002.猫の声
「にゃーーー。」
"ん、えーと。あぁ餌。空か。"
「ごめんねージルさん。カリカリ今出すよー。」
器にキャットフードを入れ、床の餌置き場に戻す。
カリカリ、カリカリという聞き慣れた心地よい咀嚼音に耳を傾ける。頭を空っぽにして。
でもその音は1分も続かない。ジルは器を時間を空けて何回かに分けて空にする。
「にゃーーー。」
「はいはい。ちょっとまって。」
立ち上がり、キッチンの棚から小分けにされた猫用おやつの袋を取り出す。ジルはキッチンに登って尻尾をゆっくり大きく振りながらグルグル歩き回っている。
テーブルに置かれた小皿にお菓子を入れている最中にもう頭を突っ込んで食べ始めている。常食用のキャットフードとは偉い違いだ。ものの数秒でペロリと平らげてふらっと別の部屋に行ってしまった。
"可愛いヤツめ。ひと撫でくらいさせやがれ。"
ソファーに座り、ロウテーブルの上の付箋を手に取る。
"カエルはふつう緑だろう。"
でも、とても自然に[青いカエル]を頭の中でイメージすることが出来た。
その色が、俺の目で見たカエルの色のように思えてしかたなかった。
"まぁどっちでもいいや。カエルはカエルだ。"
「ってか、何これ。気持ちわる。」
付箋をゴミ箱に捨ててコーヒーを買いにコンビニに向かった。