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骨の瓦礫  作者: 綾 瑜庵
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しおりの呟き



 生き残りなんて言われたくない。私は生き残りたくて、生き残った訳じゃないのに。誰も理解してくれない。だから思うのよね、自分の痛みを理解出来るのは自分だと考える訳。


 雄介と慶介、二人の双子の兄弟と関わりを持ちたくて持ったわけじゃないのに、守られて生き残っただけの弱者なんて、後ろ指刺されるのよ。得に慶介の親御さんに、いつも嫌味を吐かれたのを覚えてる。


 私は待ってた、希望を抱いてた、彼はきっと生きてると信じていたし、認めたくなかったから、周りの人の暴言なんて気にならなかった。


 『しおり……愛してるよ』


 慶介のその言葉をもう一度、聞きたいがために、会いたいと願うために、自力でここまで這い上がってきたのだから……。その苦労と努力を他人に否定されたくないのよ。


 私は、まだ信じている、彼が私の元へと還ってくることを……。


 友人達に、何度も怒られた『死者』を待ち続けるなんて、馬鹿な事してる暇あるなら、幸せになりなよ、なんて。


 そこに私の感情はない、あくまで他人の目線なのに、どうしてそんな事言うの?


 泣いても、叫んでも、手に握りしめる『最後の手紙』を宝物のように、抱きしめながら崩れる私の事なんて気付かないし、気付かないのに、どうして?


 『ずっと一緒にいるんだ。僕が君を守るから……』


 ねぇ慶介、雄介を助けて、全て終わったら『幸せ』になれるんじゃなかったの?私と貴方が手を繋いで、人生を共にするって約束したのに、もう忘れてしまったの?


 私は待ってる、ずっと待ってる。


 例え貴方が別人になっていたとしても、私は必ず探し出して、傍にい続けるから。


 

 貴方を苦しめた過去のシナリオ『壊命』を仕組んだ、人間どもを私が、貴方の代わりに壊してあげる。私は奴らの仲間の振りをしている、そして御笠(みかさ)を見つけたのよ。


 あいつらが大事で、愛してて、守りたい存在を、10年もかけて探したの。


 あの人(・・・)にそっくりだったよ、まるで生き写しみたい。彼女を守る為に『苗字』と『出生』を偽装しているみたいだけど、私の目は誤魔化せないから。


 貴方が出来なかったことを、私が代わりに成し遂げるの。


 きっと貴方が現在(いま)の私を見ると、止めるでしょうね。やめろよ、しおり……、なんて一生懸命になって過去の私に戻す事でしょう。



 でも9割を知ってしまった私が、あいつらを許すと思うの?貴方に止める権利があるの?

 私はずっと孤独の中で生きてきた、その過去を変える事が出来るの?






 ――ねぇ、慶介……。




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