ひとりぼっちのばけもの
ひとりぼっちのばけものは。
どこか暗い場所にとじこめられた。
そうしてこうして、時がたつ。
ひとりぼっちでずっといる。
そんな期間が長すぎた。
だから、人間だった頃のことを忘れてしまって。
自分の事をばけものだと思い込むようになっていた。
ひとりぼっちのばけものが。
自分をばけものだと思い込んだまま、ひとりぼっちの時間をすごしたら。
そこにある日、人間がやって来た。
でも、ひとりぼっちだったばけものは、自分が人間だった事を思い出せないから。
おなかが空いたな。
そういって、ぱくりと人間を食べてしまった。
そんな事がたまにあって、
長い時間がどんどんすぎて、
たまに人間がやってきて、
おなかがすいたなと思ってて、
ぱくりとやって時間が過ぎる。
そしたら、
そのずっと後の時間でばけものの、
にんげんだったばけものの、
記憶がうっかりひらいてしまう。
ひとりぼっちですごしていたばけものは。
ある日、化け物退治にやってきた勇者にであった。
勇者がかざした光の剣。
聖なる力をあびたばけものは。
ずっとずっと昔の事を思い出す。
けれど、人間だった頃を思い出しても。
いまさら戻れはしないから。
ただ泣きながら討伐してくれと頼むしかない。
ひとりぼっちだったばけものは、
悲しい顔をした勇者にみとられて、
さいごにほんの少しだけ、ひとりぼっちでなくなってから、あの世へ旅立っていった。




