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6 それならこんなのも?

今回も、2月末の設定で書いていますが、現実の世界はずいぶん、状況が変わってきました。


今のこの状況だからこそ、この作品で呼びかけている、超個人主義という考え方は間違ってないと思います。


ぜひ、読んでいただきたいです。



天平「そう言えば、東日本の震災の後って、日本全土が、すんごい自主的な自粛モードに包まれてたらしいってな?」

ユーリ「そうだってね? おいしいものを食べるのも、オシャレな恰好をするのも、それこそ、学校に行って勉強するのでさえ、被災した人、特に、津波で流されてしまった人のことを思うと、自分たちだけそんなことしてるの、申し訳ないって思って、とにかくずっと、ひっそり息をひそめるみたいに過ごしてたって聞いたよ?」

天平「それって個人個人でそうしたいってやる人もいっぱいいたけど、それだけじゃなくて、そうせざるを得ないような雰囲気というか、空気感みたいなのがあったらしいっていうか……?」

ユーリ「ああ、『非国民スタイル』か……」

天平「まあ、そゆコトだと思うけど。けど、震災が起きて被害状況が明らかになっていく中でも、どこかで子供が生まれたり、結婚決まったり、仕事がうまくいったり、おめでたいことだって起きてるわけだけど、そういうのをお祝いしたりするのもやりにくいような空気もあって、けっこう大変だったみたいで?」

ユーリ「しんみり過ごしてないと、周囲から白い目で見られる、みたいなカンジだったのかな? やっぱり、津波の映像がすごかったから。そのことを受け止めきれなくて、日本全国どうしていいかわからなくなってしまったのかも……?」

天平「だから、東日本のころを知ってる大人からすると、熊本地震の後って、だいぶ違ってたらしいよな? 特にテレビが」

ユーリ「テレビが?」

天平「そうらしいんだ。被災していない土地の人たちの、震災後の過ごし方、みたいなものの話なんだけど。東日本のときと熊本のときとでは変わったな、って思うことはいくつかあったらしいんだよ? ただ、一番違うのはたぶんテレビじゃないか? って母さんたちが話してたことあって」

ユーリ「違うってどう違うわけ?」

天平「なんか、東日本の後は、とにかくテレビでもバラエティ番組なんてとんでもない、ってカンジで、毎日のように特番ばっかりで、ドラマとかもやりづらいし、なかなか通常のとおりの番組はやらなかったらしくてさ?」

ユーリ「そうなんだ? その、今もニュースとか報道番組とか、情報番組? とかで、ずっと新型ウィルスの特集してるし、バラエティ番組とかでも新型ウィルスの特集を組んだりしているけど、そういうのとは違うわけ?」

天平「確かに新型ウィルスを取り上げている番組は毎日たくさんあるけど、それでも、番組自体はこれまで通りの番組が組まれてて、その番組の中で新型ウィルスが取り上げられている、っていうカタチだろ? 朝はレギュラーの情報番組とかやってて、NHKは教育とかいつも通りで、お昼はお昼の情報番組があって、夜はバラエティとかやってて、アニメやドラマやってて、ニュースとか報道場組があって、ってなってる」

ユーリ「あ、そういう番組とか全部なかったってこと? それこそ、熊本地震の直後なんかだと熊本地震のことを伝える長時間の報道番組が各局で特別に放送されてたと思うけど……?」

天平「そういう番組ばっかりの状態がかなりずっと続いてたらしくてさ? CMも、企業が、津波や地震で大事(おおごと)になってるときに、自社の宣伝するなんて申し訳ないっていうか、営業するのは気が引けるってことで、CMの自粛をしたから、どこか特定の企業の宣伝をするようなCMじゃなくて、特別公告みたいな? えっと、ACジャパンとかいうのがやってる――あ、ACジャパンが今やってるのが『にゃんぱく宣言』なんだけど」

ユーリ「にゃんぱく宣言って、天平がたまに口ずさんでるヤツね」

天平「え? オレ、歌ってないよ?」

ユーリ「ん? 天平、歌ってるよ? たまに」

天平「おお? マジか? 知らぬうちに口ずさませるとは、恐るべし! にゃんぱく様――まあ、にゃんぱく宣言はいいとして」

ユーリ「それで、ACジャパンが、東日本の震災の後に何かしてたわけ?」

天平「それがさ、企業CMが自社CMを自粛するかわりに、ACジャパンの、人にやさしくしましょう的な? CMを、見てる人がトラウマになるくらいずっと流してたらしくて」

ユーリ「トラウマになるほど……? トラウマになる? CMが?」

天平「いや、なんかすごかったらしいよ? 特番の途中にCMが入るたびにずっと同じCMが流されてたらしくて。そんときのCMの音楽とかが聞こえると、今でも東日本の震災が思い起こされて気が滅入るって言う人いるらしいし」

ユーリ「……そこまでいくと、考えものだね? きっと、被災した人への配慮でやってたことなんだろうけど、逆効果になってたりして……?」

天平「それでも、実は、熊本地震の後も同じようなCMが流されてはいたらしいんだ。けど、オレはあんま記憶にないからさ?」

ユーリ「僕も記憶にないよ……? その、熊本地震は余震の速報のイメージが強くて」

天平「余震の速報も多かったけど、たぶん、ACジャパンのCM流した回数が少なかったせいで、オレらのイメージに残ってないんだと思う。それって、東日本の後のACのCMがトラウマになった人からやめてくれって要望が多かったのかもしれないけど、何より、東日本の震災の後、ずっと自粛自粛で、日本全国の人が買い物控えて、お出かけ控えて、ってのをやっていたら、日本経済がかなりヤバいことになったらしくて」

ユーリ「ああ……」

天平「そのときの経験があったから、『被災地の復興支援していかなくちゃいけないのに、日本経済の経済力が落ちてしまったら、支援するどころじゃなくなる』って、熊本地震の後は、逆に、『地震があったからって経済活動を控えるようなことはやめましょう!』ってテレビとかでアピールされてたらしいんだ。そんで、企業もACのCMはあんまり流さないで自社CMやって、視聴者に購買意欲を持ってもらおうっていうか、こんなときだから買い物を控えようとかしないでいいですよ、外出ひかえたりしないでいいですよ、みたいにしてたらしくって?」

ユーリ「……そっか。でも、言われてみると、熊本地震の後の豪雨とか台風とか、災害が起きた後もそうだったかも? その、被災した人たちが苦しい生活しているからって、自分たちも贅沢しないようにしようとか、イベントやらないようにしようとか、そういうことするのはかえってよくない、みたいな……?」

天平「うんうん。そうなんだ。かえってよくない、ってことで。経済を立て直すことが復興に繋がっていくっていうことは、これまでいくつも災害があったことで、日本が学んだことなんだよな、って――」

ユーリ「その一環で、被災地やその周辺へ観光に行くのをやめないようにしよう、みたいなことも言われてるわけだよね? それが『風評被害』の問題で。避難指示と風評被害とがバッティングしちゃうから、どっちを優先させるかが難しいっていうのが、今日、話してた内容で――」

天平「んでさ、今は、新型ウィルスが問題だろ?」

ユーリ「新型ウィルスの感染をどう食い止めるか、だよね?」

天平「どう食い止めるか。――そのために、自粛生活を送ろう、ってなってるわけなんだよな? 今って」

ユーリ「うん? そうだよね?」

天平「なんていうか、地震なんかの災害のときと違って。新型ウィルスに感染した人はイベントに行ったり買い物に行ったりできないから、イベントや買い物に行けない感染者の人たちに申し訳ないから、自分たちも自粛生活しよう――って考えてるわけじゃないわけで」

ユーリ「ああ、そうだね。新型ウィルスに感染している人は、今、どんどん増えてて、重症化してる人や、その、亡くなった人もいるわけだけど、だからって、そういう人たちに気兼ねして自粛しよう、っていうことではないかも? 実際に肺炎になって苦しんである人の姿を目にすることがないせいかもしれないけど、災害のときの被災者への遠慮とはちょっと感覚違うかもね?」

天平「自粛することが新型ウィルスに感染した人のためにならないわけじゃないけど。感染した人のことを気遣って自粛するというより、感染を拡大させないためには人が集まり過ぎないことが大切だから、自粛生活を送ろうとしている――ってことだと思う」

ユーリ「つまり――東日本の震災の後みたいな、自粛していないといけないような、息苦しいような雰囲気とかがあって自粛しなきゃいけないカンジ、というわけではない、ってこと?」

天平「それに、地震とかで鉄道が壊れて動かないから乗りたくても電車に乗れない、ってことじゃないし、誰かに力づくで動きを封じられているわけでもなくて」

ユーリ「強制的にどこへも出かけない生活を強いられるわけじゃないけど、自粛をする、ってことだよね? 無理やりどこかに閉じこめられるわけじゃなくて、出かけようと思えば出かけられるけど、敢えてできるだけ出かけないようにする」

天平「そ。やれるけどやらない。――感染を拡大させかねないから、乗る必要がない人や、予定を変更できる人は鉄道を利用しない、とかさ? 自分で自分の行動を制限する」

ユーリ「ん。そうだよね。物理的にできないわけじゃないし、誰かに申し訳ないと思ってやりにくいっていうことでもなくて。感染を拡大させないために、必要のあること以外では、人との接触を極力減らそうとしている、ってことだよね?」

天平「そんで、そのために遊びに行かない、買い物に行かない、イベントやんない――って、アレもコレもやらないってなってってて。けど、このままこうやって経済活動が控えめになっていくと、それって東日本の後みたいなことになってしまうわけで」

ユーリ「つまり、このまま自粛自粛でいっちゃうと、経済がピンチになる、と――」

天平「経済活動をしっかりやっていくことも大事ですよ、って言ってる人、いるだろ? 情報番組のコメンテーターの人とか、経済が死んだら、医療体制も崩壊するし、救える命も救えなくなるって警報鳴らしたりしてるだろ?」

ユーリ「と言われても、経済活動しましょうって、言うのは簡単だけど、ウィルスの場合ってホントに厄介だよね? 熊本地震の後は、被害があった地域や、被害のあった家の人たちは大変だったけど、それ以外の人たちはそれまでと変わりなく過ごせたから、経済活動をしましょうっていうのを受け入れられて、被災地の状態があるていど落ち着いたら熊本に旅行に行ったりすることで復興支援したりされてたけど。今は、あちこちに移動したり、換気のよくないお店に複数の人が入ったりすることが、感染を拡大させかねない危険性をはらんでいるわけだろう? お店でごはん食べたり、お店で商品を見たりすることが危険な行為と言えたりするわけで……」

天平「だからって、自粛自粛ってわけにはいかないだろ? それこそ、一週間とか二週間とか、短期間限定で冬眠生活送ったら、また元通りいいですよ、っていう話じゃなさそうだし」

ユーリ「かといって、ここで自粛しないでいたら、感染が拡大していくし、それって感染しかねない環境がずっとズルズル続くってことで、それだけ、ふつうの生活が送れない状況が続くわけだよね? ということは、経済活動のピンチも続きまくることになるわけで――。がっつり自粛することで早く感染リスク警戒状態を終わらせて、元通りの生活ができるようにすることが、大切なんじゃないかな?」

天平「その間に経済が死ぬとヤバいだろ? 倒産する企業がいっぱい、失業者いっぱい、ってなってしまうと、そうなった人たちって、生活する力がなくなるだろ? ごはんの材料も買えないし。家賃払えずに家に住めなくなって路上生活とかしてたら、身体壊してさらに新型ウィルスに感染しやすくなるし。税金も払えなくなるから、国のお金も厳しくなるし。なにもかもうまくいかなくなる負の連鎖が起きることになるだろ?」

ユーリ「それはそうだけど……」

天平「経済活動を控えると、人の気持ちも、落ちこみやすそうだろ? 息をひそめるような暮らしをしていたら、負の引力に引きずりこまれやすくなりそう、っていうか。そういうのも負の連鎖を引き起こす要因になるかも? って思わないか?」

ユーリ「けど、じゃあどうすればいいかっていうと……経済活動をするってことはざっくり言うと、物を売り買いすればいいってことだから。いま売れるものって言ったらマスクだろうけど、マスクの場合は、肝心のマスクが足りないんだよね。つまり、売ろうにも売りたい商品の在庫が無いから売れないわけだけど、他のものの場合は――」

天平「売る方は売りたいけど、買う方が買わないせいで、経済がうまく活性化していない状態、ってことだろ? だから、それをどう売るかが問題で」

ユーリ「買い控えをどうやって克服するか、ってことだよね? ……外食が少なくなることに関しては、出前や宅配もやるけど、テイクアウトに力を入れていけばいいんじゃないか、って話をしただろう?」

天平「そうそう。飲食店のお客さんが減っている問題については、テイクアウトでカバーしていくことを考えていくだろ? 回転寿司なんかは、即席ドライブスルーとかもありだよな?」

ユーリ「ドライブスルーはわかるけど、即席って?」

天平「ファストフード店みたいにちゃんとしたコーナーを建物改装して作ったりするとお金かかるから、電話かネットで持ち帰りセットを注文しておいて、お客さんが予約した時間に受け取りに行って、お店に着いたら電話すると、お店の人が商品を外まで持って来てくれて、その場でお代を清算する、とかすれば、なんとかなるんじゃないか?」

ユーリ「それって受け渡しする人の分、人手が要るんじゃないかな?」

天平「けど、中で食べる人が減れば、会計したり、食べ終わった席の片づけしたりする人が少なくて済むから、その分の人手をドライブスルーに回せばいいんじゃないか?」

ユーリ「それもそっか」

天平「まあ、大手の回転寿司チェーンとかだったら、建物を改装するお金持ってそうだけどな?」

ユーリ「回転寿司チェーンのドライブスルーは、新型ウィルスの問題が落ち着いてからも、利用したい人、いそうだから、作っちゃえるとこは作っちゃってもいいのかもね? 持ち帰り用のお寿司のセットは、前から、たいていの回転寿司のお店で売ってあるし」

天平「寿司以外の飲食店でも、人手があるお店だったら即席ドライブスルーやってもいいと思うし、人手がないお店だったら、ふつうにお客さんがお店の中に入って、商品をもらって帰ればいいだけだし。今って保冷バッグとかも充実してるから、持ち帰りしやすいと思うんだよな。後は……あ、意外とふろしきって使えるんじゃないか?」

ユーリ「ふろしきって大きな布のことだよね? かなり大昔に使われてたもので、いま使ってる人ってあんまりいなくない?」

天平「あんまりいないけど、これからはいいんじゃないか? マイバッグで小さくたためるヤツあるけど、ふろしきも一枚バッグに入れておけば、何かテイクアウトしようって思ったときに便利かな? って。あれって、包み方とかいろいろあるっぽいから、大きなヤツなら、いろんな形のものを包んで持って帰れそうな気がする」

ユーリ「考えてみれば、ふろしきって日本版のマイバッグの原点だもんね? どんなものでも包めるスキルがあれば、意外と便利かも?」

天平「大人女子が好きそうだろ? すんげー凝った包み方とか開発しそうだろ?」

ユーリ「天平がそう言うなら、そうなんだろうね……? けど、ふろしきって包むのは包めても、手で底を持って運ばなきゃいけない場合が多くない? それだと持ち運びはしにくそうだけど?」

天平「その場合は、ふろしきで包んだのを持ち運ぶためのグッズを開発する。ブックバンドみたいなので全体をくくって、バンドの先を手に持って運ぶ? ん? それじゃ可愛くないか」

ユーリ「………………それは、持ち運びやすいのかな?」

天平「いやでも、透明の幅広めのバンドにすればいけるかもな? 前、透明バッグって流行んなかった? 誰か持ってたぞ? アレ、中身見えて最悪じゃねーの? ってオレは思ったけど、あえて中身見せるのがいいとかって、女子特有のヘンな――じゃない、えっと独特の? 発想で成立してたオシャレがあった気がするけど……? なかったっけ……?」

ユーリ「……」

天平「あ、じゃあ、アレだ。かごバッグ。ザ! ピクニック! みたいな、女子が『可愛い!』って叫ぶようなかごバッグを、お店が貸し出してあげると、それに料理を入れて持って帰るようにしたら、テイクアウトやりたくなるんじゃ?」

ユーリ「その場合、いろんなお客さんがかごバッグを利用するってこと? 今時分、かごバッグを複数の人で使い回していくのって、衛生的に大丈夫?」

天平「んじゃあ……ほら、なんて言うんだっけ? 岡持ち?」

ユーリ「岡持ちって、ラーメンの入った丼とか入れて運ぶ箱っていうか、手で持てるようにしてある、出前用のボックスのことだよね?」

天平「そう、ソレ。テイクアウト料理を運ぶのにいいカンジの岡持ち的なグッズとかがあったりすると、もっとテイクアウト料理の可能性が増えると思うんだけど」

ユーリ「そういうのがあれば、手に持って帰るのにいいってこと?」

天平「というか、自転車とか車とかに積んで持ち帰るパターンを想像してる」

ユーリ「それは……岡持ちというか……日本製のものを海外の家族にお土産にする番組とかでお土産にされてる、出前用バイクみたいなのをイメージしてる?」

天平「あ、そうそう。お蕎麦の出前に使うバイクみたいな運び方できるモノ? 例えば、車の天井部分から、料理を入れた箱を吊るして、ぶらぶらさせることで料理の水平を保てるような装置とか? そういう岡持ち的なものがあれば、お店の料理をそのままお店で出されてる状態で持って帰れたりするんじゃないか?」

ユーリ「それって、ケータリングみたいなカンジをやりたいわけ? お弁当にしたり、お惣菜をパックに詰めたりして、テイクアウトするんじゃなくて、なるべく、お店で出されている状態をキープして持ち帰って食べられるようにしたい?」

天平「料理によるんだろうけどな? 盛り付けとかこじゃれたカンジのヤツを持ち帰って食べられる方が、テンション上がりそうだろ? そういうの、大人女子は好きだと思うし、大人女子が好きなものは売れ行きよいと思う」

ユーリ「……なるほど」

天平「軽くて割れなくて、できれば電子レンジでチンできる素材で作られたプレートとか利用して料理を盛っとくだろ。テイクアウト料金はお皿の分高めだけど、後日、お皿を返却すればその分、お金が返って来るようにするとか? じゃなくて、割引クーポンがもらえるようにする? そんでそのお皿は北欧系のデザインか、芸能人のヘタウマな絵とか、いっそ自分の子供が描いた絵をプリントできたり? なんさま『可愛い!』ってヤツにしといて、もらっといてもお得! みたいなカンジだったりすると、それはそれでウケるんじゃ? それぞれの店で持ち帰り用のプレートを用意するのが大変なら、商店街とかでまとめて、ベースは同じでも一軒ごとにデザインとかちょちょっと変えて発注するとかすれば、そんで飲食店の集まっている通りとかだとテイクアウト祭りとかやったら注目されやすくないか……?」

ユーリ「自粛生活がある程度長期化するだろうってなると、そこまでやりこんだ方がいいかもね? ただ、現実的には、テイクアウトの中心は、お弁当系かな? って思うけど?」

天平「う。まあ、そうか……」

ユーリ「だから、テイクアウトに特典をつける方がよくない? 宅配ピザも、テイクアウトだと割引になったりしてるから、出前や宅配でやっているものも、お店まで取りに来てくれたらその分、割引になるとかすると、お店まで取りに来てくれるお客さんはいるんじゃないかな?」

天平「そだな。感染が疑われて自宅待機している人は、宅配頼んで、配達に来た人と接触しないように受け取ったりする必要があるけど――」

ユーリ「自宅待機と自粛生活って、違うよね?」

天平「違うよな。感染が疑われるわけじゃないけど、これから感染して、人に感染させてしまって、感染を拡大してしまうことがないように、あちこち出かけたり、人と集まったりしないようにするのが自粛生活、だよな? ってことは、逆に、自粛生活の人の場合は、自宅待機の人と違って人がいるところに買い物に行けないわけじゃないから。自粛する意味が無くならないように、人と極力接触しないように、人との距離が近くなりすぎないように気をつけながら、お店まで料理をもらいに行くことはできるわけで。だったら、自分でもらいに行くことで、配達する人の負担を減らすことができるわけで……」

ユーリ「取りに来てくれたらその分、割引したり、おまけつけたりするサービスの方がテイクアウト増えそうに思うけど……?」

天平「割引、おまけ、お得感……。そう言えば、ランチって、コスパがいいっていうか、この内容でこの値段ってお得ですね! なとこ多いけど、それって、ランチで儲けようとしているわけじゃなくて、むしろランチは赤字覚悟でお安く提供してたりしてて、それはランチでどんな店か、どんな料理か試してもらって、ディナータイムに来ていっぱい食べてもらってそこで儲ける、っていうのが狙いなわけで――」

ユーリ「ランチでやってるみたいなことを、テイクアウト料理でやってみよう、って? お得なテイクアウト料理を提供して、お客さんにお店の味をお試ししてもらうことで、お試しに食べたもの以外のテイクアウト料理をあれこれ買いに来てもらったり、新型ウィルスの感染問題が落ち着いてから、ディナータイムに来てたくさん食べてもらって、そこで儲けよう、みたいな?」

天平「――みたいなやり方もあるのかもな? って思いついた。えっとな、サンちゃん? じゃない、誰だったかな? オレ、誰かんところで、前、ランチ本見たことあるんだよな」

ユーリ「ランチ本って、地元グルメとかのランチやっているお店を特集したガイドブック?」

天平「じゃなくて、いや、じゃなくもないけど、クーポン券になってるヤツなんだ」

ユーリ「んん?」

天平「んっとな、ランチパスポート? だったっけ? ランチ食べられるお店を掲載している本ではあるんだけど、その本をお金出して買うと、その本に載ってるお店の五百円以上するランチを五百円で食べられるっていう本なんだ」

ユーリ「え? その本自体は無料じゃないんだよね? ランチも無料じゃないし?」

天平「無料じゃないんだよ。だから、一回、一つの店で使ったくらいじゃ割に合わないわけ。その本を買ってその本に載ってる店に行って、その本をお店の人に見せると、五百円でそこのランチを食べられるという仕組みなので、通常いくらするランチが五百円になるのかを把握して、どの店とどの店とどの店で食べておけば元が取れるか計算して、最低でも、ランチ本の料金の分は割引サービスを受けないと損するんだよ」

ユーリ「なんか、天平がゲットしたら燃えそうな仕掛けだね。どんだけ回収するか、すごく計算しそう」

天平「ふっふっふ。ランチ代に五百円はかかるからな? そうそうたくさんは食べられないから――オレだったら、予算決めて、できるだけ効率よくうまいランチをお得に食えるよう、綿密に計算してお店をセレクトして臨むね」

ユーリ「つまり、ランチパスポートならぬ、テイクアウトパスポートがあったら、飲食店のテイクアウトが盛り上がるんじゃないか、ってこと?」

天平「そゆコト。パスポート本作るのが大変だったら、ネットでそういうサイト作ったりアプリ作ったりしてもいいと思うけど――そういうんじゃなくて、回数券とかでもいいかも?」

ユーリ「回数券?」

天平「テイクアウト回数券。一万円出すと、一万一千円分のチケットが買える。そんで、回数券は一枚千円で、参加店では、一枚出せば千円分に見合ったテイクアウト料理を見繕ってくれて、二枚出せば二千円分見繕ってくれる、とか、そういうのだと、お店側もその日の仕入れ具合とかで料理を作れるし、お客さんはいくら払うかわかってるから買い過ぎて後で後悔、とかしにくいと思うんだけど?」

ユーリ「同じ千円でも、お店によって量が多かったり少なかったりするわけだ?」

天平「量り売りのお惣菜とかあるけど、オレは、いくら分ください、ってやりたいんだよ。まず予算ありきだから。ただ、『同じ値段ならボリューム狙い!』な人もいるだろうけど、量が少なくてもこじゃれてておいしければいい、夕飯じゃなくてつまみにします、みたいな人もいるんじゃないか?」

ユーリ「ホント、お店次第ってことか。……ま、使い方はその人次第でいいわけだし。けど、一万円で千円分お得にしちゃって、大丈夫かな?」

天平「そこらへんの計算はわからんから、適当言った。どうやって回数券にお得感を出すかは工夫次第だと思うけど、回数券を売っちゃうと、買った人はやっぱ、テイクアウトしようってなると思うんだよな?」

ユーリ「その回数券は参加する店舗のどこででも買えるわけ?」

天平「あー、それは……参加店で買えるのはいいよな? じゃなかったら、地元の観光案内所とかスーパーのサービスカウンターとか、チケット売り場? あ、コンビニでもいいかもよ? コンビニが協力してくれれば、だけど」

ユーリ「んー、じゃあ、そういうとこで買うとして、けど、回数券セットの売り上げは、それを売ったお店がもらえるわけじゃないよね? コンビニで誰かが回数券セットを買ったとして、その売上金をコンビニがもらえるわけじゃない」

天平「それは、まあ、そだなー」

ユーリ「売り上げは、参加している店の中のリーダー店……だと持ち逃げされると悲しいから、それこそ観光案内所とかに回数券の売上はいったん集めて、それぞれの参加店で実際にお客さんがチケットを使ったら、その使われたチケットをお店の人が観光案内所に持って行って現金と換金する、といいのかな?」

天平「おお。いいやん」

ユーリ「あ。というか、回数券専門サイトを作って、電子クーポンみたいなカンジでやってってもいいのかな? それだと感染リスク低そうだし」

天平「お? それもアリ?」

ユーリ「けど、なんにせよ、換金するときは、千円チケットを千円に換えてもらえるわけじゃないよね? 一万円で一万一千円分の回数券にする場合は、サービスする千円分は参加店側が負担することになるわけで……」

天平「そこはお店が損するし、回数券作るなら紙代や印刷代、電子クーポンにするならサイト作るお金とかかかるかもしれないから、経費としてさらに売上金から引かなきゃいけないと思うけど、一万円分のセットを買った人が一万一千円分のチケットを使い切るかはわからないし」

ユーリ「回数券を買った人が、買った枚数すべてを使い切らなかった場合は、回数券セットを売って集めた売上金が残ることになるよね? その残金って、いつかお客さんが使うまで、ずっとそのまま保管しておくわけ?」

天平「いや、回数券は有効期限を決めといた方がいいよな? そんで、期限内に使われなかった回数券の売上金は、参加店で山分けすればよくない? 回数券買う人は、コロナ復興支援も兼ねて買うわけだから、回数券を使い残した場合、その使わなかった回数券の代金分は、飲食店への寄付をしたようなものなわけで。……オレなら絶対、十一枚ぜんぶ使い切るけど」

ユーリ「そうやって、テイクアウトを回数券やテイクアウトパスポートなんかで試してみて、おいしかったら、気に入った料理をナニナニの日にふつうにテイクアウトしてみたりしてもいいわけで。それで、新型ウィルスの問題が落ち着いたら、お店に食べに行けばいいわけで。そのためのお試しとしては、ランチみたいに赤字覚悟、とまではいかなくても、それほどそれで儲けよう、ってことじゃなくてもいいのかもね……?」

天平「うんうん。そうやってお試ししてもらって。その店の料理を気に入ってくれた人には、おせち料理みたいなお高めのファミリーセット系の予約販売も売りこめるといいよな!」

ユーリ「お高めのファミリーセットか……。焼肉屋さんだと、お肉を焼いて焼肉弁当にして売ってもいいけど、生の状態で売るのでもいいよね? お肉とお野菜の盛り合わせとタレのセット作って、家で焼いてもらう、とかできそうだけど。値段は、お肉の品質によって高いものになるかもしれないし、手ごろな値段のセットもできるだろうし」

天平「肉か! 海外からの観光客が減ってるから、日本で『和牛』食べようと思っていたお客さんも減ってるだろうし。海外観光客向けのお肉のいいのが売れ残ってるかもしんないよな? そういうの盛り合わせたセット作って、ブランド牛の食べ比べ! とかしちゃったり? 『利き牛セット』とか?」

ユーリ「ブランド牛でなくても、きっとおいしいお肉、いっぱいあるよね。牛肉だけじゃなくて、豚肉や鶏肉に、ジンギスカンは羊だっけ? それから鴨とか、イノシシやシカとかのジビエも……」

天平「焼肉屋さんとかが、そういうお肉のパイロット……じゃない、アンテナショップ? 『こんなおいしいものありますよー』って発信することに重点を置くみたいなカンジで、お肉のテイクアウトセットとか販売すんのも、喜ばれそうだよな!」

ユーリ「「焼肉屋さんって、お店にもよると思うけど、意外とおじいちゃんとかおばあちゃんとかも夫婦で来てたりするんだよね」

天平「ひいばあが言ってたわ。風邪ひいて体力落ちてるときとか、肉を食べると効果てきめん、力がつくって。だからオレが風邪ひいたときとか、肉食わされてさ?」

ユーリ「うちは野菜かな。野菜のビタミンCが身体にいいから、って」

天平「んじゃ、肉と野菜の盛り合わせ焼肉セット、いま食っとくと元気でいられそうやん? お年寄り向けに量とか加減して、『これ食って元気セット』とか作ってもいいかもな?」

ユーリ「お肉を食べたらお魚も食べたいよね。カキとかワタリガニとかの海鮮焼きセットとかを……居酒屋さんに出してもらう?」

天平「居酒屋! ――居酒屋ってごはん系も置いてあるけど、お酒の売上げが大きいと思うから、お店にお客さんが来てお酒を飲んでくれないと、経営が厳しいかもな? 大丈夫かな?」

ユーリ「お料理はテイクアウトやれると思うけど、お酒は……。お酒飲む人って、家で飲むためのお酒だったら、スーパーやコンビニとか酒屋さんとかでふつうは買ってあるよね? コンビニでコーヒーをテイクアウトするみたいに、居酒屋さんでお酒のテイクアウトするってわけにはいかないんじゃないかな? 法律的に大丈夫? やっぱりお酒を売るのは……?」

天平「居酒屋じゃないけど、お酒出してるお店っていうと、オレは屋台、気になるわ」

ユーリ「あ。屋台? 屋台か。屋台って、僕は行ったことないから、テレビで中洲の屋台とか取材してるのを見たくらいでしか知らないけど……」

天平「小牟田でも三十年くらい前までは屋台が川沿いにいくつか出てたらしいけどな?」

ユーリ「そうなんだ?」

天平「大家さん情報では、そうらしいぞ? 今はもうないけど」

ユーリ「んー。とりあえず、中洲の屋台だと、テレビで見る限り、屋台ってすごく狭いカウンターで、お客さんがすき間なく座って食べてない? 感染リスク高そうだよね……?」

天平「感染リスクは屋台ごとに違うだろうけどな? ただ、オレも屋台行ったことないけど、テレビで紹介される屋台メシ、うまそうなんだよなー」

ユーリ「おいしそうだよね。屋台って、大人の行く店で、子供はなかなか食べられないって思うと、余計においしそうだな、って」

天平「そーそー、そうなんだよなー。って。そこで、なんだけど――」

ユーリ「ん?」

天平「屋台の場合は、屋台メシを何種類か、パックに入れたりして、いつもなら屋台出してる場所に、折り畳み机かなんか置いて、そこでその屋台メシパックを売ったらどうだろ?」

ユーリ「ああ、そっか。テイクアウト売るだけなら、わざわざ屋台出さなくても、簡易テーブルとかで売るんでもよさそうだね?」

天平「焼きラーメンとかは、屋台で目の前で作ってもらって、出来立てアツアツのを食べたいとこだけどなー」

ユーリ「明太子入り玉子焼きは、持ち帰ってもおいしいんじゃないかな?」

天平「そだな。フレンチ屋台のブイヤベースなら、持ち帰って温め直して食べれば、きっとうまい!」

ユーリ「ん? でも、屋台って夜に出して、夜中までやってない? 夜中って……」

天平「会社とか、時短営業になってるとこ増えたりしてるみたいだから、夜遅いとお客さん来ないかもな?」

ユーリ「屋台営業の許可を出してる自治体が、お昼や夕方でも売っていいようにしてくれるといいけどね? やってくれるかな?」

天平「その辺のことは――『実情に合わせて』、って言うんだっけ? お客さんがどれくらい来るのかとか、場所はどうだとか考えて、それぞれの屋台の事情に合わせて、いいやり方を考えていけるといいよな?」

ユーリ「そうだね。――屋台って、入ったことない人は入るのに勇気いりそうっていうか。入りたくても入れずに来た人とかいると思うから。そういう人も、屋台メシのテイクアウトなら、利用しやすいだろうし、テイクアウトしたことがきっかけで、感染問題が落ち着いてから、屋台に入ってみよう、ってなるかもしれないよね?」

天神「オレも食ってみたいなー、屋台メシ」

ユーリ「僕も食べてみたいけど。さすがに、自粛しなきゃいけないのに、小牟田から中洲まで買いに行くのはちょっとね」

天平「だな」

ユーリ「……屋台っていうか、縁日の露店は? お祭りって人混み作るから、やるの自粛するんじゃない? 露店もお店出せないよね?」

天平「そだな。……お祭りや縁日にこだわらずに、公園とか、あと、スーパーとかドラッグストアとかの入り口の横あたりに、一軒、二軒、出していいことにしたらどうだろ? それだったら、小牟田なら、お客さん、入れ代わり立ち代わりで、行列作らずに買っていくカンジになると思うから、感染リスク低そうな気ィするけど……?」

ユーリ「じゃあ、対策会議で、露店部とか作る? それで、スーパーやドラッグストアとかに協力を取りつけたり、どこにどの露店を出すかとか、露店屋さんたちと連携を取る?」

天平「ソレいいな。ついでに、防疫マップにどこにお店が出てるか、お客さんの混み具合はどうか、行列ができているかとか、電話で予約注文受けつけます、とか、情報出すのもいいかもな?」

ユーリ「それなら、テイクアウトをやってるお店も、防疫マップに載せようよ。――というか、テイクアウトマップを作ればいいのか」

天平「……そだな? それだと、テイクアウトやってなさそうな居酒屋も、テイクアウトやってるのをお知らせできるよな? 居酒屋のテイクアウトで海鮮焼きセットを売るの、オレ、いいと思う」

ユーリ「海鮮焼きセットは、イタリア料理店でちょっとアレンジして出してもらうのもいいかもね? 糸島のカキ小屋とかで、カキ焼いたのにチーズ乗せたり、オリーブオイルかけたりしてるの、テレビで見たよ?」

天平「それもいいな! アジア料理やエスニック料理の店でもアレンジ出す? 好きな人はすんごい好きそう。そういうのだったら、ファミリーセットだけじゃなくて、おひとりさま向けのセット作るのもよさげ! 多少、お高目な値段設定しても売れそうな気がする」

ユーリ「プチ贅沢路線だね。自粛生活の楽しみ、というか、励みに?」

天平「新鮮魚介盛り盛りアクアパッツァセットとか? っつか、だったら、ブランド野菜とかはイタリア料理店がアンテナショップになって、焼き野菜のグリルセットってことで、新鮮野菜いろいろとアンチョビソースとかのソースをセットにして売る」

ユーリ「ん? イタリア料理で野菜使うなら、パスタやピザや……シチュー的なものにしてほしいかも……?」

天平「パスタだったら……お店の人がパスタ作ってしまうと、テイクアウトしている間に麺が伸びちゃうから――それでもおいしいけど――パスタを茹でてない状態で下処理した具材とパスタとソースのセットをテイクアウトして、家で自分で仕上げるという手もあるよな?」

ユーリ「それだと、僕でも作れるかな? んー……自信ないな……」

天平「まあ、お店で食べるのとおんなじクオリティに仕上げることは難しいかもしれないけど、そこは、動画で作り方サポートするとか? 動画を再生しながら、同じタイミングで同じ作業をしていく、とかすると、パスタを作る腕が上がるかもな?」

ユーリ「親子丼とかも、材料とお出汁? タレ? かなんかのと、鶏肉や生卵をセットにしてテイクアウトできるようにして、動画見ながら家で作るとか……できるかな?」

天平「簡単にうまくできなくても、何度かやってるうちにうまくいくようになるかもよ? なんなら、仕上がりを撮影して、プロに、どこが悪くてこうなってるかアドバイスを受けられるようなサービスとかあるといいのかも? 料理って、意外とちょっとしたコツで改善するもんだから」

ユーリ「家に居ながら料理教室、だね」

天平「それはそれで楽しそうだな」

ユーリ「天平、和菓子を手作りするのも一部で流行ってるって言ってなかった?」

天平「あ。ミヤのじいちゃんに頼むか? 和菓子教室の先生」

ユーリ「そういうのもアリかもね?」

天平「でも、家で仕上げをするタイプのテイクアウトもいいけど……テイクアウトっつーと、クリスマスや家族の誰かの誕生日だと、ホールケーキ買って帰る家とかあるだろ? アレもよくない?」

ユーリ「ケーキ? ケーキはまあ、確かに……ケーキ屋さんのケーキって、イートインあるとこもあるけど、基本的にテイクアウトして家で食べるよね?」

天平「ケーキはケーキでも、寿司ケーキ」

ユーリ「寿司ケーキ? え? あ、酢飯でスポンジケーキ風の土台を作って、その上にお寿司のネタを乗っけるってこと?」

天平「福岡のどっかに、創作寿司の店があって、かなり本気の盛り盛りデコやってるらしいんだよな?」

ユーリ「本気の盛り盛り……?」

天平「サーモンでバラの花作ったりとか?」

ユーリ「あ。寿司ネタで作るデコレーションがスゴいってことか」

天平「インスタ見たけど、本物のデコレーションケーキみたいなの作ってて。――寿司で作ったパフェもあるって聞いたけど、情報が古そうだからな。まだやってあるかな……?」

ユーリ「つまり、そういうスイーツみたいなお寿司のテイクアウトは楽しそうってこと?」

天平「お寿司に限らず、スイーツもどきという手があるんじゃないか、と」

ユーリ「お寿司に限らずって……お寿司以外のものでもデコレーションケーキとか作りたいってこと?」

天平「そゆコト」

ユーリ「お寿司以外でデコレーションケーキって……動物番組で、ライオン、じゃない、トラだったかな? 誕生日ケーキをお肉で作ってたけど……いや、あれはちょっと違うよね」

天平「肉でケーキ、いいんじゃないか? ごはんで土台を作って、いろんな肉や野菜でデコレーションするとか。いや、ハンバーグで土台作って、そこにマッシュポテトとかコーンとかでデコレーションするとか。具沢山デコな釜めしとか。――デコレーションケーキ風に作ると、お値段がお高めでも、おもしろがって買ってくれる人、いそうな気ィすんだよな?」

ユーリ「ミヤがおもしろがりそうだね、そういう創作料理考えるの」

天平「オレも好き。――っつか、どうせなら、一人用の小さめサイズもほしいよな。どーんとホールケーキサイズじゃなくても、プチケーキサイズとか、ホールケーキをカットしたワンピース分を売ってくれるとか」

ユーリ「小さいものだと、いくつか詰め合わせてセットにすると楽しそうだね」

天平「詰め合わせセットはいいよな。あとは……薄切り肉やスモークサーモンでいろんな具材をぐるぐる巻いてロールケーキみたくするとか。マフィンやカップケーキ風のコロッケとか。クレープ風ピザ、パフェ風どんぶり、ドーナツ型のつくね……酒のつまみをいっぱいのせたアフタヌーンティー風の晩酌セット……」

ユーリ「うん。天平がスイーツもどき推しなのはわかったけど。大人女子ウケを狙い過ぎてない? もう少し一般的なものも考えようよ?」

天平「じゃあ……ドライブ花見セットみたいなの。花が咲いてる道をドライブして、公園の駐車場とか、人と距離を置けるスペースに車止めて、車の中や、近くで、テイクアウトしてきた豪華なお弁当を食べるとか、やってくれると」

ユーリ「ドライブ花見はいいと思うけど、場所によっては車が渋滞してしまわない? そういうときって携帯トイレ使うのかな? もしも公衆トイレ使うとしたら、トイレの中やトイレの前が混雑して、そこで感染したりするかもよ?」

天平「花見の名所に行こうとすると、そうなるんじゃないか? 別に名所じゃなくても、桜じゃなくても、どっか何かの花が咲いてるとこで、誰も来なさそうなとこに行くのが楽しい、みたいな? 穴場スポットを見つけるぞ合戦! みたいな?」

ユーリ「穴場スポットとはいっても、あまり遠方だとどうしたってどこかに、コンビニとか? トイレに寄ったりとかして、感染拡大の危険がない? やっぱり近所で、トイレに行きたくなったら家に帰れるくらいの距離のとこがよくないかな?」

天平「そだな。……小牟田だと、人いなさそうで花咲いてるとこ、楽ショーで見つかるけど、東京とか住んでる人は、難しいんかな?」

ユーリ「それこそ、花屋さんでお花買って、家で飾ってそのお花見ながらお弁当食べればいいんじゃ? なんなら、テイクアウトパスポートを提示すると、お花が少し安く買える、とかしたら?」

天平「テイクアウトとお花のコラボ的な売り方はアリだよな? あ、だったらお花見セット? 花屋さんでお花見用にお花見感のある花束とかフラワーアレンジメントとか作って、テイクアウト料理とセットで売る? それだと、身体が不自由な人も家でお花見楽しめるだろうし」

ユーリ「そっか。自粛生活じゃなくて、もともと、なかなかお出かけできない人もいるわけだから、こういう機会に、そういう人が楽しめるサービスが増えたらいいね。『おうちでお花見セット』は、新型ウィルスに関係なく、これからもずっと、お花のシーズンにはそういうサービス、あるといいかも?」

天平「あ。あのさ、自分たちで食べようってことじゃなくても、母の日の前倒しで、お花と特製お花見弁当のセットを母親にプレゼント、っつーのもありかもな? っつか、それやるとしたらママさんたちで集まってママ友会とか女子会とかやりながら食べたいとこだろうなー」

ユーリ「そこで集まって食べちゃったらテイクアウトの意味がないから」

天平「ま、新型ウィルスの問題が落ち着いたら、お花見セットで女子会もあり、ってことで」

ユーリ「母の日じゃなくて敬老の日の前倒しは? 家で自粛生活しているおじいちゃんやおばあちゃんに、お花と特製お花見弁当のセットをお届けするサービスとかあったらいいかも?」

天平「おお。それは、いっかもな? ――いや、実はさ、自粛生活ってお年寄り、キツいんじゃないかと思ってたんだ」

ユーリ「お年寄り? それは、バス旅行とか楽しんでるのってシルバー世代が多いらしいから、あちこち出かけられないの、お年寄りもつまらないだろうなとは思うけど。でも、お年寄りの人の方が――細々動き回ってる人もいるけど――日頃から時間をゆったり使ってある人多そうで、自粛生活は苦にならなさそうだけど……? 畑仕事とかは自粛生活しながらでもできるし」

天平「畑仕事とかやることある人はいいと思うんだけど。ちょっと思い出したんだけど、ほら、東日本の震災の後、お年寄りの『生活不活発病』ってのが問題になってたらしくて」

ユーリ「あ。お年寄りの問題って言えば、被災したお年寄りが仮設住宅に住むようになったけど、知り合いが近くにいないから、自分が住んでる仮設住宅でじっと一人で過ごすようになって。引きこもっている間に認知症になったり、孤独死したりしてたとかって、問題になってたよね……?」

天平「それがさ、家で一人でじっとしていると、脳がどんどんやる気をなくしてくっていうか、心も身体も活発じゃなくなっていくものらしくてさ? んで、じっとしてると筋力も衰えるし、筋力が衰えるとやる気がさらに減るし、いざ動こうとしても身体が動かなくておっくうになるから余計に何もしたくなくなって、どんどん消えていく方向に進んでしまうっていう悪循環にハマってしまうらしいんだよ?」

ユーリ「それが『生活不活発病』――」

天平「って言われてたりするみたいだ」

ユーリ「やる気をなくす……お年寄りだと目が悪かったり耳が遠かったりする人も多いから、テレビを見るのもめんどくさい、ってなってしまうかもしれないよね? 家族がいたら会話せざるを得ないけど、一人暮らしだったりすると話さなくていいし。会話しないと認知症になりやすいって、おじいちゃんたちが見る健康番組とかでやってたよ? 確か」

天平「そうなんだよな。だから、一人暮らししてるお年寄りでも、家でスマホとかやる人はまだいいと思うんだよ? 情報収集もできるし、周囲と繋がりやすいし」

ユーリ「そうだね、スマホで動画や写真を見たり、何かを検索したり、ニュースを見たりしてれば、まだやる気おきそうだけど……お年寄りがスマホに熱中っていうのも、あんまり聞かないよね? それに、もしスマホをよくいじるようになったとしても、スマホばっかり見て姿勢が悪くなったり、目が悪くなったり、スマホ依存症になったりしてもよくないし……?」

天平「熊本の自撮りの女王って呼ばれてる特撮な写真や動画を撮るツワモノなおばあちゃんもいるから、お年寄りみんながみんなダメではないだろうけど、IT関係苦手なお年寄りって、多いと思うんだよな? さらに長電話もできなくて、テレビも見ないしラジオも聞かない、みたいなお年寄りの場合、畑仕事もしないでぽつんと一人暮らししてたら、メンタル、ダダ下がりだろ? 何もしたくないし、しなくていいし、っつか、今みたいな自粛生活の場合はむしろ何もしないようにしなきゃ、ってなってしまうと、あっという間に足腰弱って、下手すれば孤独死してた、みたいなことが起きてもおかしくなかったりするんじゃないか? 大丈夫か?」

ユーリ「……それはそれで、重要な問題じゃない? その、生活不活発病になって、身体が弱くなったら、免疫力も落ちて、新型ウィルスにかかりやすくなるし。たとえ新型ウィルスに感染しなくても、ふつうの肺炎とかになってしまうかもしれないし……?」

天平「気力がなくなるってホント、恐ろしい病気だって。――自粛はいいけど、自粛生活がイコール引きこもり生活にならないようにするのも大事だと思うんだよな? だから、さっきのお花見セットとかが届いたりすると、ちょっと気持ちが明るくなって、活動的な気持ちになるかもしれないだろ?」

ユーリ「……なんか、すごく心配になってきた。お花見セットが届いても、家で一人で食べてたら、それだけじゃあ、不活発な生活が続いてしまうんじゃない?」

天平「んじゃあ、お花には手芸セットもつけとく? 届いたお花をどっかに吊って干しといて、ドライフラワーにするだろ? そんで、それを端切(はぎ)れっつーの? 布切れを縫い合わせて小さな袋状の何かを作って、そこにドライフラワーにした花びらを入れるとポプリ、じゃない、えっと、サシェ、ができる」

ユーリ「天平、ホントに女子力高いよね……」

天平「知ってたか? ポプリはドライフラワーとかにアロマオイルを垂らしたヤツで、垂らさないのがサシェっていうのなんだって」

ユーリ「はあ……?」

天平「なんか、細かくてわからんよな? わからんと言えば、オーバーオールとサロペットは何が違うんだ?」

ユーリ「オーバー……ペット……? えっと、なんかで聞いた気する」

天平「オーバーオールとサロペットは、『しゃれおつクエスト』で、はとりんが何がどう違うか説明してたヤツ。けど、結局、服のことはよくわからん」

ユーリ「んーと……」

天平「サシェはさ、前、母の日のプレゼントを安上がりにすませようと思って、オレにも手作りできるものないか相談したことあって、べっさんに」

ユーリ「くっ」

天平「そしたらサシェを提案されて、べっさんに教わりながら作ったことがある」

ユーリ「作ったんだ……。えらいね……。僕は裁縫って全然ダメ」

天平「オレはボタン付けとかちょっとした(つくろ)い物とか、最低限の縫い物ならできるぞ?」

ユーリ「繕い物っていう単語がもう、僕ら世代には通用しない言葉だよ、天平……」

天平「そっか? そうか。そうか? ま、いっか」

ユーリ「お母さん、喜んだだろう?」

天平「それがさぁ。母さん、そもそも香り系にたいして興味なくてさ? そんなにウケなかったんだよな。べっさんが材料揃えたりデザイン考えたりしてくれてたから、いま思い返してもなかなか悪くない出来だったと思うんだけど」

ユーリ「ふうん? でも手縫いってすごいプレゼントじゃない? まあ、天平はしょっちゅう、ごはん手作りしてるから、天平のお母さん的に、お手製のものってそんなにありがたみないカンジなのかな?」

天平「どうだろ? 喜んでなかったわけじゃないんだけど――まあ、もとからキャッキャキャッキャした人じゃないからなー」

ユーリ「ええと、さしぇ、サシェ? はどういうのか、聞いただけじゃよくわからないけど――ドライフラワー? の一種ってことになるのかな? 押し花? おばあちゃんの友達で、押し花を使って風景画とかを描くアートをやってる人がいるよ?」

天平「お! 知ってる! 押し花をアートにしている作家さんがちゃんといるんだよな!」

ユーリ「おばあちゃんのお友達は、作家さんに習って趣味でやってる人なんだけど、キレイな絵を作ってあるんだよね。あれって手で花を動かして作っていくから、極端な話、絵そのものが下手な人だったとしても、意外と楽しめるんじゃないかな?」

天平「押し花かー。どっか和紙作ってるとこで、押し花を散らして漉いた紙作ってなかったっけ? ハガキに押し花貼り付けてたんだったかな? なんかそういうの見たことあった気ィすっけど……?」

ユーリ「押し花はしおりにしたり、色紙に貼ったりしたのあるよね? ハガキに貼ったら、押し花アートつきのハガキを実際に誰かに投函できる……できる、ね?」

天平「押し花にするんだったら、押し花に向いた花を花束にしてもらうようにするといいよな? いや、逆に、花束でもらった花を押し花にどう生かすか工夫してく、って手もあるんかも? ……あれ? 花束を押し花にするのもリサイクルなんかな?」

ユーリ「あのさ、動画見たり、テレビ見たり、電話したりしないお年寄りの場合は、ハガキとか手紙、つまり、文通、いいんじゃない?」

天平「文通!」

ユーリ「天平の場合は、文通は課題だよね、ひいばあの」

天平「文通かぁ……。まあ、アレはアレで悪かないけどさー。やっぱ電話って便利。LINEしてくれとは言わないけど、せめてメール……」

ユーリ「あ、お客さんが誰かに書いた手紙をお花屋さんが預かって、手紙と一緒に手紙の宛先にお花を届けるサービスは? 料理も一緒に届けてもいいし?」

天平「手紙と花と料理? んじゃ、自粛するお年寄りは、まず文通友達を作って、文通友達どうしで、手紙を出すときに、ついでに、花とか料理とかも一緒に相手に届けてもらう? 郵便局が一枚かんでやってくれると実現しやすそうだけど……料理までやるのは難しいかな?」

ユーリ「手紙と料理を一緒に届けられるかはわからないけど、手紙だと、百均のレターセットとか見てみてもすごく種類があるし、封筒とか便箋とか、どれにするか選んだりするのも楽しいんじゃない? それに、近くのポストや郵便局に手紙を出しに行くと、散歩になるし」

天平「そこでお出かけに繋がるのか。そしたら、自粛しつつ、たまには運動がてら手紙を郵便局に出しに行ったり、ってカンジでやってけるかな? ん? っつか、それも新型ウィルスが落ち着いてからも続けられそうな、生活不活発病予防法だな?」

ユーリ「そうだね。――なんか、お互いに贈り合うっていうのがいいな。僕たちはまだ小学生でお金ないからちょっと難しいと思うけど、大学生とか社会人とか、お金持ってる人たちなら、ふつうの友達どうしでお花見セットを贈り合うのも楽しいかもね?」

天平「そうだな。大学生だったら、卒業パーティーの代わりに、クリスマス会のプレゼント交換みたいに、卒業生の間でお花見セットをランダムに贈り合ったりしても楽しいかも――な⁈」

ユーリ「な⁈ な? な、ってなに?」

天平「オレ、閃いたわ」

ユーリ「は? ――ああ、閃いたの? 何を?」

天平「今こそ婚活! お花見セットでラブラブ! マッチングアプリお見合い大作戦!」

ユーリ「……婚活行っちゃったか……僕たち小学生なのに……」

天平「マッチングアプリでも結婚相談所でもなんでもいいけど、婚活してる男の人と女の人をまず引き合わせるんだよ。引き合わせるっていうか、紹介するっていうか、デートしてみろよ、ってとこまでセッティングする」

ユーリ「って言っても、実際に会うわけじゃないよね? 実際に会ってたら感染リスクが――」

天平「実際に会うんじゃなくて、テレビ電話かなんかで対面すんの。だから、それぞれ自分の部屋で相手と画面を通じて、一時間とか二時間とか、時間限定で、お互い家に居ながらデートする。んで、そんときに、お互いにお花見セットを贈り合っておけば、相手からもらった花を見ながら、相手からもらった料理をお互いに一緒の時間に、相手と画面越しに会話しながら食べる。どう?」

ユーリ「どう? どう……えっと、とりあえず、感染リスクは少なそうだし、お花見セットは売れるし、ついでに婚活? もできるんなら、それはそれでいいんじゃないかな?」

天平「だろだろ? お見合い相手に贈るんなら、少しくらい贅沢したっていい気になると思うんだよな? だから、多少お高めのセットでも売れそうだろ? それに、こういう非常事態のときに、支援になることしつつ、自分たちも楽しめるといいなー、って考えの人が参加するわけだから、そういう価値観が同じ人が見つかるんで、結婚してもうまくいきそうだろ?」

ユーリ「……そこまで考える? それはやっぱり……お母さんのお友達の影響なんだよ、ね?」

天平「ん? まあなー。母さんの友達は既婚者も多いけど、おひとりさまもまだ何人かいるからな。オレが大きくなったらオレと結婚するから、それまで独身でいいんだ、とか、ちょいちょい現実逃避してるよ。っつか、ユーリも狙われてるからな」

ユーリ「え? 僕?」

天平「独身組で集まると、誰が将来オレと結婚するか、オレのこと取り合いになるんだけど。そしたら『私はユーリくんと結婚しよ~』とか、誰かが言い出すんだよ。おいおい、ユーリまで巻き込むなよ、って思うけど、ひとしきり言わせとくと、そのうち気がすんで前向きに婚活の計画を練り始めるから、ほっといてる」

ユーリ「……こういうのもモテ期っていうのかな?」

天平「……モテモテだな? オレら」

ユーリ「……」

天平「というわけで。ちっさいころから、大人女子のグチを聞かされ、ときに『コレ、ちょっと修羅場じゃねぇ⁈』みたいなことに巻きこまれてきたオレだからこそ、小学生にして、夫婦の価値観まで考慮してしまうわけだ。大事だと思うぞ~? 『コロナなんて関係ないぜ! みんな集まって騒ごうぜ!』みたいな人と、『あ、ちゃんと自粛しとこ。誕生会はキャンセルしとこ』みたいな人とじゃ、結婚してもうまくいかないだろ。いつかどこかで修羅場るだろ。それより、『家でお花見もいいよね! 飲食店やお花屋さんの支援になるし』みたいに考える人どうしで結婚した方が、離婚しなさそうじゃないか?」

ユーリ「それはまあ……価値観は大事だよね」

天平「ん? けど、お花見セットをたくさん売るためには、お見合いに失敗して何度もお見合いしてもらった方がいいのか……?」

ユーリ「お見合いがうまくいっても、自粛生活続けた方がよさそうなら、お花見セットを頼んで、それぞれの家に居ながらデートをすればいいだけじゃ……?」

天平「おお。それもそうか。じゃ、うまくいってくれてもいいや」

ユーリ「……天平、商売に寄り過ぎだよ」

天平「あ、お花見セットは、『ここに取りに行って』って、引き渡してくれるお店を指定して相手に伝えておくと、相手が自分でそこに取りに行く、とかすることもできるよな? それだと配達負担を減らせるから、宅配を頼まなきゃいけない人の方に人手を回せるし。……マジで悪くないアイディアなんじゃないか?」

ユーリ「そうだね。お花見セットにすると、お花と料理を同時に用意しきゃいけないわけだから……ふつうは予約注文することになるよね? お花屋さんと飲食店が隣り合ってたら臨機応変に対応できるかもしれないけど、近くにお店がないときは、お花屋さんと飲食店で足並みをそろえて作らなきゃいけないだろうから、注文受けてその場でパパッと用意するってわけにいかないだろうし。そうなると、予約注文ってことは――ほら、天平よく言ってるだろう?」

天平「あ、料理は仕入れた材料をいかに使い切るかが節約の要だ! ってヤツ?」

ユーリ「そうそう」

天平「予約注文でテイクアウト料理を売ることができると、材料を使い切りやすいから、飲食店さんにはやりよさそうだよな? 余りが出ないと損が出にくい」

ユーリ「となると、どれくらい予約が入るかだよね。お店を維持できるくらい予約が入るといいけど」

天平「電話予約やネット予約とかだと、大量に注文して、実際には注文していない誰かのとこに送りつけるっていういたずら――いたずらっていうか、嫌がらせ、ふだんからあるっていうからな。どうやってそういう悪質な嫌がらせを防ぐか……予約したときに前払いしてもらうっていうのも――」

ユーリ「前払いだと、逆に、詐欺が起きかねないよね? 前払いで注文を受け付けておいて、注文した人がお花見セットが届くのを楽しみにしていたら、予約してた日にお花見セットが届かなくて。お店に文句言いに行ったら、実際にはそんな飲食店,、存在してなくて、お金をだまし取られただけ――とか?」

天平「やりそうだよなぁ。『困っています! 助けてください!』って、飲食店を装ってSNSとかで訴えて、助けになるなら、って注文してくれた人の善意をぺろっと巻き上げていく詐欺人(さぎじん)、いそうだよなぁ」

ユーリ「大量注文はアヤシイから受けないようにするとか?」

天平「けど、お花見の代わりに社員さんみんなで、各自、家でお花見セットを楽しもう、みたいなことで、企業で一括で大量注文してくれました、みたいなときにどうする? 嫌がらせかもしれないんでお断りします、って断っちゃうと、もったいなくないか?」

ユーリ「んー。難しいなぁ……」

天平「お見合い大作戦の場合は、マッチングアプリの会社とかと、お花屋さんや飲食店がちゃんと提携とかしとくといいと思うけど。そうじゃない場合は――」

ユーリ「ネットとかは、見知らぬお店のことを知るチャンスになるけど、ネットに載ってるお店がちゃんと実在してるかどうか、ネットに書かれていることが正しいかどうか、見極めが難しいよね。実際に、お店があるかどうか、実際にあったとして、お店に入ってそのお店の中に書かれてる電話番号とかとネットの情報が一致しているかどうかとか、確かめにいければいいけど……」

天平「そうだな、実際にな……」

ユーリ「ホントはやっぱり、お店でごはんを食べられるといいんだよね。今も外食やっちゃいけないわけじゃないけど、お店って、店舗によっては狭くて換気の悪いところに人が密集してしまいかねないから――」

天平「そういう状況でごはん食べると、感染リスク、高そうだよな……?」

ユーリ「テイクアウトが悪いわけじゃないけど、いつまで感染リスクを気にする生活をしなきゃいけないのかな? 僕たちは、学校で授業を受けられなくなっても、家での生活に特に不自由があるわけじゃないからいいけど。お店屋さんは心配だよね……」

天平「今んとこスーパー開いてて食材買えて、食べることに不自由しないし、水や電気も使えるから、オレらはなんとでもなるけどな? けど、オレらはそうでも、テイクアウト専門店じゃない飲食店とかだと、お店開けててもお客さん来なかったら、しんどいよな」









読んでいただいてありがとうございます。


アパレル関係のことを書くつもりでしたが、脱線しました。

新型ウィルスの影響で開店休業状態のお店が多くなっているのではないかと、飲食店の経営状態が気になって、そちらの問題を優先的に書いていたら、東京で感染者が増加してきて、そちらも気になって、自粛できない心理などについて書いているうちに日が経ってしまい、お花見のシーズンも終わってきました。

結局、今回、書き上げた分は、2回に分けて投降したので、特別編の第6話だけ、先に投稿しておけばよかったです。

次の第7話では、自粛できない心理などについて書いています。アパレル関係のことについては、もう少し先になりそうです。


次回もお読みいただければ、と思います。

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