26 「これ以上駄々こねたら捨てるぞ」
大変お待たせしております。
それから俺と孝臣、芹とアリッサ、甲子郎の五人でよく遊ぶようになった。
俺と孝臣と芹は同じ保育園だが、甲子郎は別の幼稚園であったし、アリッサは特に通っているところはなかった。
なので遊ぶのは主に保育園から戻った後か、休みの日。
場所はアリッサの家の教会か孝臣の家であることが多かった。
そして時は過ぎ、俺たちは小学校へ上がった。
今度は孝臣と芹は私立の小学校に行くことになり、俺と甲子郎とアリッサが同じ公立の小学校で同級生となった。
孝臣が渋った為、孝臣母から学費は援助するので同じ学校に行ってはくれないかと申し出はあったが断った。
それは何か違う気がするし。
放課後に遊べばいいだろと言っても渋る孝臣に、「これ以上駄々こねたら捨てるぞ」と言ったら一発で黙った。
何かを言いたいのに言えずに涙を浮かべてぷるぷる震える孝臣を見て、度々だと効力が失せそうだが、何かの時にはこれは使える、と俺は確信した。
芹は「仕方ないことだから。隆文のいない間の孝臣の監視は任せて」と言って笑ったが、その笑みはどこか寂しそうであった。
やはり女の子の方が大人になるのは早いな、と思ったが、横で「アハハハハー、ぷるぷる孝臣、どっかで見た犬によく似てるデース」と笑うアリッサを見て、いや個体差だなと思い直した。
小学校でクラスも一緒になったアリッサは元気だけは誰にも負けず、その明るく人懐っこい性格から常に人に囲まれている人気者となった。
対照的に甲子郎は誰とも口をきこうとはせず、常に俺の後ろをついてまわった。
アリッサはともかく、甲子郎は同じクラスで本当に良かった。
別のクラスだったらそのボッチさかげんが気になって仕方なかったところだ。
しかし、結局のところアリッサも俺や甲子郎といるのが一番楽しいと言って、何かと三人でいることが多かった。
そして、放課後になるとそれまでと同じように五人で遊ぶ。
孝臣は俺がいないとつまらないと不満たらたらで学校のことを語り。
芹はそんな孝臣のことをいいかげんゴミに出して捨てたくなると愚痴り。
アリッサは毎日楽しく過ごしているとはしゃぎ。
甲子郎は聞いているのかいないのか、俺の傍らで無言でゲームをする。
そんな日常が当たり前になった、そんなある日。
文乃が突然失踪した。
次回もお願い致します。




