アクム
ねえ…何で愛してくれないの?
私が悪いの?ねえ…ママ…ママ!
―――…………―
また…あの夢を……悪夢…。
夢じゃない…記憶…。もう何回目だろう…。
あのころの…記憶…。
ママは私を愛してくれている。
たった一人の娘なのだから。
でもいつからか…お母さんの愛情は…
私じゃない誰かに注がれてしまうの。
今から16年前、4歳下の妹が生まれた。
お母さんは私と妹の悠花を同じように愛していた。
でも、悠花が小学校に上がったころ…
「悠花はすごいねぇ。
またオール5だったのね!
悠奈の時とは大違いよ。」
妹の悠花は頭がよかった。
悠花がテストや通知表を持って帰るたびに
ママは悠花と私を比べる。
―――私が16歳の頃―
ママはパパと離婚した。
そしてママは知らない男と再婚して
悠花を連れて出て行った。
私はひとり取り残された。
「どうして私だけが…。
どうして辛い思いしなきゃいけないの!!
悠花のせいよ…悠花さえいなければ……!!」
いつしか悠花のせいにしていた。
ママからの愛情を奪い取った悠花が憎い。
大嫌い、悠花なんて嫌い…。
そのまま私は就職した。
大学に行くお金もないし、頼れる親戚もいない。
1人で生きてくしかないの。
―――……職場にて――
「神崎さーん。
リーダーがお呼びでーす。」
「はーい、今いきます。」
私はここで働いてる。
友達の親のコネで何とか入れてもらった。
生活は出来ているからなんの心配もない。
「神崎さん。もう入社して3年目になるわね。
そろそろ新人の子をまかせてもいいかしら?」
「はい!いいです!頑張ります!」
「ほら、挨拶して。」
「川島悠花です。
今年からここで働くことになりました。」
「はる…か……?」
私は耳を疑った。
まさか、あの悠花なわけない。
同じ名前の人なんかたくさんいる。
「あら、知ってる子なの?」
「い、いえ!
では川島さん。私は神崎 悠奈です。
仕事の説明をしますのでこちらへ。」
「はい。」
――……―
「では、いまから仕事の説明をします。
ここでは主にデザイン制作の―――…」
「お姉ちゃん…だよね?」
「!?」
「神崎 悠奈。覚えてるよ。」
「…仕事に関係のない話はやめ――…」
「ママに捨てられたカワイソウな子。」
「…だから仕事以外は…!!」
「辛かったんでしょ?ひとりで
私はママから愛情をたくさんもらった。」
…12歳の悠花とは違う……。
怖い…。
「川島さん!!
仕事をしないと外されますよ。」
「…はいはーい。」
どういうこと…!?