あなたらしく
その日の夕飯終わり、
みんなが揃ってる時にクラウゼン達と話したことを伝えた。
王都で今回の褒賞の授与式があること、
みんなに護衛を依頼したいこと、
できるだけ正確に、隠し事なく伝えた。
「という訳なんだけど..護衛依頼受けてくれる?」
「いいぞ」
グレイルがあっさりと承諾してくれた。
あまりにも簡単に決まったので拍子抜けする。
「いいの..?」
「ああ。丁度、復帰して最初の依頼に悩んでた所だったし、王都とバーレンの往復なら危険もそこまでないだろ」
グレイルの言葉にキースとレリアナが続く。
「前回のような失敗はしない。クロガネも安心してほしい」
「同じく。名誉挽回ってやつ?」
二人とも大分気合いが入っているようだ。
前回のゴブリンの時は疲れた所を狙われて殴り倒されたと聞いている。
態度には出さないが責任を感じているんだろう。
「ヨルアもいいか?」
「はい。問題ありません」
ヨルアも頷いて答えた。
「よし!クロガネ俺たちはその依頼を受ける。よろしく頼むぞ」
「ありがとう。詳しい日程は伯爵から連絡がくるからその時にまた話すね」
みんなの了承が得られた。思ったよりも乗り気なようでよかった。
少し雑談してから各々、自分の部屋に戻る。
僕も自分の部屋で寛いでいるとドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
訪ねてきたのはヨルアだった。
こんな時間に珍しい。手には紙袋を持っている。
「どうしたの?」
「クロガネに渡したいものがあるんです」
そう言って紙袋を渡してくる。
受け取った感じ、硬いものじゃない。
「開けて貰えますか?」
彼女に言われた通り袋を開けてみる。
すると中にはズボン、シャツ、ローブが入っていた。
全て黒色だ。
「ヨルア、これって..」
「あなたが着ていたものは全て使えなくなってしまいましたから、新しいものを用意しました。」
あの真っ黒な服はドラゴンとの戦いでボロボロになってしまった。
それについて後悔はない。
だけどあの恰好を名残惜しいと思う自分もいた。
最初は不審者だとか言ってたのに、不思議なもんだ。
「全て黒色だったので時間がかかってしまいました。でも、黒があなたらしくて似合っています」
僕らしくか。
ヨルアにそう言われただけなのに胸が温かいような気がする。
なんでだろう?
不思議に思いながらもヨルアにお礼を言う。
「ありがとう、ヨルア。大事にするね」
「はい!大事にして下さい」
そうだ。
送りものを貰ったんだから何かお返しをしないと。
「ヨルア。王都へ行ったら二人で出掛けない?褒賞も出るし服のお返しがしたいんだ」
そう言うと彼女は困った顔をした。
「そんなの、悪いですよ..。私達を助けるために壊してしまったんですから」
「それはそれだよ。僕が君に何か返したいんだ。駄目かな..?」
「駄目なんてことはありません!か、考えておきますね..」
「うん!考えておいてね!」
そうしてヨルアは「お休みなさい」と言って部屋から出ていった。
彼女が去った部屋を見渡す。なんだかいつもより広くて寂しい気がする。
彼女から貰った服を見る。また胸が温かくなる。
(何だろ?この気持ち)
その正体は夜が更けても分からなかった。




