狂い者の狂い物、語り。
狂い物 語るは今だ 掴み引き、あなたも掴む 聞けや驚け…
買ったのは 病気に利く 薬だよ。飲め飲めば利く 元気の素よ。
のめ飲めば やみ病む君を 僕は見て。のめのめ飲めと 叱るは僕よ。
君飲むは 「飲んで、飲んで」と 言う薬。飲ませてくれや くれくれやくれ。
君は言う 「くれくれやくれ その薬」。僕は与える この良い薬。
床につき 何も食わぬと 見てみれば もう息はない。薬のみ飲む。
「何か描く」 そう決め描くと 紙に立つ。バラに顔付く バラ人間が。
明き色 暗き色など とりどりに、次第に思い 色に馳せつつ。
僕は昼 空や海やら遠くいて。友は砂浜 浮いた雲ども。
私はね トマトやイチゴに 住んでいて 恋や愛とは 友達のもの。
「黄ばみ」とは 同じでないよ 違うのよ。酸っぱくきれい レモンに住むよ。
描き終えて 母の所へ 今着いた。そうか母がか、バラ人間は。
しゃらしゃ サテンの艶に 目が滑り 落ち着いたのは 君の瞳だ。
ガラスとの 違い気付かぬ 男より、目に炎見る 女を選べ。
私とて 同じ思いよ 姫君よ、あなた見るたび 目が熱いもの。
だから今 あなたも彼も いない空 飛び立つ私 追うな姫君。
しゃらしゃ サテンの糸目 世に見えて 優しき艶の 包みに消えて。
「ヌペヌペと 童が遊ぶ 蛙にも 笑い漏れ出る 蛙があるか。」
私すら 蛙と見るか。聞けばすぐ 「はい」と答えた あなたに笑う。
大笑い 止まればすぐに 蘇る。狂い者とは 私の事だ。