30 「隆文はかーちゃんじゃねーよ」
お待たせ致しました。
「隆文、今日の晩飯何ー?」
「その、なあ母ちゃん今日のご飯は? 的なノリやめろよ、孝臣。ちなみに今晩は焼肉とポテトサラダだよ」
「おし、肉肉! あともう一品何かつけて。それに隆文はかーちゃんじゃねーよ。うちのかーちゃんそんなメシつくれねーもん」
「しなくてもやってくれる家政婦さんいるしな。そもそもおまえんちの稼ぎ頭だし、家事してる暇はねーわな」
「そもそも女性が家事をして当たり前という認識が間違っているのよ。その点隆文は偉いわ。学校も手を抜かないし、家事もパーフェクト。どこぞのとんまにも見習わせたいものだわ」
「……そのとんまって誰だ、芹? もしかして俺か!?」
「別に偉くなんかねーし。俺にできることしかしてねーし」
「いやだからそれって俺のことか!?」
「孝臣そこはスルーするがイイ男なのデスヨー? でも隆文のゴハンおいしーのはホントなのデスネー。ついつい食べ過ぎてダイエットの敵なのデス~」
「アリッサはもう少し肥えてもいいと思うぞ?」
「ノー! 隆文、メッ、なのデスヨー。女性に肥えるは禁句なのデス~」
「……ご飯、まだ?」
「もう少しだ。ちょっと待ってろ、甲子郎」
「……俺、待つ……」
そんな会話をしながらトントントンと野菜を刻んでいく。
すっかり俺の家での食事が当たり前の日常になっている。
うちには一部屋、幼馴染ズ用の部屋が用意されている。
それぞれの私物や私服、学校の制服、仕事道具も置いてあり、毛布や布団などいつでも泊まっていける用意がしてある。
さすがに芹やアリッサは滅多に泊まることはないが、孝臣や甲子郎はしょっちゅう家に戻るのが面倒だからとそのまま泊まっていく。
芹やアリッサにしても泊まらないだけで放課後や休みの時は入り浸っている。
場合によっては早朝から押しかけてくるので、朝食を提供することもたびたびだった。
夕食は仕事の関係や家の用事で俺の家にこられない時を除くと、常に七人分用意することになる。
あまりにもいつもいるので来るときは連絡よこせではなく、来られない時は連絡よこせと言ってあるくらいだ。
また学校で利用した体育の体操着や何かは、汚れや臭いが定着する前にすぐ綺麗に洗ってやるからあればさっさと出せと言ってある。
だってあいつら学校からうちに直行してきやがるし。
下手するとうちに来てから自分ち帰りやがる。
そんな二維家は三人家族なのに、馬鹿でかい冷蔵庫にはいつも食材が満載、洗濯機を回す回数は一度では足りず、晴れの日には外の干竿に大量の洗濯物が風に靡いている、といった次第である。
結構な食費や水道代がかかるが、その分の材料費や生活費はもらってるから、金銭面で倫太郎や凛子の負担にはなってないけどな。
しかもみんな自分で稼ぎ得てるからそれぞれの家のの負担にもなってねーし。
孝臣や芹は家業に携わっていて、その分賃金として収入を得てる。
アリッサはモデル業。
甲子郎は自作ゲームやプログラミング、アプリで収入を得てる。
俺はそんなあいつらのサポート。
ちょっとくらいの手伝いだったら無償でいいんだが、日常生活の何割をこいつらの為に持ってかれてるんだ、の状態な為その対価はもらってる。
まあちょっとしたバイトだな、在宅の。
対価をもらう限りはきちんとしないとなー、と思って甘やかしたのが悪かったのか……。
「あ、隆文。これ後でアイロンかけといて。あ、あと今日の追加何作ってくれるん?」
「隆文、このハンカチ染み抜きして頂けるかしら。お気に入りなのにうっかり汚してしまって」
「隆文ー、明日お出かけ前に髪セットやってほしーのデス。可愛らしさの中にちょっと大人っぽさを希望するのデース。それとこないだお願いしたクリーニングもう戻ってきたデスカー?」
「隆文、ご飯……まだ? 牛乳も飲みたい……」
自分の得意分野以外は何もできないお子様四人が出来上がり……。
「いっぺんに言うな! 孝臣に芹、それはその辺置いとけ後でやってやる。アリッサのクリーニングはまだだ。明日の件は了解した。甲子郎、待たせたな。さあ、できたぞメシ! 牛乳くらいは自分で冷蔵庫から出して勝手に飲め。孝臣、何が追加で出来たかはこれ運んで自分の目で確認しろ」
「「「「はーい」」」」
…………同じ年なのに四人の子供を持った気分だよ俺は…………。
次回もお願い致します。




