流星博士とタイムマシン
このお話は「完全犯罪」と少しだけリンクしています。
さよう。今ちまたを騒がす流星博士とはわしのことじゃ。
苦節六十余年。ようやくわしの研究が完成を迎えた。
何かって?
そいつはなにをかくそう、タイムマシンじゃ。
時をさかのぼることができる、アレじゃ。
あんなものマンガや小説だけの話だと思ってた、とな?
いやいや、人間やろうと思えばなんでもできる。
本来ならひっそりと誰にも知られずに作る予定が、家に泥棒が入ったせいで全国のニュースになってしもうた。
科学の発展に貢献とか、学術的価値がどうとか、連日ニュースが騒ぎ立てておるが・・・まあ、そんなことはどうでもよい。
タイムマシンをどうして作れたのか?
そりゃ、簡単じゃ。
明確な目的を持っていたから作れたのじゃ。
人間目標があればなんでも頑張れる。
・・・その目的がなんなのかって?
「あよよ」じゃ。
え?知らんとな?
有名アイドル「松浦あよ」を。
それもそうか。彼女もいまや八十代。
かの昔はお茶の間を騒がすアイドルじゃった。
わしは小さい頃、彼女の写真集を宝物にしておった。
そいつがいつだったか、盗まれての。
遊びに行った帰り、自分の部屋をあけたときじゃ。
犯人の影は見た。
だがやつは上手く逃げおおせ、それが誰なのかは結局わからずじまい。
そいつがどうにも悔しくて、過去に戻って犯人を捕まえてやりたいと思った。
それが、タイムマシンを作るきっかけじゃ。
というわけで、早速捕まえに行くとするか。
六十五年前のあの日にタイムスリップじゃ。
・・・ふむ、部屋にはまだ誰も来ておらんな。
お、あれは「あよよ」の写真集ではないか!
こんな机の上に広げておくなんて、そりゃ盗まれるわけじゃ。
おお、やっぱり「あよよ」は可愛いのぉ♪
・・・と、見とれておる場合ではない。
犯人が来たらどうするか。
わしももう七十代じゃ、若い男なら、返り討ちにあうかもしれんのぉ・・・。
うーん、わしの力で犯人を捕まえられるかどうか・・・。
ん?足音が聞こえるぞ?
まさか犯人が?
どうしよう・・・ボコボコにされたら・・・
と、とりあえず、逃げよう!
タイムマシンで、元の時間に逆戻りじゃ。
・・・あれ?まさか犯人というのは・・・。
どたどたどた・・・。
がちゃん!
誰だ!?
今、影が見えたけど・・・。
あ、ここに置いてあった「あよよ」の写真集が無い!!
盗まれた!
限定品で、苦労して手に入れたのに・・・。
くそーっ、あと一分早くここにいることができたら・・・。
必ず犯人を捕まえてやる!!
絶対捕まえてやるからな、覚えてろよ!
あよよって・・・ネタが古いですね。
まあ、昔書いたものなんでご容赦を。
ちなみに、流星博士シリーズはまだありますが、一人称なのはこれだけです。