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世界の天秤  作者: 雪月
23/23

ずっと、ずっと・・・・・・

 20年の歳月が流れた。




 美夜がいない世界は寂しい。真実を知り、生きていくことは痛みがある。

 でも、それが命を奪った罰だなどと想ってはいけないのかもしれない。


 正しい世界を普通とは想えないが、20年も経てば様々なものが落ち着いていった。

 彼方の教会で暮らしながら、近くの街の人々とたまにだが、やりとりをしていると、楽しいと想うことだってある。彩斗が会いにきてくれれば、それはうれしいことだ。

 この世界を見ていると、これが正しいということがわかる。




 世界は2つの力を持っている。正の力と負の力。それらは天秤にかけられていて、平等であることは許されない。いつでも正は負に勝っていなくてはならない。その力が並んでしまっただけで、世界は壊れてしまうのだから。

 だからこそ、世界は世界を変える。そして負の神を捏造つくる。世界の天秤を正すため。






 美夜へ花を贈った。


 心の痛みは悔しいほど、減ったりすることはなく、今でも泣きたくなる。

 今日で20年。晴久様も、美夜の両親も数年前に亡くなった。彩斗は立派な賢者だけど、あいかわらずなとこはあいかわらずだ。僕も年をとったけれど、どうしたって美夜の姿はあのときのままだ。


 あと数年で、美夜がいなくなった世界の方が長くなる――。


 それでも変わらない。

 僕にとって、普通の世界はこんな綺麗な世界ではないこと。美夜の死が納得できないこと。青い空なんて一生見れなくても構わなかったこと。

 ・・・・・・美夜を愛していること――。


 だけど、なにを想っても美夜は戻らない。そして、いずれまた、負の神は誕生させられる。人は愚かで、世界の天秤は狂わないから。

 だから・・・・・・だから、願うよ。


 どうかこの正しい世界が永く続くように――。世界の天秤が永く保たれるように――。


 美夜が見たかった青い空が、ずっと、ずっと・・・・・・。




「美夜。今日も空が青いよ」

 僕は美夜に笑顔を見せた。






「正しい世界になったら、1番、青い空が見たいな」

「なんで、1番?」

「だって、青の名前はそこからつけられたんでしょ?」

 幸せそうに君が微笑んだ。

遅くなりましたが、こちらで完結です。

おつきあいありがとうございました。

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