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友人のご令嬢  作者: ゆせゆ。
3/6

3 (1週間前、始)


「リュカのやつそんな事したのか!なんてことを。」


事のあらましを全て事細かく聞き今度はセニガン子爵がうなだれた。


「いや、私はいい。詫びなら娘に。」


「ああそうだな、着替えが済んだらすぐに息子達を連れて謝罪しよう。」


「…ところでだ、リュカ君はどうしてそんな事を?まさか特に意味はなくどんなご令嬢にそういう態度なのだろうか?」


「いや、とんでもない!!普段はあんなことをしないんだが、いったい何でなんだか父親の私も分からん。キース、お前は解るか?」


「まぁ……、解り、ます…。」


顔に似合わず弱々しい歯切れの悪い答え。


「キース君、まだ私達に話してないこと、今日のこの一連のこととは別に何か隠しているね?話しなさい。事によっては君と娘の婚約者を解消させてもらう。」


「レ、レギオ!」


分かりましたと意を決したように二人を見て、婚約が決まった一週間前に遡る。



〜1週間前〜



「キースお前の婚約者が決まったぞ!」


「まぁ!どこのご令嬢でしょう。可愛らしい方だと嬉しいわ。」


大広間で舞い上がる両親。

どなたです一言言って紅茶をすするキース。


「私の大親友であるレギオの娘さんだ!」


「レギオって裁判官のレギオ・アンドリウスですか?娘って…まさかマデリー嬢。」


「なんだ知り合いだったのか!なら話は早い。レギオは養子を取るらしくてな、マデリーちゃんが嫁いでくれる!いやー嬉しいな、親友の娘さんが私の義理の娘に。家族だ!つまり彼女の父であるレギオとも間接的に家族!!」


なんだか訳のわからない事を言い出した父に、よくやったとでかしたと言わんばかりに父を持ち上げる母。


「父上あのっ」


「マデリーが、婚約…兄さんと、マデリー、マデリーが…僕のマデリー…。」


ガチャリと開いた扉。足一つ入るくらいの隙間からブツブツと何か言うリュカの声が聞こえた。扉へ向かうと誰も居なくなってたが近くにメイドのローナがいる事に気がついた。


「ローナ、リュカを見なかったか。」


そう声をかけると、どこか遠くを見ていたローナがはっとして振り返った。


「あ、リュカ様ですか?今そこの通路を曲がっていかれましたが?」


ローナが見つめていた方向だ。


「そうか。わかったありがとう。」


「なんだか様子がおかしかったのですが、大丈夫でしょうか?」


「多分問題ないだろう。少し話してくるから父上と母上にお茶を用意してやってくれ。」


そう言って長い廊下を歩いて、リュカの部屋の前まで来た。


「リュカ、どうした。」


しばらくしても返事が帰ってこない。

なんだ声をかけノックしても何もない。


「リュカいるのか?入るぞ。」


ギィっと鳴る扉の奥には、陽が傾きもうすぐ夕食どきだというのに、灯りもつけずカーテンも締め切り、布団にくるまりブツブツまだ何か言っているリュカが居た。


「おいリュカ、どうした何があった。」


一歩足を出すと、靴音に反応したかのようにガバッと起き上がってこちらに顔を向けた。

シーツを破れるんじゃないかってくらい握りしめて「にぃさんっ」怒りを帯びた声を絞り出し、乱れた髪の隙間から睨みつけられた。


「はぁ、なんだ一体どうした何が言いたい。」


「ま…り……の?」


「ん?」


「までりー…」


「聞こえないぞ」


すっと息を吸い


「兄さんはマデリーが好きなの?!」


あまりの大きな声と内容に驚いた。


「なんで兄さんなの?僕じゃなくて?僕次男だから婿入りできるし、彼女のことならなんでも知ってるし、愛してるし、この僕以上に彼女にふさわしい人間なんていないのになんで兄さんなのてかなんで知り合いなの話したの?触れたの?何したの?ねぇ!!」


つらつらと述べられる内容は衝撃的で、本当にリュカ本人なのかとさえ思った。

一息に述べ終わりぜいぜいと息をするリュカはベットから降り固まるキースの胸ぐらを掴む。


「で、好きなの?マデリーのこと。」


何故マデリー・アンドリウス?


「ま、まてリュカ、まず落ち着け、落ち着くんだ。」


「…許さないから。いくら兄さんでも絶対渡さない。」


そう言うと乱暴に手を離し、「おい待て」と声をかけたが無視され部屋を出て行ってしまった。

怒涛の一連の流れに放心しているとローナが入ってきた。

様子がおかしいリュカとキースを心配して近くの廊下で控えていたらしい。


「キース様、大丈夫ですか?」


「あ、あぁ。」


「扉は閉じていましたがリュカ様の声が、その、聴こえて…。」


「ローナ、この事は他言するな。」


「もちろんです!」


絶対誰にも話しません墓場まで持っていきますとまで言い切った。


「あ、そ、そうだ!あと1時間ほどでお夕食のの準備ができます!」


「そうか。」


そそくさと部屋をで行くローナ。


どうしたものかと両手で髪を掻き回し、あぁーと唸るように声を出す。

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