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終電の車窓から

作者: しゃん
掲載日:2020/01/27


終電。地下鉄の最後尾の車両から、窓越しにこれまで通ってきた線路を見返す。


普段は満員電車で線路の道中なんて気にしていなかったが、そこには魅惑の世界が広がっていた。


均等に並ぶ光、やけに明るいホーム。

光の反射で微かに見える二本の線路。


電車が止まる度忙しなく動く車掌(?)


知らないボタンが散りばめられた運転席。


どれもこれもいつも乗っているのに気づいていなかった。


でも気づかなくても世界は周る。

世界のすべてを知らなくても、生きてはいける。


その現実がちょっぴり寂しい。


久々に楽しく酔ったせいか、足が震えやや冷えている。

くるみ、まき、けんたの3人と3カ月ぶりくらいに飲んだ。

大学時代の居酒屋バイトの仲間で社会人になった今でもこうして会えているのはやっぱり嬉しい。いつでも当時の自分に戻ったような感覚になれる。

この安心感がたまらなく愛しい。



大学卒業後、それぞれくるみは化粧品メーカー、まきは公務員、けんたは食品メーカーに勤めた。皆それぞれ仕事しそれなりの課題や葛藤、愚痴があった。

 

でも会うと毎回、仕事なんか忘れて当時の話か、今の色恋沙汰の話になるのが定番だ。

バイトを辞め、社会人になれはや2年。未だに話題に飽きず、尽きないこの会話が幸せだった。


でもどこかほんとは違うんじゃないかって思ってる。それぞれステージが変わり、それぞれの世界で暮らしる。


それぞれ平日、違う路線に乗り出社し仕事をし、それぞれの自宅へ帰る。

大学時代はみなキャンパスの周辺の安アパートにいたこともあり会いやすかったが、今じゃそれもバラバラだ。


互いが会いやすい中間地点の浅草で毎回、飲み食いするものの浅草までそれぞれ30分近くかかる。


一緒の電車にいた時間はもう終わったのだ。


そう思っても何故か会いたくなる。

またあの頃に戻りたくなる。


容赦なく電車はそんな思いを振り切って次の駅へ向かう。


等間隔で例え会えたとしても、それぞれもっと光り輝く場所へ辿りつけたとき僕らの小さな蛍光灯は忘れさられてしまうのだろうか。


ただ揺らされ運ばれ続けるぼくはどこに向かっているのだろうか。

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