表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の天秤  作者: 雪月
18/23

幸せな時間

 私は決めていました。


 彩斗がここに来た時から。もう、運命を受け入れよう――と。


 生きたいと願ったことはきっと間違いではないでしょう。けど、多くの人に対する罪。私の罪・・・・・・。その罪に耐えられなくなったわけではない。耐えられなくて、決めたわけではないわ。

 彩斗が訪れたことでわかった。無視できなくなった。知っている誰かが来ることがあるということを。

 そのとき、青は私を選ぶ。どんなに辛くても、私を選んでくれる。


 それは嬉しいことで、耐えられないことです。


 それに私はずるい。

 青より強い人だっている。1人じゃなかったら? 青は――死んでしまうことになる。

 私は見たくない。青が死にいく姿を見たくない。負の騎士として終わる姿を見たくない。そう・・・・・・青だって私に死んでほしくないことを知っているのにね――。


 ごめんね。



 次に勇士が訪ねてきたら、私は負の神として・・・・・・対峙する。


 それはとても辛いことだけど、苦しいことだけど、私はきっと笑顔でいられると想います。

 私は幸せだから。幸せな時間を過ごすことができたから・・・・・・。






 青と彩斗は私の幼なじみです。出会ったときの記憶なんてなくて、気がつけばいつもそばにいた。彩斗とは3歳離れているから、私たち2人の面倒を見ている感じも幼い頃はあったかもしれない。

 そんな感じだったから私の初恋はたぶん彩斗だ。自分たちよりも大人なとこに惹かれたのだろうと思うけど、正直曖昧。恋に恋しているような、その程度だったと想うから。

 1つ確かな記憶は、その頃――10歳にもならない頃――青が自分のことを僕ではなく、俺というようになったこと。(私としては今でも僕って言ってくれないかなーって想うけど、お酒飲んで、たっまーに言うだけで、普通じゃ絶対言わないのが残念。)

 けど、虚勢を張るだけじゃなくて、自然に大人びていった青は、もともとの優しさや格好良さからかなりもてた。


 そばにいるのが普通だった。青も彩斗も。

 青も彩斗もとても女の子に人気があったけれど、胸が痛んだのは青だった・・・・・・。


 恋に気づいたのはいつだった?


 恋に気づいたのは青が先。告白したのは私から。13歳のときでした。

 恋人になれたときは、本当に嬉しかった。ずっとそばにいられると想っていた。そう信じていた。こんな世界でも、どうってことなかった。幸せはあった。



 だから、自分が負の神であると知ったとき――いろんなものがすべて砕けた。過去(今まで)未来これからもすべてが・・・・・・。


 世界のために死ぬことは、誇りにしていいでしょう。

 でも、そんな誇りは欲しくなかった。

 すべての人に忘れられ、ないことにされ、負の神として生きることなんてしたくなかった。

 なにより、青と一緒にいられないことが辛かった。


 青と一緒にいたかった。

 ケンカしたって、悲しいことがあったって、一緒にいれば幸せだった。


 だから――青に罪を犯させてしまっても、幸せだった。

 負の神であっても、幸せでした――。



 私が青と過ごした日々に幸せでないときなんてない。もっともっと幸せな日々を過ごしたいと想う。

 彼方の教会の庭園を楽園だと想う。紫がかった灰の色した空を普通だと想う。邪力による被害がある世界を、荒れている世界を普通だと想う。だけど、そこにだって幸せがあります。


 だめですか? このままの世界ではだめですか?


 そう問いかける私がいる。

 生きたいと訴える私が・・・・・・。




 だけど



「もういいよ、青」



 私は笑顔で終止符を打った。


 その笑顔に幸せは見えているでしょ?

 だって、私は幸せだから――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ