32 「せっかくの入学式なんだから隆文と一緒に行く」
今回は少し短めです。
御加賀見学園入学式の朝。
「隆文、行こうぜ」
「隆文、おはよう。準備は出来て?」
「おはよーございマース。隆文、イイ天気で良かったデスネー!」
「……おはよ、隆文」
朝っぱらから家の玄関前に一列に並ぶ幼馴染ズに俺はげんなりとして言った。
「……お前ら、入学式の朝くらい自分の家から直行しろよ……」
「「「「やーだー。せっかくの入学式なんだから隆文と一緒に行く」」」」
幼馴染ズは声を揃えて否を唱える。
本当にそんなところだけは仲良いよな、お前ら……。
趣味嗜好はまったく別々のくせしてよ、おい。
「あら! おはよー、皆。今日も元気ね! たー君のお迎えにきてくれたの? 良かったわねー、たー君!」
脱力していると、更に気を抜けるような発言をしながら義母凛子が家の奥から出てきた。
つか、まるで小学生の子供に向けて話しかけているような口調はそろそろやめて欲しい……。
「「「「おばさん、おはよーございます」」」」
「ふふっ。あ、そうだ。皆せっかくだから並んで並んで。おばさん、記念写真撮ってあげる!」
「「「「はーい」」」」
パシャリ。
アリッサと芹に腕を引かれ、右から甲子郎、アリッサ、俺、芹、孝臣の順に並んで写真に映る。
「次! 次は俺と隆文のツーショットな!」
「おばさん、よろしければ私撮りますよ。隆文と並んで下さい」
「あら、ありがと! じゃあせっかくだし倫太郎さんも呼ばなきゃね!」
「せーりー、女の子同士のも撮りまショー?」
「……僕写真はもういいや」
わいわい言いながらパシャパシャと撮影会が開始される。
俺も撮って撮られて大忙しだ。
アリッサはさすが撮られ慣れしてるせいか、ポーズもバッチリだな。
芹や孝臣は元がいいから特に何もしなくても絵になる。
まあここでどう足掻いたって俺は俺でしかないからいいけどな!
黒歴史なんか思い出してねーから! とか言ってる段階で思い出してるとかツッコミ不要だから!
それと甲子郎、写真の興味ないからってこんな時まで携帯ゲームで遊ぶのやめようぜ……。
そして一通りの自宅写真撮影会が終了し、俺たちは揃って御加賀見学園の門をくぐった。
次回、入学式、の予定。




