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世界の天秤  作者: 雪月
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正しい世界

 世界が正しくなって、少ししてから、ぼくはヒカルに会いにいった。


「彩斗?」

「少しいいかな」



 この前、話をした広場へとやって来た。


「さすがにまだ誰もいないのか」

「嫌な思い出は変わんないってやつさ。で、話はやっぱ――?」


 ぼくはうなずいて、真実を知ったことを告げ、ヒカルが彼方の教会へ来てくれていたことを知った。

 それは勇士たちをあの場から遠ざけ、美夜を美夜として終わらせるためであることがわかったから、お礼を述べた。


「それは親友あおの代わり?」

「青の分もあるけれど、ぼくからもだよ」


 勘の良い彼は、青と美夜の関係に気づいている。

 けれど


「彼女は――美夜は――ぼくたちの幼なじみなんだよ。忘れさせられていたけれど」


 このことは知らない。


「! 青とは負の神になる前から?」

「そうだよ。ぼくのもう一人の親友・・・・・・」


「だから、自分勝手だけども、想う。空の青を見ても、緑あふれる大地を見ても、あの世界のままであってほしかった。賢者として最低だけれどね」

 まちがっているよねな、と笑う。


「そっか? そんなん普通だろ」

 ヒカルはしれっと言う。そして

「ちなみにオレにとってこの世界は、一生普通だって想えないねぇ」

 にかっと笑った。


「ま、仲間もいるし、それなりに楽しくやってくよ。せっかく助けられた命だしね〜。いいことは結構あるさ☆」


 前向きで明るい言葉に

「そうだな」

 ぼくも笑った。






 真実を知っているからこそ、この世界を普通と想ってはいけないと想うし、そもそも普通と想うことはできない。

 ぼくは――ぼくたちは罪を知っている。その知っている罪は決して自分の罪だけではなく、それぞれの罪も――。その重みは辛いけれど、投げ捨てたりはしない。どんなに痛みが伴うことだとしても・・・・・・。

 罪を知り、痛みを抱え、この正しい世界を生きていく。


 きっと、いいこともある世界を――。




 今日も空の色が正しい世界であることを告げている。

次回で終わりです。

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