が変わらない子も、っぷだの、っくだの抑えている・・・
「やだ、本気なの! やばいんだけど、ほら、むくれるなって!あははっ!」
「け、景・・・わらいすぐっ」
「も、もういいです。その、何か僕に用があるならはっきりとおっしゃってください」
「これってほら、逆ナンみたいでしょ、というかそうなんだよね」
「静が言うとすごいな、君刺されないようにな、男子から」
この失礼な茶髪の人間は「けい」、一番最初に話しかけた人間が「しずか」という呼び名のようだ・・・そして理由も分かった。どこのお嬢様だ。
これはそういう商品ではない。
「逆ナン? これはマックス何とかというもので、ナンというのは違う商品です、たしか、これです!」
どうだと僕は記憶を搾り取ってそれをさす!
「だめだ・・・はらちぎれる、静かの顔とのギャップが・・・こんなのっだれか写真を」
「けいぃ・・・静もそんなに気にしないで、っぷっくっく・・・」
「き、気にしてないよ。え、えっと紹介が遅れたね。わたし、静。白羽 静で、こっちの馬鹿みたいに笑ってるのが景、笹川 景ね。で、こっちのおっとりした子が、名倉鈴ちゃん、れいちゃんだよ」
「ご丁寧にありがとうございます、神埼瑠音と申します、平によろしくお願いします」
「え・・・」
「綺麗なお辞儀・・・」
「よ、よろしく!」
「では」
「って食べるのね!」
当たり前だ、僕は食べに着たんだ。
笑われきたんじゃない・・・食べ終わったらすぐに・・・
「それで、もぐ、何ようでしょうか?」
「いや、話したいって思って、これから暇かな? 少し遊ばない?」
なるほど、どこかのお嬢さんが庶民と戯れたいということか・・・
再考の余地はある。
実際、このあとどうやって家に帰ればいいか分からなくなっていたところだ。
転移でかえればいいけど、それでは意味がない。
帰りはあの「バス」というものに乗って帰るのだから。
「遊んでいる余裕はないのですが、途方にくれていたのも事実ですし・・・むぅ、ここから岬町への帰り方を教えていただけるのであれば! もちろん徒歩ではなくあの乗り物にのって!」
「岬町、分かるとおもうよ、携帯とかもってないのかな?」
「そ、それは意味の分からない店員が呪文を唱えて迫ってきた・・・」
「ナンだよ呪文って!これ以上笑わせないで」
また、笑う・・・
まぁ無知は笑われても仕方ない・・・けど、僕より隣で我慢してるこの方が困ってそうだ。
もう笑うなら笑っていいのに・・・
「ひょっとして外国の人かな?」
「正解です。わたしはちょっと田舎からで手きたと思っていただいて結構です。岬町の学校以外は知らないのです」
「携帯は?」
「最近知りました。その箱のことですね、あいてぃー革命とやらでできたすごいものと日下部君から教えてもらいましたが、途中からやはり意味不明でした」
「やばいなぁ。これあたりだぁ、すごく楽しそうだ!」
「大変そうだけど、お姉さん頑張っちゃうかな」
「そうだね、可愛いかもっく」
やっとしゃべったれいという少女。
だけど僕より礼儀がなってないようだ。
そうか・・・さっきから勘違いしてるのはまさか・・・
「可愛くなどないです。あなたたちのほうが可愛いに決まってます。わたしは男ですよ!」
「知ってるって・・・おお、こっちも落ちた模様!」
「けぃ~」
???もう分からない・・・
この国の女性は意味がわからない・・・
「それより、おなか大丈夫? そんなに食べて」
「平気です。そろそろおなかいっぱいになってきましたけど。こっちはお土産用なので」
「そうなんだ。ふふ、髪触ってもいい?」
「髪ですか? なぜ女性は触りたがるのかわかりませんがめんどくさいので」
「「「「!?」」」
「どうぞ」
「あ、ありがと・・・え?」
「武士かよ! 何で切るんだよ! というか今どうやって切ったの!」
「もらっちゃった? え?」
どうにも分からないなら僕は僕の好きなようにさせてもらう!
「では、少しお相手いたします。今日はよろしくお願いします」
「「「う、うん」」」
ふふ、ちょっといころしてみた。
主導権はこちらのものだ。
読み続けてくれているかた、ありがとうございます^^




