18 「天使……?」
三人目登場。
初めて訪れた近所の教会は思っていたのと違っていた。
教会ってのはこう、お城の小型版みたいな感じと思っていたが、その建物は四角い白い長方形の建物だった。
十字架がなければ教会だとは誰も思わないだろう。
「へえ、ここが?」
「おおー、人たくさんいるな。賑やかだ! 物もいっぱいあるみたいだぞ!」
孝臣は感嘆したように声をあげた。
「芹は来たことあるの? ここ」
俺の問いに、芹はふるふる首を横に振った。
「ううん。外から見たことはあるけど、中に入るのは今日が初めてよ」
「そっか」
「隆文、隆文! あっちでアイス売ってる! あれまず食おーぜ」
「待ちなさいよ。まずはいろいろ見て、何があるかにしてからにしましょう」
「は? 見たきゃお前一人で見てればいいだろ! なあ隆文、行こーぜアイス!」
「ふんだ。ねえ隆文、こんな馬鹿放っておいて私と見てまわりましょ。それから何を食べるか何を買うか決めればいいじゃない。そうしましょ」
こいつらまた始めやがった。
両手を二人に引っ張られながらうーんと考える。
個人的には手持ちのおこずかいも限られていることだし芹の方に軍配は傾くが、それをすると孝臣が膨れて拗ねることは明らか。
別にそれでもかまわないのだが、そうなるとやたらと芹に喧嘩をふっかけはじめるから、それはそれでやっかいだ。
だけど逆に孝臣の肩を持つと、今度は芹のチクチクした嫌味連発がはじまるし。
となるとここは……。
「俺はまず教会の中を見てくるから、二人はそれぞれ好きなようにしてればいいよ」
第三の意見を言うのに限る。
バザーは教会の建物外の敷地でやっている為、中は休憩コーナーが設置されているらしい。
二人とは違う意見を出すという目的もあるが、実際せっかく初めて教会に来たのだから、中をのぞいてみたい気持ちもある。
「じゃ、じゃあ俺も! アイスはその後でいい!」
「私も! 隆文と一緒に行く!」
俺としては別行動でも全然まったくかまわなかったのだが、慌てたように二人は俺の腕にしがみついてきた。
「そ? じゃあ行こ」
重石のようにくっついてくる二人をずるずると引きずりながら、俺は教会へと足を踏み入れた。
「……へー、こうなってるんだ」
中に入って初めて見た教会も、想像していたのとは違った。
結婚式のパンフレットにあるような荘厳な感じのではなく、明るい集会所って感じか?
きょろきょろ辺りを見回しながら、祭壇の方へ足を進めると、そこには先客がいるのに気がついた。
そこで目を見張る。
俺達に背を向け、祭壇の方を向いているのは明らかに子供である。
年はきっと俺達と同じくらいだろう。
しかし、その背に流れる髪の色が、俺達とは決定的に異なる。
「……金色……」
そう、呟くように声が出た。
その言葉通り、その子供の髪の色は鮮やかな金色だった。
俺の呟きが耳に入ったのか、その子供はゆっくりと振り返った。
そして、その大きな瞳がこちらを映す。
その瞳の色も、今まで見たことがないような……、それはそれは綺麗な宝石のような碧い……。
まるで、神秘的で幻想的な天使のような姿をしたその子供に、俺はつい息をするもの忘れて魅入った。
「天使……?」
そう言ったのは孝臣であったか、芹であったか。
するとその子供はにこりと笑みを浮かべ……。
「ハーイ、いらっしゃーいデスヨ。教会へようこそなのデース」
と、そのそれまでの静謐な空気をぶち壊すようなテンションの口調で歓迎の意を述べたのだった。
これが、俺の三人目になる幼馴染との出会いであった。
次回もお願い致します。




