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24 「お前らさっさと俺の上からどきやがれ」

大変お待たせ致しました。

 休憩時間という名の大人達の相談会議が終了し、撮影場所へと戻ってきた俺達。


 きっちり並ばせたポーズがイマイチだったということで、しばらくは好きなように動いてみて、と言われた。


 おいおい大丈夫なのかそれで。


 と心配に思っていたら、「隆文隆文」と、べとっと甲子郎がくっついてきた。


 何やら先ほどの休憩後から懐かれたもよう。


 そうすると、何に対抗心を燃やしたのか、「隆文の隣は俺なの!」と、孝臣が反対側からべとりとおんぶオバケに。


 お、重い……。


 すると今度は芹が、「隆文が嫌がってるじゃない」と、言いながら何故か二人の間からぎゅうぎゅうと。


 つ、潰れる……っ。


 しまいには「おしくらまんじゅうなのデース」と、アリッサがカラカラ笑いながらドスッと覆いかぶさるように乗っかかってきて。


 も、もう限界……!


 べしゃりと俺は重さに耐えきれず崩れ落ちた。


「……隆文……、重かった?」


「大丈夫か隆文!」


「あなたたち隆文から離れなさいよ!」


「アハハハハー! 転んでしまったのデスネー!」


 背中の上からそんな声が降ってくるのを聞きながら、「ど、どうでもいいからお前らさっさと俺の上からどきやがれ……」と俺は呻いた。


 マジで重いんだよ。自分と同じような体重×四の重量は……。


 一人一人俺から離れていって、やっと身体が自由になった。


 よろよろと身を起こすと、立ち上がる気力もなしに俺はその場で座り込んだ。


「……隆文、どこか痛い?」


「軟弱だぞ、隆文!」


「どこか怪我したの、隆文?」


「アハハハハー! 痛いの痛いの飛んでけなのデスヨー!」


 それぞれがそれぞれの心配の仕方で座り込んでいる俺を覗き込んできた。


 いや、アリッサは心配してるのか甚だ怪しいものだが。



 パシャリ。

 

 

 後に、名ポスターと評されることとなる画がこの時のものである。


 ポスターに映るは、五人の子供。


 一人座り込んでいる男の子を四人の子供が囲むようにして立っている。


 コンセプトは天使の祝福を受けている子供。


 座り込んでいる男の子が人間の子供で、他の四人が天使という設定である。


 クリスマスの時期、地元商店街の宣伝広告に使われたものだが、宣伝内容より人物に目が行ってしまう恐らく広告としては失敗作かと思われるそれ。


 ちなみに宣伝内容はポスターの中で利用されてる服や花や小物や本やetc。


 座り込んでいるその男の子はごくその辺にいそうな普通の子供。


 身につけているパジャマも、ごくありきたりなものだ。


 その男の子を取り囲んでいる子供達は別格。


 一人は金色碧眼の愛くるしい女の子、アリッサ。


 くるくるの巻き毛に花冠をかぶっている。


 青い瞳は今にも零れてきそうなほど大きく可愛らしい。


 一人はみどりの黒髪の綺麗な女の子、芹。


 長い黒髪に半透明のベールがその神秘性を増している。


 手にした本は綺麗な装丁のもので、その女の子の知的さを表しているかのようだ。


 一人はふわふわした綿毛のような茶色の髪をした愛らしい男の子、甲子郎。


 手にしている蝋燭の明かりが照らし出しているその表情はあどけなく庇護欲をそそる。


 蝋燭の明かりは火事に安心LEDライトだ。


 一人は絹のようにさらさらな髪を持つ凛々しい顔の男の子、孝臣。


 いかにも頭が良さそうで顔も整っている、将来が楽しみだと言われる顔立ち。


 身近に接してるとアホの子にしか思えんが。


 四人とも、神に愛された子供というのはこういう子を指すのではないかと思えるような、目を惹きつけてやまない子供達だった。


 その子供達に祝福されるように囲まれてる平凡な男の子、俺。


 まるで本当に祝福を受けているかのように見える。


 五人の子供が映し出された一枚のポスター。


 それは、たまたま俺達がずっこけて起き上がったところを映した偶然の産物。

 

 天使だのコンセプトだのは完全に後付け。


 写真に映しだされたその画が、見目の良い四人の子供に囲まれた平凡な俺が、まるで天使に囲まれた人間の子に見えるよね、という誰かがポンと思いついただけの、そんなネタバレ。






 何だ、ソレ。



次回もお願い致します。

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