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13 「むしろすっげーぶっさいく!」

幼馴染二人目登場。

 いざ、興家主催のクリスマス・パーティへ。


 どこぞの女優か俳優かと思えるほどに華麗に着飾った孝臣父母に連れられて会場のホテルへとやってまいりました。


 俺がホテルのクリスマス・パーティに参加することを知って、文乃が「隆文だけずーるーいー」と荒れに荒れたが当日はそんなことは忘れたとばかりにオシャレをして早々にお出かけして行きよった。文乃もどこかのパーティに招かれたらしい。


 一人にしてしまうことを謝罪した俺に、倫太郎は優しく頭に手を置いて「僕のことはいいから、孝臣君と楽しんでおいで」と微笑んだ。


 倫太郎、まじ菩薩。


 そんなこんなでやってきたクリスマス会場、そこは……。


 広っ。


 ごちそうすげっ。


 人多っ。


 ……ちょっとビビるなー、この場違い感。


 ちなみに俺の格好は孝臣とおそろいの子供用ブレザーです。


 事前に服装について尋ねてみた際、「普段着でいいのよ~」と孝臣母が言ったので、「普段着はTシャツとトレーナーとジャンバーしかもってないけど」と答えてみた所、当日にこれが用意されていた。


 金持ちの普段着とド平民の普段着は意味が違うらしい。


 そして、俺は先ほどから興夫妻のもとにくる人の挨拶を孝臣と並んで受けている。


 因みに俺は隙あらばどこかへ抜け出そうとする孝臣の首根っこをつかみ、余計なことを言いそうになったら見えない角度で背中をつねりそれを止め、わざとらしいおべっかに乗せられて思いあがって踏ん反り返りそうになったら頭をつかみ返礼をさせる、等々に忙しくしながらその様子を見ていたわけなのだが……。



「やあ、これは将来有望そうな息子さん達だ」


「ええ、自慢の子供達です~」


「ずいぶんとタイプが違うお子さん達ですが、逆に違いがあって楽しそうですね」


「ええ、本当に」


「男の子二人だと喧嘩とかして大変でしょう」


「とんでもない。とっても仲良しなんですよ、この子達」


「では会社の方も安心ですね。二人で盛り立てていってくれそうだ」


「そうなってくれれば嬉しいですけれど。でも二人の人生ですもの。自分の好きな道を選んで歩んでいってくれるのが一番ですわ」


「おお、息子さん達は幸せ者だ。こんな理解のあるご両親がいてくれるのだから」


「そんな。私達こそ幸せ者なんです~」


 と、おほほ、あはは、と穏やかな笑いが会話を彩り……。



 ……待て待て待て待て。


 いや、言ってないよ?


 一言もそうだとは言ってないけどさ。


 相手は俺も息子だと思ってるよね!?

 

 いいの? こっちは息子の友達だと否定せんで、と見上げると、孝臣父が麗しい微笑とともにしぃっと指を軽く口元にあて……。


 ……さいですか。


 奥さんが楽しそうにしてるから、それでいいんですね。


 さすがだよ、この魅惑のイケメンダンディ!



 俺は悟りを開いたように、以後は猿回しよろしく飽きっぽい孝臣を引っ張りよせながら、興家一員のような顔をして挨拶を一緒に受けるのだった。




 一通りの挨拶が終了し、後は好きなように過ごしていいと言われた俺達はひとしきり腹を満たすことに専念した。


 満腹になると次は好奇心を満たすことに興味のシフトが移る。


 というわけで会場の中を散策することにした。




「ぶた。さる。いぬ。やぎ。うま。ねこ。……あ、あれはさかな」


「お前、まさか……」


 いきなり動物の名前を呟きだした孝臣に、俺は引きつりながら尋ねる。


「ん? ここにいるひとの人相チェック。意外と人間の顔少ないのなー」


「やめい!」


 その回答に俺はぼかっと孝臣の頭を殴った。 


 何て失礼な奴なんだ、こいつは!


 しかし最近俺に叱られ過ぎて日常化になっているせいか、孝臣はあまり堪えた様子もなく「隆文はほんと、らんぼうものだなー」とスリスリ頭をさすっているだけである。


 いかん。効き目が薄くなっている。何か別の手段を考えないと。


 そう思っている俺の横で、再び孝臣は懲りずに「あ、あれは人間。しかも可愛い」と言い出した。


 まだ言うかこいつ、と俺が再度腕を振り上げたところで、「でもすっげー仏頂面!」という孝臣の声に、思わず興味を惹かれそちらを見た。


 そこには、俺達と同年齢位の女の子が立っていた。


 ジュースを手に持っているその姿は、かなり可愛らしい。


 保育園にいる女の子の誰よりも器量は勝っているだろう。


 しかし、孝臣の言う通り、すべてを台無しにするくらいの不機嫌オーラがその顔に現れている。


「あれじゃいくら可愛くても台無しだよなー。むしろすっげーぶっさいく!」


 いきなり横から聞こえた孝臣のセリフにぎょっとする。


 やばい。その女の子の様子に気を取られたせいで、孝臣の制御に隙ができた。


 でかい声でそう言った孝臣の声がさすがに耳に届いたのか、その女の子はこちらを振り向いた。


 その不機嫌な表情そのままで。


 オーラのどす黒さは数割増しで。


 俺は思った。


 




 孝臣、土下座させれば許してくれるかなー……(遠い目)。


次回もお願い致します。

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