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【魔法・魔術法則】属性魔法考察・火属性魔法

今回は異世界作品の魔法・魔術表現の中で頻出する火属性の魔法について考察していきましょう。



【四代元素ベースの属性魔法の前提】

古代ギリシア思想に由来する四元素、すなわち「火」、「風」、「水」、「土」は、異世界の魔法においても最も一般的な属性です。

この要素は現実世界の科学史においても古くから知られており、多くのファンタジー作品でも物語の中心に据えられることがあり、これが作者や読者にとってなじみ深い要素となっています。


【一般的な火魔法のプロセス】

既存の作品の共通点を知ること、詳細な要素に分解して考えること、が火魔法の概念の再構築に役立つでしょう。

まずは、一般的な火魔法のプロセスを、以下のステップに分解してみましょう。

例として、よく見られる火球を発射する魔法を取り上げます。

-------------------------------------------

1. 杖や手を構える

2. 魔法固有の詠唱を行う(一部の作品では省略されることもある)

3. 魔法の実行に必要な()()()()()(通常は魔力と呼ばれる)()()()する

4. 「ファイアーボール」などの魔法名を唱える

5. 火球が杖や手から直接ではなく、()()()()()()()に出現する

6. 発生した火球が指定の対象に向かって移動する

7. 火球が対象に到達し、衝突する

8. 衝突後、対象は一瞬から数秒間燃え上がる

9. 炎が消えた後、動植物なら炭化や火傷のような影響が描写されることがある

-------------------------------------------


この段階で、考察が必要な点がいくつか浮かび上がります。特に、魔力の消費と火球の発生位置については注目すべきです。



【魔力の消費について】

火魔法の消費魔力に関する設定のパターンは異なります。

一部の作品では、魔法の効果は魔法使いの詠唱時点での能力(知力や装備による補正)によって予め決まっているため、一定の魔力が事前に消費されます。

一方、他の作品では魔法使いが魔法の各ステップをリアルタイムで制御し、火球のサイズや形状、速度などに応じて魔力が消費されます。

しかし、火球が対象に衝突してから、炎上が終わるまでの過程における追加の魔力消費についての描写は滅多に見かけません。

これは、多くの作家が火球を対象に衝突させるまでが魔法(原因)として捉え、それ以降に起こる現象は結果と区別して捉えているためでしょう。



【火球の発生位置について】

前提知識として、現代科学の範囲で「燃焼」という現象を見直してみましょう。

「燃焼」は、木炭やプロパンガス等の可燃物と酸素の科学反応、酸化に起因します。

酸化が起こると可燃物と酸素は消費され、酸化物が生成されます。

また、その際に反応エネルギーが発生します。

可燃物と酸素が存在する限り、可燃物の量に応じたエネルギーが発生します。

このエネルギーが光や熱という形で発現するのが炎となります。


◆油や木材等の可燃物は加熱によって発生する可燃性ガスが燃えていること

◆活性化エネルギーが必要なため可燃物と酸素だけでは酸化が起きないこと

◆反応前後の物質の持つ化学エネルギーの差によって発生する炎の規模に違いがあること

等と細かく考え出すときりがありませんが、大雑把に言うとこれが燃焼の全てとなります。


この前提知識を踏まえると、火球がが魔法使いの杖や手から直接ではなく、少し離れた位置に出現する点について、以下の点が注目されます。

-------------------------------------------

1. 魔力の供給

魔法使いが火傷するという描写を避けるためと思いますが、このような非接触的な魔法の実行は魔力供給に関してどのように機能するのでしょうか。

また、離れた位置で火球を発生させられるなら、なぜ魔法使いは対象位置で直接火球を発生させないのでしょうか。

例えば、脳内で火球を発生させることで、威力を制御することができるかもしれません。


2. 可燃物の供給

燃焼には可燃物と酸素が必要となりますが、魔力による物質生成が行われているのでしょうか。

仮に物質生成に必要なエネルギーがあるとするなら、火球を発生させるより大きな結果が得られるはずと思います。

あるいは、魔法使いが意識していないだけで、無色無臭の可燃性ガスを無意識に集めているという可能性もあります。

そういう設定にしてしまうと、大気中に可燃ガスはほぼ存在しないため、火魔法を使える地域は限定されてしまいます。

「異世界の大気には可燃性ガスも含まれている」という強引な設定にするというのは逃げでしょうか。


3. 酸素の供給(よくある描写)

各種の異世界作品で、火魔法を使うと酸欠になるという共通認識があるように思えます。

「燃焼」についてある程度知っているため、魔法という設定が現実世界の物理現象に引きずられているのでしょう。

酸欠になるということは、火魔法では酸素は供給していないと考えるのが自然でしょう。

酸素は大気中に約20%存在するため、魔法によって供給しなくても燃焼は可能なのでこの設定自体は問題なさそうです。

ただし、宇宙が舞台になった場合、火魔法は使えなくなります。


4. 発生した火球がその場で待機している(よくある描写)

各種の異世界作品で、魔法名を宣言するまで火球が待機している描写が多くみられます。

この場合、可燃物は随時供給されているのでしょうか。

途中で火球が消えたら凄く格好悪いシーンになってしまいます。

また、少し離れているとはいえ、炎が長時間近くにあったら魔法使いが火傷したり、服が燃えたりしないかが心配になります。

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【物理現象に即した考察】

異世界の属性魔法を物理学の観点から考察することは非常に魅力的であり、新しい視点を提供できます。

以下に、その一部を具体的に見てみましょう。


異世界の火魔法は、物理学の法則に基づいて説明されることができます。

この魔法が使われる一般的な理由は、食事を調理したり、寒い場所を温めたり、暗闇を照らしたり、敵を攻撃したりするためです。

これらの目的を達成するために必要なことは、対象の温度を上げることです。


そこで、「温度」とは何かという視点から考えてみましょう。

温度は原子や分子の運動エネルギーであり、対象の粒子の運動を活性化させることで、その温度を上げることができます。

エネルギーの供給を適切に制御することで、物体の温度を上昇させることが可能です。

この過程で、エネルギーが光や熱として放出されてしまうと副産物として「炎」が発生します。


したがって、異世界の火魔法は、魔法使いが魔力を投入することで、対象の原子や分子の運動エネルギーを活性化し、温度を上昇させることを意味します。

このアプローチでは、「火属性の魔法」という概念ではなく、「加熱魔法」や「加速魔法」という概念に近づいていくことが考えられます。


伝熱工学の観点からも考えると、「伝導」と「対流」は温度差と物質の熱伝導率や熱伝達率に依存するため、魔法による加熱には向いていなかったり、実現が難しかったりすることがあります。

なぜなら、短時間で物体を高温に加熱するには、魔法使い自身も高温になり、対象に接触しなければならないからです。

一方で、「輻射」は真空でも機能する特性があるため、魔法使いが杖や手から指向性のある電磁波を放射することで魔力による加熱が可能となるでしょう。

これは、光線やエネルギーのビームの形で実行されるイメージです。


このアプローチでも、「火属性の魔法」という概念ではなく、「光魔法」という概念に近づいていくことが考えられます。

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