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寝に来ただけ

『魔力』

 それは、目に見えるようで目に見えない不思議な存在だ。


 だからこそ、なんでも出来る。


 そう考える学者は多いし、私自身もそう考えている。



『魔力で編む』は魔法の最高傑作だ。



 これがしたいを我が物にした力は、この世界で最も強い力を持つ。

 魔王の手によって絶望的に陥った勇者の、最後の逆転にも。

 それがだんだんと、我が力を誇示するように、服装や武器を魔力で編んだものにしだした。


『魔力で編む』なんて表現をしているが、本人達からすれば実際にしていることなんて、想像して、体内魔力や体外魔力をギュッ(・・・)として、なんとなく(・・・・・)()にしている。


 とはいうが、魔法というものはそんなもんだ。

 魔法を撃つための詠唱なんて、想像を分かりやすく言語化したものだ。

 魔法陣なんて、詠唱を文字にしたものだ。

 そんなもんだ。


 私は、「そんなもんだ」で片づけたくないのだけどね。




 私は矢を持ち弓を構え、狙いを定めずに放つ。

 敵の数は正直分からない。だから、適当に。

 何も考えずに、とりあえず「敵に向かって放て」とだけ考えた。


 特に本数など決めてない魔力の塊で出来た複数の矢は、的確に魔物の元へと向かっては刺さり、辺り一面は矢が放つ光と魔物の血飛沫に染まる。

 ここからだとどうにも敵の数や位置が分かりにくいから。

「―――よっ」

 と、大きく跳躍して全体を俯瞰して見てみると、どうやら多くの魔物は刺さった場所が雑で、一度射っただけじゃ倒せていないのか多くの魔物が藻掻いたり、ピンピンしたりしている。

 だからもう一度、けれど今度は標的をしっかりと見定めて、強く、強く、強く強く弓を引いて。

 射る。

 手を放すよりも先に弦音が聞こる感覚は、頭の後ろらへんがチリチリと焼ける感覚でとても気持ちがいい。

 少し遠くの方(ヒビキさんがいない所)に一本の矢が地面に着弾すると、目が焼けるほどの光が爆発する。

 きっと、私よりも昔の勇者が使っていた魔法、それを矢に付与してみたが、きっと盛大に爆発してくれたのだろうが、正直そっちは見ている暇はない。

「一、二、三」のリズムで弓を引き、一本一本魔物の額に狙いを定めて、射つ。


 跳躍の頂点に達して、降りながら敵の残党を狩りながら地面へ着地する。

 爆発をさせたところは地面が抉れて橙色にも茶色にも見える地面が惨たらしく見え、魔物の死体など見えはしなかった。


 やりすぎた、かな?

「あの魔法は大魔法使いアルカナが作った魔法だからな……あの人は、幼いころから教会に身を寄せ、魔族に対しての恨みを力に変えて魔物や魔人、魔王を殺していったからな」

「ふーん」

「歴代最強の勇者とも言われているし、魔法のみで戦う勇者は後にも先にもあの方だけだ」


 そう聞くと、私とは正反対の勇者だと思う。

 私は、人間と魔人はまだ分かりあえると思っているし、私は魔法を使うの苦手だし。



『ビシャアア』


 と水が地面が弾ける音。

 見てみると、きっと魔物の血を浴びて気持ち悪かったのだろう、水まみれのヒビキさんがいて、すぐに風魔法で乾かした。


「これで全部ですかね?」


 何食わぬ顔でこちらにやってくるヒビキさんに思わず笑みがこぼれる。


「おそらく」

「というか、アンさんはもう起きて大丈夫なんですか?」

「……多分?」

「多分大丈夫だ、なんだかんだ長い間魔王やってたことでこの力自体には慣れていたんだ」

「ルーチェが言うなら多分大丈夫です」


 私の体調は妖精の二人の方が詳しい。

 第二のお母さんとお父さんです。

「『それを言うなら、私達は第二のアンちゃんだと思うけど……』」

 そう言われたらそんな気がしてきた。


「それにしても、似合ってますねその白狩人服」

「でもこれ白色なんですよね、黒色はかっこいいし夜に紛れるからいいですけど、白だと目立つじゃないですか」

 私は来ている狩人服をパッパと広げて見せて、この欠陥服を見せびらかす。

 構想は、フォンセが作ったあの黒い狩人服をただ白くしたり勇者らしく金色を散したのだが……私はデザインの才能は内容だ。


「……不満そうにしてますけど、結構喜んでますよね」

「そ、そうかな?」


 ま、まぁ……自分が考えたものが形になってるのは、ちょっと嬉しいかもだけど。



「っと、そろそろ勇者モードは解除しておこうか」


 勇者の魔力は膨大で強力だ。

 きっと教会とか、多くの人間は勇者の力を欲しがり、魔王をとして来いと命じたりするだろう。

 そうなるため、私の顔が知られるのもまずい。


 勇者の魔力を解除すると、私の髪の毛と眼が元の色に戻るり魔力で編まれた狩人服は虚空へ消える。

 早くこの街から出なくては。



「ヒビキさん、どうする?」

「うーん……私はまだダーイラの残党を狩りたいので、アンさんだけこの街から離れた方がいいでしょう。三時間後くらいにここから離れます」

「二人もそれでいい?」


「大丈夫」「吾輩もそれでいい」


 二人の親であり自分から許可も得たので、さっそく行動に移る。


「じゃっ、後で!」


 ヒビキさんに挨拶した後、魔物ダーイラだっけが来た方向に向かって走った。

 うーん、新しく来た村だから、もうちょっと楽しみたかったな。

 寝に来ただけじゃん。

予約投稿忘れるあるある&急いで帰ってきてとりあえず誤字チェックしてみたらなんか数時間くらい書き直してた。

しゃーない。アルセウスは全然やれてません。

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