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クロエの魔導書(旧作)  作者: 幽礼
第一章 魔導書と魔法使い見習い
4/21

魔導士は気まぐれ

晴天の空、鳥たちが鳴いている。

今日は休日。しかし、こうのんびりもしていられない。


魔道士修行が今日から始まるのだ。


でも、もう既に1分遅刻している。いつものパターンだ。


大急ぎで家を飛び出す。こうやって走るの何回目だろ…


—————————————————


はぁ。やっと着いた……


研究所は、街の郊外にひっそりと佇んでおり、結構遠い。


ドアをノックする。が、反応は無い。


「先生ー?いますかー?」


呼び掛けにも応じない。


ドアを開けてみる。読み通り鍵は開いていた。あの人は普段から鍵を閉める癖がないのでいつ空き巣に狙われるかわからない。


家の中に入る。しかし、人影は見えない。


先生の部屋のドアが少し開いている。

中を覗いてみる。


先生は、まだ深い眠りについていた。


「…()」

人に時間指定しておいて、まさか自分が寝坊とは。


目覚まし時計は何故か大破している。


このままだと永遠に眠り続ける予感しかしない。


「サイレン!!!」

サイレン。それは、ただデカい音を鳴らすだけの魔法だ。使い所といえば、不審者に会った時ぐらいしかない。


「うわっ!?何!?何事!?」

先生は漫画のような飛び上がり方をした。余程衝撃的な音だったのだろう。それもその筈、私のサイレンはLv.5なのだ。


「先生、起きてください。もう修行の時間ですよ。」

「あ、あぁ、ナギサね…

不審者が来たのかと思ったよ…」

いや、もうちょい警戒心高めとけよ。


「で、レールさんは何処に居るんです?」

「あー、レールなら奥の部屋にいるよ。まだ寝ているんじゃないかな。」

マジかよ。時間ぐらい守ろうよ。社会の基本でしょ。


いつ見ても不気味なドアの前に立って、深呼吸をひとつ。

毎度思うがこの部屋に入るのは勇気が結構いる。


ゆっくりドアを開ける。やはりレールさんは寝ている。


それに加えとても寝相が悪い。どうやったらベッドから落ちた上に枕が本棚の上に吹っ飛ぶのかを知りたい。


そんな事を気にしている場合ではない。このままだと永遠に修行が始められなくなる。


さっき魔法を使いMP(魔法力のこと。急に出てきてナニソレオイシイノ状態の人は覚えておくように)を消費しているのでこれ以上は消費したくはない。ここは勇気を出して叩き起すしかない。


「レールさーん、起きて下さーい」

ゆっくり体を叩く。しかし、なかなか起きない。

こんなことなら先生相手に魔法使うんじゃなかった。


さて、どうしたものか。こうなると後は本当に叩き起すしかない。物理的な意味で。


「先生ー、魔力回復の薬ありますかー?」

「あるけど、何に使うの?」

「さっきのあのバカでかい音を出す魔法を使うためです。レールさんを起こすために。」

「あー、それなら私が起こしたげるよ。

あの子本当に起きないからねー」

お姉さんの娘なのにこの人はなんでここまで知っているのか。


部屋に戻ると、レールさんは更に寝相が悪化していた。もはや人間の寝相ではない。


「じゃあ行くよ…

サイレンact3!!!」

この魔法に強化版あったのかよ。


——!!

音が大きすぎて、一瞬耳鳴りがした。


「ごめん、先に耳栓付けるべきだったね…」

「は、はぁ…」


肝心のレールさんはというと。

「な、何!?今の音!?世紀末!?」

いや、世紀末はこんな音出さないし。


「ほら、もうナギサが来ているのよ。いつまで寝ているの。」

先生も寝てたでしょ。


「あっ…あ、あのー…」

相変わらずおどおどした口調だ。

「寝坊、してしまって、すみません…」

「いいですよ、別に。先生も寝てたんで。」

「ギク!」

ギグって声で出す人初めて見た。

「そ、それじゃあ、始めましょうか…」


漸く、波乱の幕開けの修行が始まる。

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