12 「クリスマス・パーティ?」
二人目のフラグです。でも見ようによっては単に孝臣の回の続きかも。
四歳、もうすぐクリスマス、ということで世間様では浮かれたクリスマスソングをよく耳にするようになった頃。
「クリスマス・パーティ?」
俺は言われたその単語を繰り返して首を傾げた。
その日、俺は孝臣の家でケーキを食っていた。
クリスマスでも誕生日でもないのに、ケーキだぞ? ブルジョワはやっぱ違うぜ。
しかしありがたいのでおかわりまでして黙々と食べていた。
孝臣は食い飽きたと俺の膝を枕に転がってゲームをしていた。
ブルジョワは滅びろ。
そんな、ある日のことだった。
孝臣の家は、いかにも資産家です、と主張しているようなでっかい戸建ての白亜の洋館だった。
明らかに中流階級の一般庶民の俺の家とは違う。
しかし、中流階級でいられるのもすべて倫太郎のおかげだがな。文乃と二人の時は下層も下層だったからなー。
ありがたやありがたや。
将来、上には上がいることを嫌というほど知る羽目になるのだが、幼い頃の俺にとっては周囲の人間の中では孝臣の家がダントツで金持ちだった。
当初、孝臣が「俺んちはしゃちょうでえらいんだぞ」と主張していた通り、孝臣の母は社長であったが偉ぶったところはこれぽっちもなかった。
ほわほわふわふわの、可愛らしい女性だった。
「いつも孝臣と仲良くしてくれてありがとう~。隆文君と仲良くなってから、孝臣人の言うことをちゃんときくようになってくれたの。これからも仲良くしてくれると、おばさん嬉しい~」
と、ちっともおばさんではない可愛らしさでそう言うと、にこっと微笑んだ。
思わず惚れそうになったのは内緒だ。
ただ社長でやっていけるか不安になるところではあったが、その辺は副社長の孝臣父がしっかりカバーしているらしい。
孝臣の家はファンシーグッズメーカーの会社を興しており、そのデザイナー兼社長は孝臣母なのである。孝臣父は主にその会社の運営に携わっているとのこと。
浮世離れした孝臣母とは違い、地に足がついた大人の男性といった感じだった。
「君に負担をかけると思うが、息子のことよろしく頼むよ」
そう低音の魅惑ボイスでイケメンスマイルを浮かべられた日には男惚れしそうになったね、まじで。
そして二人とも、文乃のおかげで評判最悪な俺を色眼鏡で見ない、素晴らしい人達だった。
孝臣よ。
こんな最良の遺伝子もらっておきながら、今のお前では残念すぎる。
ビシバシ鍛えて俺が立派に成長させてやる、と孝臣の為ではなく孝臣の父母の為に俺は誓いました。
そんなこんなで懇意にさせてもらい、孝臣宅へお呼ばれされることも日常になったある日、孝臣母から「うちの会社で主催するクリスマス・パーティに出ない?」と誘われたのだった。
クリスマス・パーティ。
俺の想像するのは、家にツリーを飾り、ホールケーキを食って、チキンを食べて、ジュースを飲み、プレゼントをもらう。
プレゼントは親からでもサンタからでもいいと思う。どっちでも同じだしな。
そんなイメージしかない。
それが、会社主催のパーティ?
どんなだそれは。
「普段お世話になってる社員さんとか取引先とかその家族とか招いてのアットホームなパーティだから、そんなに気負わなくてもいいのよ~?」
ほうほう。
「会場はホテルでね、大体参加者三百人くらいかなー?」
アットホームかそれ!?
「私達も主催者側だからつきっきりってわけにもいかないけど、孝臣に隆文君ついててくれたら安心だもの~」
クリスマスまで子守をせよと?
「おいしいごちそうたくさん用意するからねー?」
「出席させて頂きます」
そうして、俺は興家主催のクリスマス・パーティに参加することとなった。
四歳の冬のことである。
そして、そこで俺は二人目の幼馴染と出会うことになるのであった。
次回幼馴染二人目登場。




