僕とハーレム勇者と勇者ハーレム入りした僕の幼馴染たち
「ゴギャアアアアア!」
「せいやぁぁぁ!」
目の前のドラゴンに、一人の男が剣を手に向かって行く。
「みんな!ルキナを援護するよ!」
「ああ!」
「はい!」
「任せて!」
「くらいなさい!」
三人の女が。それぞれ槍、斧、盾を手に男と同様に向かって行き、同時に別の二人の女が杖と大型の魔法銃を手にして後方から援護する!
「雷よ!」
「ホーリーショット!」
「グオオオオオ!」
杖から発せられた雷と銃から発射された光の弾丸をくらい、ドラゴンの動きが一瞬止まる。
「トルネードスピアー!」
「烈火砕断!」
そこへ竜巻を纏った槍と爆炎を纏った斧による一撃が叩きこまれる。
「グ……グギャアアアアア!」
攻撃に苦しみつつも、ドラゴンは炎のブレスを吐き出し反撃する。
「神の加護よ!」
しかし、その攻撃は盾が放つ黄金の輝きにかき消される。
「今よ!ルキナ!」
「ああ!」
そして男が手にする剣が七色に輝きだし……
「これで―――終わりだぁぁぁ!」
ドラゴンの首を切り落とした。
「ふう……片付いたな……。ネオン、もう出て来ていいぞ」
「はーい」
その声に呼ばれて、それまで安全な所に隠れていた僕―――少年、ネオンは姿を現す。
▽▼▽▼▽
「はい、できたよ」
ドラゴンとの戦いの後、僕はその肉やその辺の野草を使って簡単なスープを作った。
「待ってましたー!」
「いっただっきまーす!」
「美味しい~!」
「これが毎日の楽しみです」
そしてみんなは次々と料理をいただく。
「これで装備の材料と、しばらくの食料は大丈夫かな?」
「うん。それにこの骨や爪は薬の材料にもなりそうだよ。ただ、全部持って行くことはできないし栄養価が偏るから、一度前の町に戻っていくらか売った方がいいかもしれないね」
ドラゴンとの戦いで得た戦利品を見ながら僕は言う。
「それにしても、ネオンの料理は本当に美味いな」
そう言ってくれるのは、このパーティのリーダーである勇者ルキナ。
剣の達人で人柄もよく、もの凄いイケメンだ。
「ありがとうございます」
「ルキナ、よかったあたしの分もあげようか?ほら、あ~ん」
そう言いながら自分のスプーンをルキナに近づけるのは、先ほど槍を手に戦っていた女の子エミリ。
明るくて活発的な美少女だ。
「ちょっとエミリ!」
「抜け駆けはずるいわよ!」
そう言って自分達も食べさせようとするのは、斧使いのフールと銃使いのティオナ。
フールはボーイッシュなクール系美少女、ティオナは少し真面目そうな雰囲気のある明るい感じの美少女だ。
「ちょっとみんな、行儀悪いわよ」
「そうですよ。ルキナさんも困っています」
そう言って三人をたしなめるのは、魔導士のクイルさんと盾使いのシャーリーちゃん。
クイルさんは僕たちより年上の大人のお姉さんで、シャーリーちゃんは少し年下の頑張り屋な女の子だ。
そして見てわかる通り、この五人は全員ルキナに惚れている。
先ほども言った通り、ルキナは本物のイケメンだから、当然と言えば当然なのだが……。
(はぁ……妬ましい……)
▽▼▽▼▽
「ごちそうさまでした~!」
「美味しかった~!」
「いつもいつもご馳走様です」
「はい。お粗末様でした」
賑やかな食事の時間が終わり、僕は近くの池で後片付けを始める。
ちなみに近くに水場がない時は、クイルさんの魔法で水を出して貰っている。
こんな感じで、僕たち七人は勇者パーティとしてずっと旅を続けている。
三年ほど前、僕の村に国王様の使者が訪れ、村人に勇者パーティに参加する資格がある者を選別すための試験を受けるよう伝えた。
使者の話では、ここ数年で魔物の活動が活発になっており、調べたところ、それは魔物を統率する魔王の出現が原因だと判明した。
国の兵士や傭兵たちは各地で暴れる魔物たちに当たらせ、少数精鋭である勇者パーティを気取られないように魔王のもとへ向かわせるというのが国の作戦だった。
そして僕の村の人たちも、勇者パーティに入れるかどうか、素質や魔法道具との相性などの適性があるか、調べることになったのだった。
そして勇者であるルキナを始め、勇者パーティが結成され、僕もそのメンバーとして魔王討伐に同行することになったのだが……。
「それにしても……最初はみんながどうして彼をそこまでパーティに入れたがるのか不思議だったけど、言う通りにして正解だったな」
「そうでしょ?ネオンの家事スキルは、私たちよりずっとすごいんだから」
「食べられる野草とかを見分けるのも得意ですしね……」
「私たちは戦闘能力には長けているけど、生活する能力は誰かに助けて貰わないとダメだから……」
「私たちの村でも評判だったからな」
「特に料理の腕なんかすごいもんね」
「ありがとうみんな」
ルキナの言葉に、ティオナやクイルさん、シャーリーちゃんにフール、エミリも同調してくれて、僕は純粋に嬉しくなる。
これが勇者パーティにおける僕の役割。
実は僕は国が求めていた様な適性は無かったのだが、エミリたちの強い推薦によってパーティに入ったのだ。
そしてパーティ入りした僕は食料や薬、道具などの必要物資を確保したり、炊事など生活の基盤を支えたり、冒険の計画を立てるなど縁の下の力持ちをしているのだ。
「よかったなネオン。幼馴染たちがこんなに絶賛してくれて」
「ええ、本当に……」
そう、ルキナの言う通り僕とエミリ、フール、ティオナ、クイルさん、シャーリーちゃんは同じ村出身の幼馴染で、もう十年以上の付き合いになる。
昔から仲が良かったので、近所の人たちには『誰がネオンのお嫁さんになるのかな~?』なんて言われるほどだった。
(けど今は、みんなルキナにぞっこんだけどね)
▽▼▽▼▽
その夜、ほとんどの仲間が寝静まった頃。
「ん……ちゅ……」
「ん……はぁ……」
夜の闇の中、熱い口づけを交わす二人がいた。
一人は僕―――ネオンで……。
「ああ……好きだよ。ネオン……」
もう一人は……。
「僕もだよ……。ルキナ……」
勇者であるルキナだ。
十歳を超えた頃辺りから、僕は自分の恋愛対象が男性であることに気が付いた。
そして勇者であるルキナを初めて見た時、たちまち恋をしてしまった。
勇者パーティとして一緒に冒険できることになった時は、不謹慎かもしれないけれど喜んでしまった。
夜な夜な彼のことを思ってシテいたある日、その現場を彼に見られてしまった。
嫌悪されて追い出されるかと不安になったけど、なんと彼も同性愛者であり、しかもずっと僕に恋慕していたことがわかった。
その時から、僕と彼の秘密の時間が始まった。
同性愛なんてこの国ではまず認められないから、どうしても隠す必要がある。
だからこうして、夜中にこっそりとしか愛し合えないのだ。
旅に支障をきたすことが無いよう、時間はとても短い。
(それにしてもエミリたち……。あんなにルキナにくっついて……妬ましいったらありゃしない……)
「ネオン、嫉妬しているのか?」
「うん……」
「ネオン、俺たちは魔王討伐を必ず成功させる」
「……はい」
「実はな……俺は魔王討伐に成功した暁には、同性同士の恋愛や結婚を合法化して貰えるよう、国王に約束させたんだ」
「え……⁉」
「もちろん、合法化されても人々の認識がすぐに変わる訳ではない。だから俺たちが結ばれて幸せになるのは簡単ではない。エミリたちも敵になるかもしれないし、魔王討伐よりも険しい道のりを歩むことになるかもしれない……」
「ルキナ……」
「でも、俺は君と幸せになりたい……!だからそのための第一歩として、必ず魔王討伐は成功させよう……!」
「うん……!頑張ろう……!ルキナ……!」
ルキナの言葉に、僕は決意を新たにした。
(僕たちは絶対に負けない……!魔王にも、世論にも、人類にも……!僕たちは絶対に幸せな未来を手に入れるんだ……!)
そんな二人の様子を、木の陰から見守る一つの人影があった。
(大丈夫だよネオン、ルキナ……。他の四人はわからないけど、あたしは二人の味方だから……)