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ヒビキの考え事

 アンが森の中に逃げた後、ヒビキは見送りが済んだあととある場所に向かう。


「怪我はしてない? パレット」

「………………もちろんだ」


 バレットは固まっていた。

 アンが去っていった森の奥に目を向けては一歩も動かない。

 話しかけてきたヒビキにも目もくれない。



 口先だけでもいいから、口封じをお願いするかと考えたがいや、バレットがこんな状態では意味ないし、どうせ勇者がここに来たことはバレているはずなので、無駄なことはやめておいた。


「ここは危ないから早く避難しなよ」


 バレットがどうしてこうなっているのかは分からない。 私達が初めて勇者を見た時は確かに驚きで呆然としたが、ここまでではなかったはずだ。

 しかし今はこの村に住む人達の安全が第一だ。


 どうしてダーイラが暴れだしたのかは全く分からない。

 過去に魔物達が集団で街を襲う事件は多々あるけれど、そのどれもが理由のあるものだった。


 例えば、ドミノ王国の領土にある村を群れで襲いかかった四面猿(しめんざる)がいた。

 四面猿は、前後左右、合計四つの顔が付いており、胴体には八つの腕が生えた猿の形をした魔物だ。

 あれは確か好物の果物が尽き、種としての数も減っていき、絶滅の危機を脱却するべく人間の村を襲った。

 人々は村を追われ備蓄や畑など荒らされたが、優秀な冒険者達が襲ってきた四面猿を全て狩りその村には平和が訪れ、最終的に四面猿は絶滅したんじゃないかと言われている。


 トランプ共和国付近でハンドッグが何故か大量発生し、穀物は愚か周辺の魔物、森などを食い荒らしていったのは記憶に新しい。

 ああいう広範囲に影響が及ぼす魔物相手にはネネさんが「焼き殺して捻り殺して叩き潰しただけよ」と言っていたけれど、その一言とギルド長がマジギレしてる所を見ると本当に色々やっちゃったんだなって思った。

 その後に、実際の被害を見て唖然としたけど。



 未だ小さい女の子の死体。

 崩壊した家屋に、燃え盛る炎の壁があちこちに立つ。

 私は目の前にいるダーイラをまた一体両断した。


 さて、この二つの前例を見れば分かる通り、

 話を戻してダーイラは、果たして群れで攻める意味はあったのだろうか。

 従来のこういう被害は、主に魔物達の食糧難によるものだ。

 ダーイラはどうだろう。

 変異したとはいえ、主食はあの大量に生い茂っているホマツチヨ。

 これから先、ダーイラが異常に増えたとしても、それによってホマツチヨが尽きようと。

 それは『先』の話だ。 『今』ではない。


 なら、なぜ。



 ―――考えても仕方ない。

 私の悪い癖でもある、今は目の前のことに集中しなくてはいけない。

 

 ダーイラが飛ぼうと羽を広げる。

 飛ばれる前に首を羽飛ばし、また駆ける。

 ダーイラが向かっている場所は不規則だし、入り込む場所も規則性はない。

 先程のように一つの場所から在り得ない数のダーイラが沸き続けていることもない。 というか、今頃新しいダーイラが村の中に入ってくる、といったことはなさそうだ。



 ―――森から大きな魔力、これは、勇者の魔力!?



 前触れもなく感じたこの魔力は勇者(アン)以外にありえない。

 なら、どうして……。

 そして、経ったいま気づいたこの魔力の羽音。


 ダーイラと自分の考えで全く気が付かなかった。

 空中を舞うその翼は本来は地を駆けるはずの巨体を支え、嫌というほど白い全身は神が真実たる所以。


「やぁ、ヒビキ君。」

「久しぶりだな、元気にしてたか」


 槍翼のイレン。

 斧翼のアラン。


 教会か。

お知らせ


私事ですが4月から就職します。

現在直そうとしている「早起き」を全く直せていない状況なので、来週の31日の投稿をお休みして全力で寝ます。

また、4月からの投稿は正直どうなるか分かりません。今まで夜中に書いていたのが仕事終わりの夕方になり、趣味としてどこまで小説を書けるか、他の趣味とどこまで並行出来るかも分かりません。


ですが、この作品とお別れしないことをお約束させてください。

数少ない読者のためとか、2年間も続けたとかもありますが、作品を完結させた喜びを知りたいのです。


この小説を読んでる皆様へ、どうか応援してくださると幸いです。応援のついでに感想もください。なんなら感想の方が嬉s


皆々様が良い春を迎えることを願っています。

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[一言] 楽しみに待ってます。
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