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魔王軍幹部達の会議

「『いますぐ会議室に来い、ロアヴェリス』」

「『うるさいなぁ、ストロング。そんなに言うなら部屋に入ってきてみればいいじゃん』」

「『言質は取ったからな』」

「『すっごいキレてる声色(笑)』」


 通話の道具の奥。

 明らかにおちょくってるロアヴェリスの声色にストロングは槍に手が伸びる。

 白と黒の菱形模様は炎を纏うと、ロアヴェリスの部屋のドアを裂いて燃やした。

 しかし部屋の中に入っても、あの改造しまくった巨体も、様々な魔物と種族の魔力が入り混じった気持ちの悪い魔力の気配はない。

 よくよく部屋を見渡して見れば、現在改造手術を受けているアブソリューの姿も見えない。


「『お? この反応、もしかしてストロングくぅん私の扉を壊したな? にゃはは、私は研究の都合で城にはいない。 残念でしたーというか私の気配なんて部屋の中に入らなくてもわかっただろ怒りに任せて物壊す癖は早々に直したほうがいいぜ?沈黙のストロング(笑)』」

「『どこにいる』」

「『私を探す暇があるのなら、さっさと君達だけで話し合えば? お前達にとって魔王様がいなくなったことはそれだけ重要なことなんだろ?』」


 魔王アンがいなくなったのは、いなくなったと気付いたのはつい先ほどのことだった。

 各々が配属された仕事に就き、それ以外の者は修行をしたり自由に過ごしていたが、アンは各種族の国や住処などに行っていたはずだ。


「『……仕方ない。 研究の片手間で、通話越しならその会議に参加させてもらうよ』」

「『これは魔人族全体に関わる問題だとなぜ分からない』」

「『私が行っている研究は魔王様直々に頼まれたからだ』」

 通話の向こう側で姿勢を少した絹ずれ音が聞こえた。

「『驚いたよ、嬉しかったさ、魔王様の真剣な顔を私個人に向けてくれたんだ。

「人間族が本当に種族による恩恵がないはずがない。 それを調べてくほしい」と言ってくれた。 私は魔王様の居場所なんてどうでもいい。研究の途中経過を発表できるタイミングで現れてほしいがね』」

「『……』」

「『にゃはは、まぁいい会議に移ろうか。確か、いなくなる前の魔王様はルカが最初に見つけたんだっけ?』」


 まるで「迷惑かけた分面倒くさい司会進行役は私に任せてくれ」と言わんばかりに、真面目な声のトーンに切り替える。普段は女性の声と言った感じだが、今の声色は少し声の高い男性と言った印象だ。


「は、はい。 今から、二日前、その時の魔王様は、とても疲れているように見えました。 その時お話したのですけれど、しなくてはいけないことが終わったから、二日ほど眠ると仰り部屋に向かわれました」

「『いない事に気付いたのもルカだったかい?』」

「はい、そろそろ起きると思い、簡単な料理を振舞おうとしたのです。 ですが、部屋の中には誰もおらず、代わりにこの置き手紙がありました」

 ルカはその可憐な声で静かに読み上げる。

「私がいなくなったことは広く広めてはいけない。 私がいなくなったとはいえ人魔族に対して卑劣な行為をしてはいけない

 と、簡潔に書かれておりました」


「ふあぁー」


 会議室から欠伸一つ聞こえた。


「大方予想道りと言うべきか、なんというべきか」

「『もう解散してもいい?』」

「私、午後から学場に呼ばれてるんですよね、行っていいですか」

「お疲れ様でしたー。おやつおやつー」


 個性が強い代表のイナリ、ロアヴェリス、キリノジ、ミコト達が一斉に帰ろうとする。


「どうして帰ろうとしているか、詳しく聞かせてくれ」

 さりげなく会議室に戻ってきたストロングが帰らせまいと目を配る。

『どうして魔王様は姿を消した』などのことを言わず、『なぜ話さない』と直接言ってる当たり相当イライラしてそうだ。

 スクールやスノードロップはどうこの場を収めようかとおろおろし、ルカとレイディオは……特に何も考えてないようだ。


「どうしても何も、話す内容がもうないからですよ」

 キリノジはだるそうにストロングに目線を移す。

 ロアヴェリスには「もう通話切ってもいいですよ」と促す。

 その姿に、ストロングは顔色も声色も変えはしないがなんとなく不機嫌そうにキリノジに話しかける。


「おい、魔王様はどうして姿を」

「どうして姿を消したかなんて考えても無駄ですよ。 いつの時代も、魔王様がしたいと言うなら私達は従う。 魔王様が一人で……あー、まぁヒビキ? とどっか行きたいと思ったなら、それでいい」

 キリノジはアホを見るめでストロングを見つめなおし、「それに」と付け加える。

「どこに行ったかも分からない、分かって迎えに行ったところで気分を悪くさせたら命の危険でもあってもおかしくはない。 というか、魔王様の指示がないと動けないのですか?」


 煽るように、突き放すように。呆れながら、力強く。


「じゃ、そういうことで。 ……あーでも、クローバちゃんに事情だけ聴いた方が良いから、この中で一番仲がいいルカが行った方が良いかも。私も学場に行く予定ありますので、一緒に行きましょ」

「ん、分かった」


 一応を会議した意味くらいは残しておこうかと、案だけ投げてその場を去っていった。

 ルカも、キリノジの言われたことをしに行くのだろう。さっさとキリノジの後を追いかける。



「あ、あははー」


 齢七歳。

 空気の読み方未だ勉強中のスクールは、笑った。

キリノジに黙ってついていくルカ可愛くない?

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