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コーヒーの味わい

作者: 豊田直輝

1人ぽつねんとコーヒー屋の椅子に座る俺は

平日の昼ということもあり

どこか寂しげなオーラを出しているのか

心の中が穏やかでない

休日ならば家族の子供連れ一家が

所狭しと騒ぎ立てるのに

今日の静けさは何なのか

朱子学の理を見極めるなんて大袈裟な事ではないけれど

念が次々と浮かんでくる

雑念妄想しやすい名前なのか

姓名判断してもらった事もあるけれど

そんな鑑定はされなかった

いつの間にか頭の考えを口に出していたようだ

コーヒーを運んで来たウェイトレスが

口をポカンと唖然の様子であるからだ

俺は

「朱子学が悪い!」

とでも言おうと思ったが

内なる理性の判断がそれを押し留めた

心の動揺とは仕草に現れ出るもの

俺の心理をウェイトレスに見透かされたのかと

あたふたするのはもうお終い

そんな俺とは裏腹に

コーヒーは氷に満たされ輝いていた

なるほど

これがアイスコーヒーか

まるで生まれて初めて飲むかのように

仰々しくしていたら

ついさっきまでの過去は水に流れないかななんて

淡い期待をしていたのが全ての誤り

手が滑ってガムシロをこぼしてしまった

甘党の俺は再びガムシロを頼もうかと思ったが

さっきのウェイトレスが来訪するのなら

嫌な記憶が蘇りそうで

ブラックコーヒーで渋々飲む決断に迫られる

外は嘘のような晴天で

俺の内面は嘘のような曇天だった。


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